ハリル「先発で出ていない選手も信用」 W杯最終予選 イラク、豪州戦メンバー発表

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W杯アジア最終予選・イラク戦とオーストラリア戦に臨む日本代表メンバーを発表したハリルホジッチ監督 【スポーツナビ】

 日本サッカー協会は29日、都内で会見を開き、10月6日に行われるワールドカップ(W杯)アジア最終予選のイラク戦と11日のオーストラリア戦に臨む日本代表のメンバー26名を発表した。

 鹿島アントラーズのMF永木亮太が初招集され、フランス1部メスに所属する川島永嗣は代表復帰を果たした。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「グループの中で特別な役割を担ってもらいたい」と川島のリーダーシップに期待。「この2試合、今までよりもメンタルを出していかなければいけない試合になるためエイジを呼ぶ」と招集の理由を説明した。

 またハリルホジッチ監督は主力メンバーの試合勘にも言及。「海外組がたくさんいるが、12人ほど先発で出ていない」と心配の声を上げたが、「誰を交代で入れるのか? かなり難しい」と現状では替えが効かないメンバーであることを強調した。

3人のGKと23人のフィールドプレーヤーを選んだ

登壇者:
ヴァイッド・ハリルホジッチ(サッカー日本代表 監督)
田嶋幸三(日本サッカー協会 会長)

田嶋 皆さん、こんにちは。お忙しいなか、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。この記者会見は私にとって2回目となります。前回、本当に危機感を持って、日本サッカー全体で臨む必要があると申し上げました。今、アジアのさまざまな国が台頭し、このW杯予選、今までも簡単な試合は1試合もありませんでした。残念ながらUAEには敗れ、そしてタイには勝ったということで、この3戦目、4戦目は非常に重要な戦いになると思っています。多くの国民の方々の期待、多くのサッカーファンの期待も含めて、われわれはそれに応えられるように頑張らなければいけないと思っています。緊張感を持って、選手1人1人、われわれサッカー協会全体が情熱を持って、次の2試合に臨みたいと思います。皆さん、よろしくお願いいたします。

ハリルホジッチ コンニチハ。会長も言ってくれたが、10月の2試合を準備している。この2試合、難しい試合が待っている。イラクもオーストラリア2チームともクオリティーが高い。オーストラリアはアジアチャンピオン(2015年アジアカップ優勝)でもあるし、イラクはアジアカップでベスト4までいったチーム。イラクは2試合負けてスタートしている。オーストラリアは2連勝。イラクは(第2戦の)サウジアラビア戦はかなりいい試合をした。そしてオーストラリアはかなりゲームを支配して、経験とともにこの2試合を勝った。

 まずはしっかり1戦目、イラクに勝つトライをしていかなければならない。去年(6月)、われわれはイラクと対戦した(4−0で勝利)。もう一度この試合を見直したが、特に前半、われわれは素晴らしい試合を展開した。同じ展開を望んでいる。ただ、前回はフレンドリーマッチ、今回はW杯の最終予選だ。次はオーストラリア戦が待っている。今シーズン、最も難しい試合になると想像している。今のところ、アジアで最も強い相手だと認識している。そのための準備もしないとならない。われわれは自信、強い決意を持ってやっていく。そして勝つためのトライをするということ。われわれにはそれができると信じている。そのための準備をしたい。

 そのためのリストをここに用意している。少し(メンバーを)広くしたリストだ。23人のフィールドプレーヤーとそのフィールドの各ラインに1人ずつ多めにしている。なぜこうしたかというと、この後、皆さんにできるだけ質問してほしい。この中で批判もあるだろう。フランスでも、私に対する批判記事があった。最終予選で1試合負けて、記事になった。記事の内容としては、「選手に笑いを禁止した」というタイトルだった。

 そういったことに関しても、質問してほしい。ここで私が全部答えるので、コーチや関係者には話さないようにしてほしいということだ。とにかく私に(質問を)たくさんしてほしい。すべて私の責任で選んでいるからだ。私が就任してから、日本のフットボールのために恥ずかしいことはしていない。もちろん、間違えることもあるだろう。ただ、私が何をしているかは把握しているつもりだ。躊躇(ちゅうちょ)なく、ためらいなく、可能な限りの質問をしてほしい。心の底から正直にすべてお答えする。

 GKは3人。ニシ(西川周作)とヒガシ(東口順昭)は前回も呼んだ。川島永嗣もここに連れていきたいと思っている。エイジは(トップチームで)プレーしていないが、残念ながら彼だけではない。海外組がたくさんいるが、12人ほど先発で出ていない。今回のリスト作成は本当に難しかった。エイジはメスのセカンドチームでプレーしている。それでも悪くないはずだが。エイジにはグループの中で特別な役割を担ってもらいたい。発言力もあるし、チームに良いスピリットをもたらせるのではないかと思う。リーダーの1人でもある。経験もある。厳しい戦いにおいて、彼のグループの中での存在感が必要になってくる。彼がプレーするかどうかはまた別問題だ。経験のある選手の1人であるため、期待している。コミュニケーション、励ますところ、この2試合、今までより本当にメンタルを出していかなければいけない試合になるため、そのためにエイジを呼ぶ。

 DFは9人呼んでいる。酒井宏樹、酒井高徳、長友佑都、太田宏介。ここにコメントは必要ないだろう。ヒロキとゴウトクは常に向こうで先発を取っている。ほかの人たちはそこまで取っていない。センターバックは5人。槙野(智章)はけがの後、リハビリの最中だ。1人ではないが、植田(直通)という若い選手もいる。

 中盤。長谷部(誠)、山口(蛍)、柏木(陽介)はおなじみただが、新しい選手として永木(亮太)。長い間追跡してきた選手だが、いい存在感を出していると思う。オーストラリア戦で必要になると思う。しっかりボールを取る選手だ。リポートが毎週来るのだが、常に良い選手だった。少し呼んでA代表で見てみたいと思う。ヨウスケは後ろから組み立てる存在だ。それから前の選手、シンジ(香川真司)、キヨ(清武弘嗣)、大島(僚太)。大島は若い。私は常に若い選手を呼びたいので、信頼をして使い続けていきたい。能力はかなりある。ただ、まだ恥ずかしがりやの面がある。まだまだリスペクトし過ぎだと思う。もっともっと勇気を持ってやってほしい。合宿中の練習ももっと自信を持ってやってほしい。自分に自信を持って。前回の合宿は2つ単語を話してくれた。今回は4単語くらい話してほしい。それでだいぶ向上したと思う。

 FW。おなじみの選手だ。本田(圭佑)、小林(悠)、宇佐美(貴史)、原口(元気)、オカ(岡崎慎司)、武藤(嘉紀)、浅野(拓磨)。先発で出ていない選手もけっこういるが、彼らを信用している。本当にいろんな質問ができると思う。2週間かけてこのリストを考えている。なぜかというと、2週間前にはリストを海外に出さないといけない。先発で出ていない人も何人もいるが、各選手のクオリティーはよく知っている。試合が最もいいトレーニングであるため、理想は常に先発で出続けてほしいというのはある。だが、先発で出られなくてもしっかりと補足トレーニングを積んで、高いレベルの試合についていけるようにしておいてほしいということだ。

 3人のGKと23人のフィールドプレーヤーを選んだ。前回は合宿直前に2人(長友、槙野)負傷してしまったので、すぐに呼べたが(丸山、遠藤航)、われわれのDFはすでに3人ほどイエローをもらっているので(酒井宏、吉田麻也、森重真人)その準備もしておかないといけない。あとは戦術のチョイス、特にフィジカル面で、ホームとアウェーで使い分けないといけない。そのために23人ほどフィールドプレーヤーを合宿に呼びたいと思っている。

 このリストを作るのは簡単ではなかった。私の選択をしたわけだが、私の選択が良かったかどうかはこれからだ。あとは、プレーしていない選手、彼らを外したら、ほかに誰が代わりにいるのかといったことも考えなければならない。日本で行われているフットボールもかなり深いところまで知識を得た。残念ながら、まだまだ海外と日本で行われているフットボールには歴然とした差がある。特にフィジカルの面においてだ。そこも考慮に入れなければならない。15人ほど海外組がいて、先発で出ていないものがいる。普通の基準でいけば呼べないわけだが、川島、長友、吉田、長谷部、香川、清武、本田、岡崎、宇佐美、武藤、彼らを除いてしまったら、誰を交代で入れるか? かなり難しい。だから、このような選択は私にはできないということだ。

 W杯ブラジル大会以降、何が起きているか。例えばドイツ代表は、それまで先発だった選手を3〜4人、監督が代えた。キー選手を代えたので、空白の時間ができてしまい、1年半かけて復活した。そのようなシチュエーションは代表レベルで起きるということだ。より良い選手が必要になってくる。そして良くない選手はだんだんのけていかないと。そして、選手のモラル面も考えておかなければならない。気持ちの面。先ほど会長とも話したが、アンビション。野心の問題をW杯に向けていくのか。10月はメンタル面が重要になってくると思う。

<メンバー26名>

GK:
川島永嗣(メス/フランス)
東口順昭(ガンバ大阪)
西川周作(浦和レッズ)

DF:
長友佑都(インテル/イタリア)
槙野智章(浦和レッズ)
森重真人(FC東京)
太田宏介(フィテッセ/オランダ)
吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)
丸山祐市(FC東京)
酒井宏樹(マルセイユ/フランス)
酒井高徳(ハンブルガーSV/オランダ)
植田直通(鹿島アントラーズ)

MF:
長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)
柏木陽介(浦和レッズ)
永木亮太(鹿島アントラーズ)
香川真司(ドルトムント/ドイツ)
清武弘嗣(セビージャ/スペイン)
山口蛍(セレッソ大阪)
大島僚太(川崎フロンターレ)

FW:
岡崎慎司(レスター/イングランド)
本田圭佑(ミラン/イタリア)
小林悠(川崎フロンターレ)
原口元気(ヘルタ/ドイツ)
宇佐美貴史(アウクスブルク/ドイツ)
武藤嘉紀(マインツ/ドイツ)
浅野拓磨(シュツットガルト/ドイツ)

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