内山高志、不完全燃焼でリベンジならず コラレスの老獪さの前に攻めきれず
判定負けも「妥当かな」
内山はリベンジを誓っての世界戦だったが、不完全燃焼のまま判定負けとなった 【赤坂直人/スポーツナビ】
あまりにも重い言葉だった。2016年4月27日にプロ26戦目にして初の黒星を喫したリベンジの舞台は大みそか。12月30日の公開計量では、「絶対這い上がってやるぞという気持ちでプライドをかけて戦うだけです」と、ここ数年の日本ボクシング界をけん引してきた希代のボクサーは、この一戦へ掛ける強い気持ちを明かしていた。
東京・大田区総合体育館で行われたプロボクシングWBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ。4月とは立場が代わり、王者ジェスレル・コラレス(パナマ)に、過去11連続防衛を果たしていた前スーパー王者・内山高志(ワタナベ)が挑んだ。
緊迫した雰囲気のまま進んだこの一戦は、両者ともに決定打を打ち込めないまま12ラウンドが終了し、決着は判定へ。「117−110でコラレス」「114−113で内山」の順番で読み上げられると、最後は「115−112」。引き分けはなくなり、4300人の観衆で埋まった大田区総合体育館の誰もが内山のコールを待った。しかし……無情にも軍配はコラレスへ。その瞬間、内山は天を見上げた。
会場の四方八方から「内山、負けてないぞ」との声が飛んだ。「ファンの方は僕のことをすごく応援してくれていて自分びいきで見てくれているので」とその心情を慮った内山だが、「試合終了のゴングが鳴った瞬間『取られたかな』と。判定を聞いても妥当かな」と言い訳はしなかった。
なりふりかまわないクリンチ
コラレスはあきらかな時間稼ぎなどブーイングを浴びたが、所々でクレバーさも見せた 【赤坂直人/スポーツナビ】
この試合を放映したテレビ東京の鷲見玲奈アナウンサーをナンパしたことがメディアで話題になるなど、一見ラテンのノリでおちゃらけているように見えた王者だが、意外なクレバーさも発揮した。前戦からロープ際に詰められると、がむしゃらな連打で前に出てくると見ていた内山陣営は、そこでカウンターのボディを打ち込みたかった。しかし、内山のテクニックを警戒したコラレスは思った以上に手を出してこなかったのだ。