山田章仁が語る世界のラグビー 「違う文化や環境が自分をタフにする」

WOWOW

エディーHCは「それはもう非常に厳しかったですね」

2015年ワールドカップで日本代表として活躍した山田章仁 【写真提供:WOWOW】

 ラグビー欧州6カ国対抗戦「シックス・ネーションズ」の第3節、イングランドvs.イタリアの一戦が2月26日、ロンドンのトゥイッケナム・スタジアムで行われた。WOWOWではパナソニックと日本代表で活躍中の山田章仁選手(WTB/ウイング)がゲスト出演し、現役選手ならではの視点でポイントとなったプレーなどを解説。また2015年のラグビーワールドカップまで薫陶を受けたエディー・ジョーンズ現イングランド代表HC(ヘッドコーチ)についてもユーモアを交えながらコメントした。

 試合後、ゲスト解説を終えた山田選手にエディー・ジョーンズHCや自身の今後についてインタビュー。日本代表への参戦時期や海外挑戦への思いについてなど、幅広く話を聞いた。
──シックス・ネーションズの試合を解説して、いかがでしたか?

 客観的にラグビーのおもしろさや、いま流行りのラグビーというものをスタジオから知ることができるので、非常にいい勉強になりました! こういう時間帯(深夜)は普段は寝ていますが、解説させていただいてイングランドに行った気分にもなれましたし、いい経験になったと思います。

──画面を通じて、シックス・ネーションズから感じたことは?

 シックス・ネーションズはラグビーの伝統国ばかりなので、やはりラグビーの本質的な部分が伝わってきますね。たとえば会場の雰囲気ですとか、選手みんなのプライドですとか。そういうところにシックス・ネーションズ独特の雰囲気を感じます。

──今日のエディーHCからどういう印象を受けましたか?

 怒ると(伝令用の)ヘッドセットを取ってしまうのですが、最後まで着けていましたね(笑)。怒っているというより、気合が入っているなという印象でした。

──山田選手は28歳の時、エディーHCによって日本代表に招集され、2013年11月15日のロシア代表戦で初キャップを獲得しました。そこから現在までの成長曲線はイメージ通りでしょうか?

 正直に言えば、自分で予想していたよりも大きく成長できています。ただ、今の地点を1日の時間経過に例えると、起床してまだお昼前ぐらいのイメージです。これからランチがあり、おやつもあり、メインのディナーもある。ですからこれからもどんどん成長していきたいですし、伸び代もあると思っています。

──メインのディナーとは、2019年のラグビーワールドカップ日本大会、あるいは2020年東京五輪を指すのでしょうか。

 そこはまだおやつぐらいですね(笑)。それ以降もアスリートとしてやりたいことがまだまだありますので。

──エディーHCに話を戻すと、選手によって指導のアプローチを変える手法で有名ですが、山田選手に対してはどうでしたか?

 それはもう非常に厳しかったですね。ほかの選手に対してより何倍も厳しく指導されたと思います。でもそれは確実にプラスになりました。反骨心もありましたが、その結果、特に厳しく言われたテクニックやスキルの面は成長できたと思います。

──そういう意味でも、指導力は世界屈指だと。

 そうですね。エディーさんもそうですし、パナソニックのロビー・ディーンズ監督もトップ中のトップのコーチだと思います。ジェイミーさん(ジェイミー・ジョセフ日本代表HC)も素晴らしいコーチと聞いていますが、まだ一緒に戦い始めてから日が浅いので、これからどんどんコミュニケーションをとって彼から学んでいくつもりです。

「日本代表として戦う意欲はもちろんあります」

海外でのプレーは「ラグビーに限らず人間としてすごく成長できる時間を過ごせる」と語る 【写真提供:WOWOW】

──日本代表の話も出たところで、今後についてうかがいます。現在は昨年所属していたサンウルブズには加わっていませんが。

 今のところスーパーラグビーのチームでプレーする予定はありません。ただ、グローバル・テンズ(2月11、12日にオーストラリア・ブリスベンで開催された10人制ラグビーの国際大会。山田選手はパナソニックの一員として出場)は実に刺激的で海外挑戦への意欲がさらに増しましたし、本当にいい経験になりました。

──日本代表は6月に行われるルーマニア(6月10日)とアイルランド(6月17日、24日)とテストマッチ3試合を行います。

 日本代表として戦う意欲はもちろんあります。アジアラグビーチャンピオンシップ(昨季は若手選手で日本代表を編成)については未定ですが、こうした大きな試合には出場して活躍したいという思いは強いですね。そのテストマッチに向けてトレーニングすべき時がいずれは来ると思いますが、それまではしっかりオフを取るつもりです。

──海外挑戦への意欲の話も出ましたが、2015年にはスーパーラグビーのフォース(オーストラリア)に所属していました。海外挑戦にはどのような意義があるのでしょうか?

 選手としてはもちろん、ラグビーに限らず人間としてすごく成長できる時間を過ごせるのが海外だと思っています。違う文化や環境が自分をよりタフにしてくれますし、新しい発見もある。ラグビーを終えてからの人生の方が長いですし、人生楽しく、充実させたいですからね。ラグビーというツールを通じてグローバルに活躍できる場がある以上、小さな島国の中だけでなくもっと大きなスケールで考えないと、というのが僕の考えです。

──海外のチームでプレーするにあたっては、環境や契約条件などさまざまな要素がある中、どのような点を重視していますか。

 自分が一番成長できるチームかどうか。そこが一番大きいですね。フォースも自分にとって初めての海外のプロチームでしたし、すべての経験がプラスになり成長できた実感があります。一つ一つの局面でアグレッシブに勝負しなければいけないということ、そしてグラウンドの外でもしっかりヘッドコーチにアピールし周りの選手やスタッフともコミュニケーションを密に取ることを学びました。

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