本戦とは大違い……全英予選の会場風景 杉山愛コラム「愛’s EYE」

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本戦会場との違い「自分の戦う場所はここではない」

ウィンブルドン予選の会場「イングランド銀行スポーツセンター」。必死な選手たちの姿とは裏腹に、のどかな環境で行われている(写真は2015年大会予選) 【写真:ロイター/アフロ】

 6月26日からウィンブルドンの予選がスタート。予選の会場は、本戦を行うオールイングランドクラブから少し離れたローハンプトンのイングランド銀行スポーツセンターです。予選と本戦が別会場で開催されるのは四大大会ではウィンブルドンだけです。

 私が最後にウィンブルドンの予選に出たのは1994年のことでした(注:93年に初めて予選突破、1994年はラッキールーザーで本戦入り)。

 会場の施設と言えばテントが張ってあるだけ。芝の広場のような所にラインが引いてあって、コートとコートの仕切りも腰くらいの高さしかなくて、周りには何もない。というのが当時のローハンプトンの印象です。まるでジュニア大会のような、のどかな環境でした。イレギュラーバウンドも多く、ウィンブルドンに隣接するアオランギの練習コートの方がよく整備されているくらい。四大大会の雰囲気からはかけ離れた環境と言うしかありません。

 天然芝コートは消耗品なので、本戦と別会場で予選を行うのは仕方がないのですが、それにしても、当時は観客は入場できず、試合を見守るのは関係者だけ。なにか寂しい雰囲気でしたね。プロテニスプレーヤーとして、「こんなところでやりたくない」というのが選手の本音だったと思います。

 とはいえ、そこを通過点にしなければ、どんな栄光も手に入らないのです。選手たちの「自分の戦う場所はここではない」という気持ちが、予選独特のムードを作っているのだと思います。

若手と名選手の対戦も

仕切りの隙間からのぞき見する人も 【写真:ロイター/アフロ】

 もっとも、私がウィンブルドンの予選に出たのは17歳、18歳の頃でしたから、芝のコートでテニスができるということがまず新鮮で、なにか不思議な感覚、楽しいという感覚がありました。

 93年は予選3回戦がロビン・ホワイトというアメリカの往年の名選手との対戦で、この人と戦えるのか、というので、とても印象深い試合でした。というのも、私はジュニア時代にイベントのクリニックでホワイトさんに少し打ってもらったことがあったからです。最初に私がナイスショットを決めたのですが、そうしたら次からはバシッと、まるで「プロというのはこうなのよ」と言うように力を見せつけられたのを覚えています。だからこの対戦は余計に印象深いものになったのです。

 それで勝って、四大大会の本戦に初めて上がることができました。このように、若手もいるし、少しランキングの落ちた往年の名プレーヤーもチャレンジしているのが四大大会の予選です。そんな世代を超えた戦いが見られるのも四大大会の予選の楽しさだと思います。

 芝のサーフェスは球足が速いので、日本選手のテニスに合っているように思います。日本選手は一般的に早いタイミングが得意ですし、相手のパワーを利用することやスピードをうまく使うことに長けています。私自身も芝は好きでしたし、日本選手にはチャンスのあるサーフェスだと思います。
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予選:6月26日(月)〜29日(木)連日生中継[無料放送]

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