リーガ優勝はレアル・マドリーの手中に 5年ぶりの戴冠か、バルセロナの逆転か

最終節を前にレアル・マドリーが首位に返り咲き

延期されていたセルタ戦を制し、レアル・マドリーは最終節を前に首位に返り咲いた 【写真:ロイター/アフロ】

 5月13日、14日(現地時間、以下同)に第37節が終了した時点で、リーガ・エスパニョーラの首位に立っていたのはバルセロナだったが、これは一時的な“トリック”だった。順位表には2つのチームに米印が付いており、それが重要な意味を持っていた。2位のレアル・マドリーには延期されていたバライードスでのセルタ戦が17日に残されており、この一戦を制したことで自力優勝の可能性を再燃させ、首位として週末の最終節を迎えることになったからだ。

 サンティアゴ・ベルナベウで行われた第37節のセビージャ戦は、レアル・マドリーにとってもっと困難な一戦となるものと予想されていた。セビージャはとりわけシーズン前半にリーガの優勝争いを盛り上げたチームの1つで、上位陣のどのチームとも真っ向勝負を挑んできたチームだからだ(ロス・ブランコス=レアル・マドリーの愛称=の無敗記録を第18節に40戦で止めたのも彼らだった)。

 周知の通り、結果は4−1でレアル・マドリーの勝利に終わったわけだが、両チームにはモチベーションの部分で大きな差があったことは触れておくべきだろう。

セビージャとレアルのモチベーションの差が結果に

今季のモチベーションを失った直後にレアル・マドリー戦を迎えたセビージャ(赤)は1−4で敗れた 【Getty Images】

 レアル・マドリーは10日にチャンピオンズリーグ決勝進出を決めたばかりで、6月3日にカーディフでユベントスと対戦するまでには十分な準備期間を擁していた。しかも今季のホーム最終戦であるセビージャ戦に勝てば、ドブレッテ(2冠)の可能性を生かしたまま地元ファンに別れを告げることができた。

 対象的に、セビージャは今季のモチベーションを失った直後にこの一戦を迎えた。既に3位のアトレティコ・マドリーを捉える望みはほぼついえていたし、下位のチームから4位の座を脅かされる心配もなかった。

 実力派の選手を多数補強し、貪欲な指揮官ホルヘ・サンパオリを新監督に据えた今季のセビージャは、過去数シーズンを上回る成功を手にできる可能性が期待されていた。だが結局、良いプレーは見せるものの、それ以上のレベルに至ることはなく、シーズン終盤は指揮官が5月末から母国(アルゼンチン)の代表監督に就任するとのうわさを繰り返し否定するような状況が続いてきた。

 長年クラブの成功を支えてきたスポーツディレクターのモンチが去り、監督もそれに続こうとしている現在のセビージャは、サイクルの終えんを色濃く感じさせる状況で今季最後の大一番を迎えた。対するレアル・マドリーは多くの選手がここにきてベストパフォーマンスを見せるようになり、チームとしてもハイレベルなプレーを維持できるようになっていた。

 ナチョ・フェルナンデスに一瞬の隙を突かれて前半10分に直接フリーキックを流し込まれ、さらに23分にはクリスティアーノ・ロナウドに追加点を決められながらも、セビージャは後半4分、持ち前の連係プレーからステバン・ヨベティッチがゴール前に侵入する攻撃でできる限りの抵抗を試みた。だがその後は手にしたチャンスを決めることができず、組織力でも差を見せつけられる中で、最終的には4−1と大差をつけられることになった。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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