【ボクシング】三浦隆司が米国ファン魅了のKO勝利! デラホーヤ氏は“年間最高試合”と称賛

杉浦大介

三浦隆司が12ラウンドKO勝利。再びWBC世界Sフェザー級のベルトに近づいた(写真は2015年の試合時のもの) 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

 再びの激闘、最大の山場が訪れたのは第10ラウンド終了間際のこと――。三浦隆司(帝拳)が渾身の力を込めて放った左アッパーが、ミゲール・ローマン(メキシコ)のボディを綺麗に捉える。この痛烈な一撃を浴びて、不屈の闘志を見せてきたメキシカンがついにリングに倒れこんだ。

 予期していなかったタイミングで完璧なパンチを浴びたことを考えれば、ローマンが立ち上がってきたことは驚異的。しかし、大きなダメージを与えたことに変わりはなく、勝敗への興味はここでほぼなくなった。三浦の“ボンバーレフト”が、頑丈な世界スーパーフェザー級コンテンダーを破壊した瞬間だった。

序盤は地力に勝る三浦が効果的な攻撃

「ローマンはものすごいタフで、パワフルな試合をする選手ですけど、自分もそういうボクシングをする。激しい試合になると思いますが、最後に勝つのは自分だと信じています」

 現地時間1月28日(日本時間29日)、米国カリフォルニア州インディオのファンタジー・スプリングス・リゾート&カジノで行われたプロボクシングのWBC世界スーパーフェザー級挑戦者決定戦は、記者会見時に三浦がそう語っていた通りのファイトになった。

 パワー、馬力では大きく勝る三浦が、序盤から左右のボディと強烈な左ストレートを随所にヒット。接近戦を好む小柄なローマンの細かなパンチをもらうシーンもあったが、第4ラウンド終盤に左オーバーハンドを打ち込むなど、全体には前王者が優位に滑りだしたように見えた。

三浦が足を使うそぶりで打撃戦が激しくなる

 ただ、何を思ったか第5ラウンド開始早々から三浦が足を使うそぶりを見せて以降、流れはローマンに徐々に傾いていく。一発のパンチ力では明らかに上回っているものの、相手の手数の前に押され気味。徐々に距離を詰められ、第6ラウンドにはロープ際の右でダメージを受けた。

「どちらもワールドクラスのディフェンダーではありません。そもそもそうなろうともしていません」

 この試合を中継した米メガケーブル局HBOのアナウンサー、ジム・ランプリーがそう述べたほど、打ちつ打たれつの激しい打撃戦だった。この試合を見て、米国国内の多くのファンは三浦にとっての米リング初登場となったファイトを思い出したことだろう。

 2015年11月21日、ラスベガスでのタイトル戦で、当時は王者だった三浦はフランシスコ・バルガス(メキシコ)に9ラウンドKO負け。第4ラウンドにダウンを奪い、8回にはKO勝ち寸前に迫りながら、続くラウンドに強烈な連打を浴びてストップされてしまった。

 多くの媒体から15年の年間最高試合に選ばれたあの死闘から約14カ月。今回の一戦でも、中盤ラウンドにはバルガスと同じくメキシコ人のローマンの連打にさらされ始めた。その時点では、悪夢の結末を繰り返すのではないかという懸念も頭をよぎったのだが……。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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