リーガ優勝はレアル・マドリーの手中に 5年ぶりの戴冠か、バルセロナの逆転か

最終節の相手はマドリディスタのアイドル率いるマラガ

レアル・マドリーの最終節の相手は、マドリディスタのアイドルであるミチェル監督率いるマラガだ 【Getty Images】

 続くバライードスでのセルタ戦も、レアル・マドリーにとっては油断のならない重要な一戦だった。国王杯で敗れた1月とはセルタが異なる状態にあり、11日に行われたマンチェスター・ユナイテッドとのヨーロッパリーグ準決勝でショッキングな結末を迎えた――ヨン・グイデッティが決めれば決勝進出となったラストプレーでのチャンスを決められなかった――直後であることも分かっていた。

 それでも今季のホーム最終戦となる彼らが地元ファンに良いイメージを残すべくモチベーションを高めてきた場合、レアル・マドリーを苦しめるだけの力が十分にあることも確かだった。しかもこの試合は3シーズンチームを率いたエドゥアルド・ベリッソ監督にとって、地元ファンの前で指揮する最後のビッグゲームとなる可能性があった。彼はサンパオリが退任した後にセビージャを率いる後任候補の筆頭と見られているからだ。

 予想通り、セルタはモチベーション十分にこの一戦に臨んだものの、シーズンを通してほぼ常に首位の座を維持してきたレアル・マドリーは再びプレー内容、決定力の双方でレベルの違いを見せつけた。この勝利により2位バルセロナと勝ち点3差の首位に立ったレアル・マドリーは、最終節を引き分け以上で終えれば自力での優勝が決まることになる。対戦するのは1980年代後半に活躍した「キンタ・デル・ブイトレ」の1人であり、マドリディスタのアイドルであるミチェルことミゲル・ゴンサレス監督率いるマラガだ。

万が一タイトルを逃すことがあれば……

今季は安定したパフォーマンスを保ってきたレアル・マドリー。5年ぶりのリーガ優勝は手中にある 【写真:ロイター/アフロ】

 もちろんマラガに負けることは許されない。既に目標がなくなっているエイバルとカンプノウで対戦するバルセロナが勝利を逃すとは考えにくく、両者の勝ち点が並んだ場合は直接対決のスコアで上回るバルセロナが優勝することになるからだ。

 ベルナベウのエル・クラシコでは終了直前に失点を喫し、バルセロナに希望を与える勝利をプレゼントしてしまったものの、レアル・マドリーは今季を通してリーガの優勝争いをコントロールしてきた。

 どのライバルよりも安定したパフォーマンスを保ってきただけに、万が一タイトルを逃すことがあれば、そのショックは計り知れない。それこそ2年連続でホルヘ・バルダーノ率いるテネリフェとの最終節に敗れ、宿敵バルセロナに逆転優勝を許した90年代前半の“失態”を上回るトラウマとなりかねないだろう。

 なにせ今回レアル・マドリーが手にしているのは、2012年以来5年ぶり、過去10年でもわずか3度目のリーガタイトル獲得のチャンスなのだから。

(翻訳:工藤拓)

2/2ページ

著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント