レアルとユーベが見せつけた2つの強み ほぼ決着がついたCL準決勝
見る者を驚嘆させたユベントスの試合運び
イグアイン(右)の2ゴールで先勝したユベントス。落ち着いた試合運びで見る者を驚嘆させた 【写真:ロイター/アフロ】
モナコでの第1戦にて、ユベントスはその落ち着いた試合運びで見る者を驚嘆させた。キリアン・ムバッペ、ラダメル・ファルカオらスピーディーなアタッカーを擁するホームチームの攻撃を耐えしのぐのではなく、ボールを支配しながらゲームをコントロールする戦い方を選んだからだ。それは堅守速攻に徹することが多いイタリアのチームには珍しいことである。
ユベントスの2ゴールはいずれも同じ形から生まれた。パウロ・ディバラが起点となり、ダニエウ・アウベスのパスから最後はゴンサロ・イグアインがゴールネットを揺らした。とりわけこの試合のベストプレーヤーと言われたアウベスは、衰えが指摘されていたバルセロナでのラスト数シーズンとは見違えるほど素晴らしいパフォーマンスを見せた。
その後ユベントスは老かいな試合運びで手にしたリードを保った。機動力に優れた中盤の選手たちはほとんどパスミスを犯さず、屈強な守備陣はゴールへの扉を閉ざし続けた。そして彼らの背後には、20シーズン以上もトップレベルで戦い続けてきた39歳の大ベテラン、ジャンルイジ・ブッフォンが万が一に備えて控えていた。
あらためて示した強化方針の重要性
ムバッペ(左)らスピーディーなアタッカーを擁するモナコだが、CL準決勝では戦力の差が出てしまった 【写真:ロイター/アフロ】
モナコとアトレティコは近年、巨額の投資を行い選手の補強に努めてきた。だが第1戦の結果は、ただ選手を買い集めるだけでなく、より質の高いチーム作りを目指した強化方針を持つことが重要であることをあらためて示したと言える。
ユベントスとレアル・マドリーはいずれも先発メンバーと同じレベルの選手たちがベンチに並んでおり、誰が欠けてもチーム力が大きく落ちることがない。対照的に、モナコはそこまで豊富な戦力を擁していない。アトレティコに至っては、先述した通りSBが1人欠け、監督がFWの人選を誤っただけで、つまりはわずかなディテールによって全く異なるチームになってしまった。
6月3日、カーディフで行われる決勝でレアル・マドリーとユベントスの戦いが見られることはほぼ確実だろう。そのことを断定できないのは、フットボールはわずかながらもサプライズの可能性を常に秘めている、素晴らしい競技であるからに他ならない。
(翻訳:工藤拓)