堅守のユーベ、驚異の攻撃力を誇るレアル CLを制するのはどちらの“最強”か?

準決勝で貫禄の勝利を収めた2チーム

レアル・マドリー(写真)もユベントスも、準決勝では貫禄の勝利を収めた 【Getty Images】

 現地時間6月3日にウェールズの首都・カーディフで行われるチャンピオンズリーグ(CL)決勝には、現在ヨーロッパのトップ3に位置する2チーム、レアル・マドリーとユベントスが勝ち上がる納得の結果となった(もう1チームは準々決勝でレアル・マドリーに敗れたバイエルン・ミュンヘン)。

 対照的なプレースタイルを持ちながら、いずれも非常に手堅いチームである両者の対戦は、試合日が近づくにつれて期待感が膨らんでいくはずだ。

 レアル・マドリーとユベントスは、1998年にアムステルダム・アレーナ(17年4月、ヨハン・クライフ・アレーナに名称が変更されることが発表された)でCL決勝を戦っている。その際はわずかにオフサイドポジションにいたプレドラグ・ミヤトビッチのゴールにより、ロス・ブランコス(レアル・マドリーの愛称)が7度目のCLタイトルを手にしている。

 レアル・マドリーもユベントスも、今大会の準決勝では貫禄の勝利を収めた。とりわけユベントスはモナコ相手にほとんど苦しむことなく、老獪(かい)な試合運びを見せている。

ユベントスの武器は堅固な守備組織

ユベントスの武器は、侵入するのが不可能と言えるほどの堅固な守備組織だ 【写真:ロイター/アフロ】

 ユベントスの武器は、侵入するのが実質的に不可能と言えるほど堅固な守備組織だろう。

 ゴール前を固めるのはレオナルド・ボヌッチ、アンドレア・バルザーリ、ジョルジョ・キエッリーニら強固なセンターバックと偉大なる守護神ジャンルイジ・ブッフォンだ。彼らのサポートを受け、バルセロナ時代の絶頂期のプレーレベルを取り戻したダニエウ・アウベスとアレックス・サンドロというブラジル人サイドバックが両サイドを攻め上がる。中盤では機動力に長けたミラレム・ピャニッチとサミ・ケディラがハードワークし、前線ではアルゼンチンの新星パウロ・ディバラがマリオ・マンジュキッチ、ゴンサロ・イグアインと攻撃陣を形成する。

 ユベントスは今大会を通してまだ3失点しか許していない。モナコとのセカンドレグで喫したキリアン・ムバッペのゴールにより、CLでの無失点記録は690分で途絶えることになったが、それは彼らの堅守を破ることがいかに困難であるかを顕著に示す数字だろう。

 準決勝の2試合を通してユベントスはモナコを大きく上回った。アウェーのファーストレグを2−0で制した時点でほぼ勝負は決まっていたが、トリノでのセカンドレグでも逆転のチャンスをほとんど与えなかった。後半に気の緩みから失点を許したものの、素晴らしい状態にあるチームは決勝にたどり着いただけでなく、6年連続のスクデット獲得と同じく、決勝に勝ち進んでいるコッパ・イタリアを含めた“トリプレッテ”(イタリア語でハットトリックを指す言葉)を実現するチャンスまで手にしている。

1/2ページ

著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント