大野均が語る日本代表、ライバル、未来 「勝つことが一番のプロモーション」

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イングランドの強さは「リアクションの速さ」

日本代表史上最多の98キャップを誇る大野均 【写真提供:WOWOW】

 3月11日に第4節を終えたラグビー欧州6カ国対抗戦「シックス・ネーションズ」。イングランドがスコットランドに61対21と圧勝し、大会連覇を達成した。この試合の生中継にゲスト出演した大野均選手(東芝ブレイブルーパス/サンウルブズ)は、日本代表で薫陶を受けたエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)率いるイングランドの戦いぶりをどう見たのだろうか。日本代表史上最多98キャップ、文字通り百戦錬磨の目で感じたことを存分に語ってもらった。

──試合を見て、イングランドの強さはどこにあると感じましたか?

 まずディフェンスに関しては、余分な人数をあまりかけずにタックルしてラックを形成し、すぐにディフェンスラインを引く準備をする、そのリアクションの速さが際立っていました。アタックに関しては走り込むのが1人ではなく、2人、3人が走り込んでいろいろなオプション(アタックの選択肢)を用意しているので、ディフェンス側も的を絞れずなかなかファーストタックルで止められなかった。その結果良いボールのサイクルが生み出され、あのようなアタックにつながったのではないでしょうか。

──イングランドは最終節のアイルランド戦(3月18日深夜1:50)で2年連続グランドスラムとテストマッチ世界新記録となる19連勝を狙います。この一戦の見どころは?

 イングランドが今日のような良い入りで試合に臨めるか、それともアイルランドがそうさせないのか、というところでしょう。昨年オールブラックス(ニュージーランド代表)の連勝を18で止めたアイルランドが、今度はイングランドの連勝を18で止められるか。おもしろいめぐり合わせですよね。

──イングランドをはじめ、どのチームの選手も高いパフォーマンスを見せていますが、大野選手が毎試合高いパフォーマンスを披露できている理由を教えてください。

 自分はLO(ロック)で、バックスのようにパスを放ったり蹴ったり判断するのではなく、体を張ってチームに貢献するポジションなので、やることがシンプルなんです。それに対してメンタル面を含め毎回100パーセントの準備をしてきたから、これだけ長くプレーできているのだと思いますね。チームのために体を張るということを常に求められて、それを表現できてきたからこそ今があるのだと思います。

W杯で“ライバル”マットフィールドと対決

15年W杯、日本が南アフリカを破った歴史的一戦で大野(5番)はマットフィールド(中央)と対決した 【写真:アフロ】

──大野選手がライバル視している選手はいますか?

 2015年のラグビーワールドカップまでは南アフリカのLOヴィクター・マットフィールド選手でした。代表の中心選手として活躍してきた彼とワールドカップで対決できるのを楽しみにしていました(両選手、5番で先発出場し直接対決が実現。日本代表が34対32で歴史的勝利を飾った)。
 今のライバルはサンウルブズと日本代表と東芝にいるLO陣全員です。彼らとの競争に勝てないことにはテストマッチに出ることはできません。まず彼らと切磋琢磨して、この年齢でもまだまだレベルアップしたいと思っています。

──エディーさんは大野選手について「すべての練習で全力を出す選手」と高く評価していたそうですが、全力を出すためにどのようにスイッチを入れているのでしょうか?

「グラウンドに立ったからには弱いところは見せられない」という思いです。練習着にも桜のエンブレムが入っていますので、それを着てグラウンドに立つ以上、情けないプレーは見せられません。エディーさんからも「(チーム最年長の)キンちゃん(大野)がこれだけやっているんだから、みんなもできるだろ!」とミーティングでよく引き合いに出されました。この年齢で代表に呼んでもらった恩義もあるし、自分がこのチームにいる意義を自分なりに考えてやっていたので、そういうメンタルの部分がエディーさんに伝わったのだと思います。

──今後の目標として、まずはあと2に迫った日本代表100キャップ達成があると思います。そしてその先には2019年のラグビーワールドカップもありますが、それらをどのように捉えていますか?

 2019年はまだまだ見えないですね。100キャップに関してはそこまで強く意識していないのですが、周りから「期待しているよ」という声をたくさんいただくので、応援してくださる方への恩返しの意味でもぜひ達成したいです。ここにきて怪我が続いていて、自分の中でもモヤモヤした思いもあります。でもそれを乗り越えてこその100キャップですので、我慢の時だと思って頑張っています。

──普及やプロモーションという部分で、2019年のワールドカップに向けて考えていることはありますか?

 一番はやはり日本代表が勝つことです。選手として日本代表に参加させてもらっている以上、勝つということを常に念頭に置いています。去年もスコットランドやウェールズに勝てるチャンスがありましたが、それを逃したのはまだ何か足りない部分があるからです。その足りない部分を突き詰めて、次の2019年のワールドカップまでに「ラグビー日本代表は勝てるチームなんだ!」ということを日本中に発信していくことが必要だと思います。

──そして今年、日本代表はアイルランド、フランス、オーストラリアなどと戦います。

 こんな強豪とテストマッチが組めるなんて昔は考えられませんでしたが、これをチャンスと捉えてぜひ勝ちたいです。どのスポーツも代表が勝たないと盛り上がりません。やはり勝つことが一番のプロモーションになるでしょう。そして(スーパーラグビーの)サンウルブズが勝てる組織になることによっても、日本人のラグビーに対する目が少しずつ変わってくると信じています。

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★「生中継!ラグビー欧州6カ国対抗戦 シックス・ネーションズ」

ヨーロッパのラグビー強豪6カ国が参加して行なわれる大会もいよいよクライマックス!

最終節:
スコットランドvsイタリア
3/18(土)夜9:15〜 [WOWOWライブ]

フランスvsウェールズ
3/18(土)夜11:35〜 [WOWOWライブ]

アイルランドvsイングランド
3/18(土)深夜1:50〜 [WOWOWライブ]

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第21節:
モンペリエvsラシン92
3/19(日)午前4:30〜 [WOWOWプライム] ※生中継

グルノーブルvsRCトゥーロン
3/20(月・祝)午前4:30〜 [WOWOWプライム]
※3/19(日)深夜0:55〜 WOWOWメンバーズオンデマンドで先行ライブ配信

第22節:
ラシン92vsクレルモン・オーヴェルニュ
3/25(土)深夜2:15〜 [WOWOWライブ]
※3/25(土)夜10:40〜 WOWOWメンバーズオンデマンドで先行ライブ配信

スタッド・フランセvsRCトゥーロン
3/26(日)深夜3:45〜 [WOWOWライブ] ※生中継

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