バルセロナの移行期を締めくくった国王杯 3連覇も課題は山積み、夏に大改革か?
アラベスを難なく下し、国王杯3連覇
バルセロナは国王杯3連覇を達成し、2016−17シーズンを終えた 【写真:ロイター/アフロ】
ライバルの背中を追い続けた苦しいシーズンの最後に、バルセロナはようやく大きなタイトルを1つ勝ち取った。だがその喜びに浸る間もなく、ルイス・エンリケと多くの選手はクラブを去り、チームは一新されることになるだろう。
既に退任を発表していたルイス・エンリケ監督をはじめ、チームは一新されることが予想される 【写真:ロイター/アフロ】
国王杯3連覇を実現したことで、バルセロナは今季を主要タイトル無冠のまま終えずに済んだ。同時に来季はレアル・マドリーとのエル・クラシコを最低5試合(7月29日にマイアミで行われる親善試合、スーペルコパ・デ・エスパーニャの2試合、リーガ・エスパニョーラの2試合)戦うことになったものの、アラベス戦の勝利にそれ以上の意味はなかった。
薄くなった選手層、高まったメッシへの依存度
メッシ(左)ら主力への依存度が高まり、バックアッパーが育っていないなど、チームは多くの問題を抱えている 【写真:ロイター/アフロ】
バルセロナはシーズンを通して不当なジャッジに不満を漏らし、抗議し、自分たちの正当性を主張し続けた。だが確かなのは、プランニングのミスによりチームの選手層が薄くなった上に、ルイス・エンリケが主力メンバーの代役が務まるバックアッパーを育てられなかったことで、主力組とそれ以外の間に大きな差ができてしまったことだ。
さらにはアレイクス・ビダルやアルダ・トゥラン、ラフィーニャらのけがも重なった。ユベントスで不動の右サイドバック(SB)の地位を築き、レアル・マドリーとのチャンピオンズリーグ(CL)決勝に挑もうとしているダニエウ・アウベスの代役も見つけることができなかった。
スペクタクルな南米トリオ(メッシ、スアレス、ネイマール)、何より世界最高のプレーヤーであるメッシを前線に擁しているバルセロナは、ライバルのレアル・マドリーが4年間で3度目のCL決勝を戦う理由を今一度考えてみるべきだ。そうすれば近年のチームは何かが狂ったまま、修正できずにここまできてしまったことが分かるはずだ。
高いテクニックと破壊力抜群の攻撃陣は健在ながら、バルセロナは以前よりピッチをせわしなく走り回るようになった。それは縦に速く攻めるスタイルに傾倒したことで、中盤でボールを保持する時間が少なくっているからだ。チームとしての機能性を少しずつ失い、メッシへの依存度が高まっていることも原因の1つだろう。