ジダンは偉大な監督か、マネジャーか スペインでの評価は「幸運に恵まれた男」

木村浩嗣
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“監督ジダン”をスペイン人がどう見ているか

スペインのサッカー番組でのアンケートで、監督ジダンについて一番多かった答えは「幸運に恵まれた男」だった 【写真:アフロ】

 レアル・マドリーがクラブワールドカップ(W杯)に向けて日本へ旅立った直後、スペインのサッカー番組がアンケートを取った。お題は「ジダンをどう評価するか?」。視聴者の回答で一番多かったのが「幸運に恵まれた男(33%)」で、次が「幸運に恵まれた良い監督(27%)」、その次が「監督というよりマネジャー(24%)」、最後が「偉大な監督(16%)」だった。

 欧州チャンピオンズリーグ(CL)優勝監督にして、クラブW杯の前までで35試合無敗のクラブ記録を更新中、リーガ・エスパニョーラ首位を独走し、指揮官として自身3冠目のクラブW杯優勝まであと一歩と迫った男の評価が、「幸運に恵まれた男」というのはどうなのか? 娯楽色の強い番組でのアンケートというのは差し引いても、“監督ジダン”をスペイン人がどう見ているのかを象徴する結果だった。

 今年3月、シーズン途中の就任後2カ月半のジダンへの感想をレアル・マドリーファンに聞く機会があった。意外だったのは大半が「選手としては偉大だが、監督としてはどうか……」と懐疑的に見ていたことだ。スペイン人はサッカーをよく知っている。ラファエル・ベニテス前監督を監督に据えたフロレンティーノ・ペレス会長がその失策の尻拭いのために人気者ジダンを利用したことも、彼らはお見通しだった。

かんばしいものではなかった就任前の評判

 就任前のジダンの評判はかんばしいものではなかった。カルロ・アンチェロッティ監督のもとで1年間助監督を務めた後、Bチーム、レアル・マドリー・カスティージャの監督に就任するも、2部昇格の目標は達成できず、自らの息子の起用をめぐって主力選手との対立も伝えられていた。マスコミも就任後、最初の1カ月は煽ったが、再びチームが低迷し始めると経験不足を指摘する声も出始めていた。まさかその2カ月後にCLを制覇し、欧州の頂点に立とうとは……。
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著者プロフィール

元『月刊フットボリスタ』編集長。スペイン・セビージャ在住。1994年に渡西、2006年までサラマンカに滞在。98、99年スペインサッカー連盟公認監督ライセンス(レベル1、2)を取得し8シーズン少年チームを指導。06年8月に帰国し、海外サッカー週刊誌(当時)『footballista』編集長に就任。08年12月に再びスペインへ渡り2015年7月まで“海外在住編集長&特派員”となる。現在はフリー。セビージャ市内のサッカースクールで指導中。著書に17年2月発売の最新刊『footballista主義2』の他、『footballista主義』、訳書に『ラ・ロハ スペイン代表の秘密』『モウリーニョ vs レアル・マドリー「三年戦争」』『サッカー代理人ジョルジュ・メンデス』『シメオネ超効果』『グアルディオラ総論』(いずれもソル・メディア)がある

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