中国女子監督がスキャンダルで帰国 世界卓球へ暗雲、日本に追い風か!?
平野は準決勝まで中国勢と当たらず
予選からの出場となった木子(写真)は鄭怡静のブロックに。平野は準決勝まで中国勢と当たらない組み合わせになった 【写真:アフロスポーツ】
男女シングルスでは、予選を勝ち上がってきた選手たちのドロー(組み合わせ)も発表された。女子シングルスでは2015年の蘇州大会3位だが、世界ランキングがないため予選からの出場となった木子(中国)がどのブロックに入るのか注目されたが、ベスト8シードの鄭怡静(チャイニーズタイペイ)のブロックに決定。今大会注目の平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)も木子のドローの行方を気にしていたが、これで準決勝までは中国勢との対戦はなくなった。その平野は1回戦で女子最多6度の五輪出場を誇る41歳のオショナイケ(ナイジェリア)と対戦する。
男子シングルスでは史上最年少の13歳で日本代表に選出された張本智和(JOCエリートアカデミー)が世界戦デビュー。1回戦に勝利すれば2回戦で水谷隼(木下グループ)との対戦が予想される。初戦の相手ニュイティンク(ベルギー)はセンスを感じさせる左腕だが、プレー自体はオーソドックスなドライブ型で張本にとっては組みやすい相手か。
職務停止の理由は借金スキャンダル
借金スキャンダルにより帰国を余儀なくされた孔令輝監督。中国に動揺が走る 【写真:ロイター/アフロ】
孔令輝監督は自身の微博(ウェイボー/中国版ミニブログ)で「泊まっていたホテルにカジノがあったので、友人が遊ぶのをそばで観ていた。友人たちのチップを借りる時に、私の個人情報を残したが、借金のトラブルがあることは初めて知った」とコメント。自身の借金ではないと述べているが、今大会でチームの指揮を執ることは厳しいだろう。
今大会、孔令輝監督の代役には、王楠、張怡寧、李暁霞と3人の大満貫(五輪・世界選手権・ワールドカップすべてで優勝)を育て上げた李隼コーチを起用する意向を中国代表・劉国梁総監督は示している。監督代理を務めることが濃厚な李隼コーチは、現役選手時代は国家チーム(ナショナルチーム)でプレーした経験がなく、それでもコーチとして国家チームでコーチを務める異色の存在だ。
厳しすぎる代表監督の条件
1:世界選手権チャンピオンもしくは五輪チャンピオンであること
2:担当コーチとして世界選手権チャンピオンか五輪チャンピオンを育てていること
3:コーチとして世界選手権あるいは五輪に参加していること
4:4年制の大学卒業以上の学歴を有していること
5:高級以上のコーチの資格を有していること
6:世界における男子/女子卓球の発展の動向、最新の練習方法を正確に把握していること
選手、指導者の両方で世界一を経験していなければ選考対象にも入れないという条件設定ができるのも中国ならではといったところか。職務停止処分で帰国となった孔令輝監督も、現役時代は緻密な戦術とミスのないプレーで「精密機械」の異名を持ち、1995年の世界選手権、2000年のシドニー五輪で優勝した名選手。一方、監督代理が濃厚な李隼コーチは代表選手経験もないため、本来であれば監督になることはあり得なかった人物なのである。しかし豊富な経験と指導実績、長年中国女子を指導し、他国の選手にも精通しているとの判断で、異色の男が予想外の形で監督の座につくことになりそうだ。
しかしながら、中国女子チームに動揺があるのは確か。少々残念な形ではあるが、「中国越え」を目指す日本女子チームにとっては追い風と言えるだろう。
(文:浅野敬純/卓球王国)
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