交通渋滞を越えてアストラエンブレム 「競馬巴投げ!第136回」1万円馬券勝負

乗峯栄一

でも「プロの競馬ファン」て何だ?

[写真3]テイエムタイホー 【写真:乗峯栄一】

 そんなことを考え、新大阪に着き、タクシーに乗っていると、運転手が「東京から?」などと聞いてくる。

「有馬記念でやられての帰りで、ガックリで」

「有馬記念で東京まで行くの?」

「まあ。予想の仕事とかしてるもんで」

「予想? 競馬の予想やってんの? いまいくら? 昔は一枚50円やったけどなあ」

 運転手、場立ちの予想屋と間違えてる。

「あ、場立ちの予想屋じゃなくて……」

 いま場立ち予想屋は激減してる。中央ではもうずいぶん前にいなくなったし、園田でもいまは一人だけで、その人(もうおじいちゃんの様子だが)も一代限りで終わりになるらしい。全国の公営競馬ではどうなんだろう。まだみんな元気でやってんのかなあ。

 しかし自分の予想目だけ書いて(いまはたぶん1レース分百円だと思うが)それを売るという、これは大変な勇気がいると思うのだが。「外れたやないか」と文句言われたらどうしようなどと、ぼくなんか、初めから逃げる準備して予想目を売るような気がするが。

「そうか、ネットとか新聞に予想書いておカネもらってんだ。運転手がタクシー運転手やるようなもんやな。ははは」

 運転手は笑うが、何なんだろう。「運転手がタクシー運転手やるようなもの」?

 一般競馬ファンがプロの競馬ファンになるってことかなあ? でも「プロの競馬ファン」て何だ?

 単一クローンばかりいる池に、ちょろっと違う遺伝子のミジンコが現れて、「お前、なんだ、ちよっとだけ遺伝子が違うって、それだけで“一般ミジンコじゃないぞ”とでも思ってんのか」と数万のミジンコ・クローンから攻め立てられるようなことなんだろうか。何だか分からなくなって、タクシーの窓にまたガックリうなだれる。

気持ちも新たに京都金杯から勝負!

 そんなことには関係なく、新年、気持ちも新たに京都金杯から行く。主に去年の撮影だが、まず写真の説明をする。

[写真1]は菊花賞(3着)週のエアスピネル。菊花賞からマイルへ、かなりの英断にも思える。

[写真2]はNHKマイル(4着)週のダンツプリウス。近走もうひとつだが、巻き返しはあるか。

[写真3]はマイルCS(13着)週のテイエムタイホー。このところ大きな着が多いが。

[写真4]ピークトラム 【写真:乗峯栄一】

[写真4]は去年3月武庫川S(1着)前のピークトラム。シュミノーってどんな騎手だろうか。

[写真5]フィエロ 【写真:乗峯栄一】

[写真5]は安田記念(3着)週のフィエロ。阪神C3着で勢いはある。

[写真6]ブラックスピネル 【写真:乗峯栄一】

[写真6]はちょっと古いが一昨年デビュー前のブラックスピネル。音無厩舎の坂路調教で調子は上がっているようだが。

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著者プロフィール

 1955年岡山県生まれ。文筆業。92年「奈良林さんのアドバイス」で「小説新潮」新人賞佳作受賞。98年「なにわ忠臣蔵伝説」で朝日新人文学賞受賞。92年より大阪スポニチで競馬コラム連載中で、そのせいで折あらば栗東トレセンに出向いている。著書に「なにわ忠臣蔵伝説」(朝日出版社)「いつかバラの花咲く馬券を」(アールズ出版)等。ブログ「乗峯栄一のトレセン・リポート」

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