レアルとユーベが見せつけた2つの強み ほぼ決着がついたCL準決勝

選手たちの経験値、ベンチメンバーの充実

C・ロナウドのハットトリックでアトレティコに3−0で勝利。CL決勝進出に大きく近づいた 【Real Madrid via Getty Images】

 当初からユベントスとレアル・マドリーは本命視されていた。だがそれぞれのライバルを考慮すると、現地時間6月3日にカーディフで行われるチャンピオンズリーグ(CL)決勝に勝ち進む2チームが第1戦の終了時点で決まり、第2戦での逆転がほぼ不可能な状況になることなど、誰が予想できただろうか。

 レアル・マドリーはアトレティコ・マドリーに(3−0)、ユベントスはモナコに対して(2−0)、2つの大きな強みを見せつけることで、圧倒的な実力差を示した。その強みとは選手たちの経験値、そしてベンチメンバーの充実だ。

 サンティアゴ・ベルナベウの一戦では、右サイドバック(SB)のフアンフランの欠場がアトレティコ・マドリーにとって大きな痛手となった。代役を務めたリュカ・エルナンデスは左利きのセンターバックであり、彼の起用は次期バロンドール(年間最優秀選手賞)候補に挙げるべきパフォーマンスを見せているマルセロに大きすぎるアドバンテージを与えることになった。

1人の欠場とわずかな人選ミスが致命傷に

シメオネ監督(左)は第2戦での逆転は可能だと主張するが、実現はかなり厳しい 【写真:ロイター/アフロ】

 またディエゴ・シメオネはこの試合でケビン・ガメイロをアントワーヌ・グリースマンとともに前線に並べたが、チーム内での重要性と経験値を考えれば、フェルナンド・トーレスを選ぶべきだったと言える。

 レアル・マドリーほど強力なライバルとの対戦においては、1人の欠場とわずかな人選ミスが致命傷となりかねない。結局アトレティコは試合開始からの5分間しか敵陣に押し込むことができず、レアル・マドリーは極めて容易に勝負を決めることができた。戦う姿勢から戦術的規律まで、この日のアトレティコはまるでシメオネが監督に就任する以前のチームに戻ってしまったようだった。

 PK戦の末に敗れた昨季のCL決勝のトラウマを乗り越え、再び準決勝に勝ち上がるまで、アトレティコは多大な労力を費やしてきた。だがそれもクリスティアーノ・ロナウドの突出した決定力、そして素晴らしいパフォーマンスを披露したレアル・マドリーの中盤にあらゆる希望を打ち砕かれることになった。

 シメオネはホームのビセンテ・カルデロンでの逆転が可能だと主張しているが、第1戦でアトレティコが残した印象はネガティブな考えばかりを想起させる。何よりレアル・マドリーが無得点に終わることなど考え難い。そして1ゴール奪われた場合、アトレティコは5ゴール以上決めることが義務付けられる。その実現はほとんど夢物語のようなものである。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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