WBC1次ラウンド敗退の韓国 監督の嘆きとは裏腹に時代の転換期へ
代表に対する忠誠心の変化か?
重い空気が漂う韓国代表のベンチ。右から2人目がキム・インシク監督 【Getty Images】
初戦のイスラエル戦に敗れた翌日。オランダ戦を前にして閑散としたグラウンドでキム監督は筆者を手招きして呼び、せきを切ったように話し始めた。
「以前ならば“KOREA”と入ったユニホームを着れば、それを意気に感じて何が何でも勝とうとしたものだ。しかし今は違う。選手は無理をしない。年俸がどんどん上がってみんな豊かになってしまったからだろうか」
02年のアジア大会(釜山)で代表チームの監督を務めて以来、WBCでも第3回を除き監督を務めてきたキム監督は、かつて代表選手の誰もが韓国国旗の下に忠誠を誓った当時との違いを嘆いた。しかしその変化は韓国の野球リーグが成熟してきた証しでもある。キム監督にそう問いかけるとこんな言葉が返ってきた。
「日本はリーグが成熟していても代表チームが団結しているではないか」
精神論だけでは通用せず
韓国はキム監督が求めるような「代表チームのためなら何でもする」というような精神論で今までは成立していたが、代表チームのシステムが明確ではない中で、それを維持するのは難しい時期に差し掛かっている。
一方で「選手の意識は昔も今も同じ」と第1回大会で活躍し、昨季限りで引退した元中日のイ・ビョンギュ氏(42歳)は言う。「みんな体が仕上がってないんだよ」。そう言って大会開催時期の問題を指摘し、選手たちをかばった。