棒高跳は「史上最高の空中バトル」 陸上日本選手権大会展望【フィールド編】

日本陸上競技連盟

今回の日本選手権では、男子棒高跳で高いレベルの争いが繰り広げられそうだ 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 今回で101回目を迎える陸上の日本選手権は、8月にロンドンで開催される第16回世界陸上競技選手権大会(以下、世界選手権)の代表選考会を兼ねて、男女36種目が行われる。

 2020年に東京での開催を控える日本選手にとって、2017年は地元五輪に向けた新たなオリンピックサイクルのスタートともいえるシーズン。今回はフィールド競技の見どころを紹介する。

(記録、競技会の結果は、6月13日時点の情報で構成)

勢いある男子跳躍陣の好記録に期待

成長著しい江島が、リオ五輪出場の3人にどれぐらい食い込めるか。写真は2016年ゴールデングランプリ 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 今季、勢いを感じられるのが男子の跳躍陣。なかでも最も高いレベルにあるのが男子棒高跳だ。

 4月にリオデジャネイロ五輪(以下、リオ五輪)代表の山本聖途(トヨタ自動車)が米国の2大会で標準記録(5メートル70)を突破。4月末の織田記念では、同じくリオ五輪代表の荻田大樹(ミズノ)が、自己タイ記録でもある標準記録をクリアして山本を下すと、ゴールデングランプリ川崎でも優勝を果たした。

 さらに今春、大学生となったダイヤモンドアスリートの江島雅紀(日本大)が、5月初旬に自身の持っていたU20日本記録を更新する5メートル61をクリアする大躍進。ゴールデングランプリでは、同記録(5メートル50)で並んだ山本を試技内容で抑えて2位に食い込む充実ぶりだ。

 ここで忘れてならないのが、前回11回目の優勝を果たし、リオ五輪で7位入賞を果たした日本記録保持者(5メートル83)・澤野大地(富士通)の存在。小さな故障があったため、春先の大会をキャンセルして回復に努め、ベテランらしい調整力で日本選手権に合わせてきている。大学で師弟関係にある澤野と江島は、代表争いという点では、標準記録をクリアすることも必須となるが、この4人を中心とする「史上最高の空中バトル」が実現したら、手に汗握るものになるだろう。

橋岡、山本ら大学生が日本記録更新に挑む

男子三段跳の山本凌雅は、日本記録の更新にも期待がかかる 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 若手の進境が著しいのは男子走幅跳と男子三段跳。男子走幅跳ではダイヤモンドアスリートの橋岡優輝(日本大)が関東インカレで8メートル04(+0.1)を跳び、18歳にして8メートルジャンパーの仲間入りを果たした。日本選手権では、標準記録(8メートル15)の突破、さらには現在指導を受けている森長正樹コーチが持つ日本記録(8メートル25)の更新も視野に入れて挑むという。このティーンエイジャーの挑戦に刺激され、年長の8メートルジャンパーたちが大いに奮起することを望みたい。

 男子三段跳では、大学4年生の山本凌雅(順天堂大)が派遣設定記録A(17メートル14)を上回る17メートル15の日本記録更新を狙う。優勝した織田記念では、公認で日本歴代6位の16メートル87(+1.8)をマークして、標準記録(16メートル80)を突破している。気象条件に恵まれれば、日本人3人目の17メートルジャンパー誕生の瞬間に立ち合うことができるかもしれない。

 男子走高跳ではリオ五輪代表の衛藤昂(AGF)が好調で、今季すでに標準記録2メートル30を2回クリア。派遣設定記録Aの2メートル32、さらには2メートル33の日本記録更新にも意欲を見せている。これにベスト記録(2メートル31、2014年)で衛藤を上回る戸邉直人(つくばツインピークス)が絡んでいくようだと勝負、記録の両面を楽しむことができそうだ。

 女子跳躍では記録の水準がなかなか上がってこないというのが現状だ。標準記録を突破するためには日本記録に迫る、あるいは日本記録を上回ることが必要となってくる。これらに近づける選手の台頭に期待したい。

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