ハリル「先発で出ていない選手も信用」 W杯最終予選 イラク、豪州戦メンバー発表

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大迫が入るチャンスはある

主力選手が所属チームで試合に出ていない状況もあり、ハリルホジッチ監督は悩みぬいた末での選考であることを強調した 【スポーツナビ】

──例えばドイツ・ブンデスリーガの1部や2部で活躍している選手がいるのに、今はベンチであったりベンチ外であったりという選手を(メンバーに)残した理由を教えてほしい。(河治良幸/フリーランス)

ハリルホジッチ 具体的にどの選手か教えてほしい。

──大迫(勇也)や細貝(萌)。

ハリルホジッチ まず大迫だが、ここ3試合でスタメンを勝ち取り、2得点を挙げた。大迫の2得点をご覧になっただろうか。大迫はもちろん分析しているが、数カ月スタメンで出られず、ケルンのグループにも入っていなかった。出場したときも中盤あたりのポジションだった。今、ようやく第2アタッカーとしてのポジションを得ている。彼とも去年、ディスカッションをしたが、A代表ではFWとしてプレーしてほしいと伝えていた。最近はようやく(ゴールから)16メートルのところに近づいているように見える。1年たって、ようやく2点を取ったわけだ。

 もちろん大迫については、ずっと追跡している。海外(の選手招集のため)に15日前にリストを送っている。リストを送ってから、大迫が点を決めるようになった。クオリティーも見ている。良いプレーをして得点も挙げた。このように(好調を)続けていれば(代表の)競争に入れると思うが、今はリストには入っていない。長澤(駿=ガンバ大阪)という選手も挙げさせてもらう。この選手も面白い。浅野、岡崎、武藤とは違ったフィジカルを持っている。

 選手のチョイスに関しては、1点2点を取ったからといって、すぐにA代表に呼べるわけではない。武藤も岡崎も浅野も私がチョイスしたが、大迫はフィジカル的にも興味深い選手だ。このように得点を取り続けてくれれば、面白い選手になると思うが、セカンドアタッカーの選手にはなると思う。われわれは、引きつける役として、FWをワンポイント置いているが、彼はそこもできるかもしれない。この2試合はもちろん見た。他の候補も見ている。この試合に関しては、岡崎、武藤、浅野にチャンスを与えるが、大迫がここに入るチャンスはあると思う。

 細貝だが、私が呼んだ中盤の選手と比較して、パフォーマンスが上という感じではなかった。私のアシスタントコーチが昨日ドイツから帰国して、われわれが追跡している選手ともかなりディスカッションしてきた。宮市(亮=ザンクトパウリ/ドイツ)も見てきたし、ブルガリアの加藤(恒平=ベロエ・スタラ・ザゴラ)も見てきた。ただし1試合見て、すぐに呼べるわけではないのが代表だ。永木については、長い期間見てきて、かなりいい存在感を出している。すべてオープンな状態で私はチョイスしている。

 大迫もA代表に呼ばれるために、何をしなければならないかは分かっているだろう。岡崎よりもいいプレーをしていれば、岡崎を呼ばずに大迫を呼ぶことになるだろう。岡崎がキャップ数100を超えていても、そこは関係ない。それは皆さんに公言できるし、これは全選手に対するメッセージでもある。

言い訳は好きではないし、負けるのも嫌いだ

──9月はコンディションの問題があった。今回も同じような日程で選手を招集しなければならない中、特に1試合目はどのようにコンディションをもっていこうと考えているのか?(大住良之/フリーランス)

ハリルホジッチ ヴァイッドが言い訳していると書かないでほしい。お互い、理解できないことはもちろんあるだろうが、1回のトレーニングを想像してみてほしい。いろんな選手がいる中で、間違いがあるかもしれないし、私自身もわれわれがやってきたことについて1000くらいのクエスチョンがある。いろいろテストをやっているが、(試合)2日前の火曜日に到着する選手もいる。これは非常に難しい問題で、たくさんのことができない。

 火曜日に到着した選手に、少しトライをしなければならない。ただし、ビデオミーティングの間、居眠りしている選手もいた。身体生理学的に器官が疲労している中、私は戦術のトレーニングをしなければならない。先ほど、「1回のトレーニングを想像してみてほしい」と言ったが、45分で9つのテーマを成し遂げた。少しやり過ぎたかもしれない。疲労があったのに、さらに疲労させてしまったことに疑問を抱いてしまった。

 われわれはディテールを突き詰めて準備してきた。そして1回のトレーニングで、守備も攻撃も耐えていかなければならない。ただし、私は“魔法の杖”を持っていない。すぐに変化を与えることはできない。おそらく選手は疲労したと思う。本当に大切なのは調整だし、1試合目は重要になる。私もいろいろな場所で強調してきたが、試合日は木曜日でなく金曜日にしてほしい。この1日のずれがわれわれには大事だ。

 そしてUAEはかなり長い間、全体練習をやっていた。これは言い訳ではない。シチュエーションを理解してほしいということだ。そういうこともあって、今回エイジを呼んで、メンタル的にもチームを強くしたいと。疲労していたと(試合で)泣くのは簡単だ。そして選手には必ず「疲労しているか」「していないのか」と聞くようにしている。そして火曜日に到着した選手がプレーするかどうかは、まだ決めていない。

 香川、本田、吉田などだ。他の選手も火曜日に到着するかもしれない。彼らのことは信頼しているが、新しい選手というのは、まだ始めたばかりだ。本田、香川、吉田が先発落ちしても問題ないだろう。ただし、そうなったときに誰が彼らの代わりをするかだ。われわれのチームにはスター選手はいない。スター選手は、チームだと思っている。メンタルのクオリティー、経験といったものが違いを生む。先発で出ていない選手には、常にコンタクトをとっている。本来ならば、そういう選手は(代表から)外さなければならない。ただし現状、誰が代わるのかということだ。これは事実だ。

 日本と欧州のフットボールは違い過ぎる。例えばアトレティコ・マドリー対バイエルンのチャンピオンズリーグ(CL)を日本の指導者がライブで見たかどうか、そしてフィジカル的なところ(での違い)を認識したのかどうか。海外で競争している選手がいる。宇佐美がそうだ。試合のグループには入っていない説明を求めた。向こうの監督は、大きくてヘディングの強い選手が必要だと言っていた。私は宇佐美のことをよく知っている。彼にはしっかりトレーニングするように伝えた。今のところ宇佐美はジョーカーとして日本代表に入っている。UAE戦でも15分だけ出て、かなりのチャンスを作ってくれた。これは能力のある選手の役割だ。

 例えば齋藤(学=横浜F・マリノス)がそうだ。FC東京の中島翔哉も魅せてくれるが、(途中出場で)いつも魅せてくれるのかという疑問はある。疲労に関しては、メディカルスタッフの言うことはかなり重要になってくる。疲労回復によってパフォーマンスを上げていかないといけない。毎日、真夜中まで彼らは仕事をしてくれている。あとは身体生理学的なところで、7時間や8時間の時差(ぼけ)をなくすのは不可能だ。そういった難しさもある。簡単ではないけれど、私は(選手の)チョイスをしたということだ。

「私は言い訳をしません」と書いてほしい。言い訳は好きではないし、負けるのも嫌いだ。私は絶対に引き下がらない。私のスタッフが「これはやり過ぎだ」と言っても、私は引き下がらない。泣き言をいう人間は、グラウンドから出ていってもらう。もちろん、きついかもしれないが、そこはわれわれが誇りを持たなければいけないところだ。

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