ハリル「先発で出ていない選手も信用」 W杯最終予選 イラク、豪州戦メンバー発表

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U−17W杯出場は褒めなければならない

田嶋会長は日本へ多くのアドバイスを送ってくれるハリルホジッチ監督に感謝の言葉を述べた 【スポーツナビ】

――監督にJリーグのことをダメ出しされるたびに悲しい気持ちになるが、Jリーグのいいところ、素晴らしいところを1つ教えてほしい。UAE戦と同じ結果(敗戦)になった時、監督はけじめを取ってくれるのか。

ハリルホジッチ 笑えない質問もありましたね。Jリーグに関して批判しているわけではない、私の気づきを言っている。真実を言うと、例えば今日、アジアで一番いいチームだと言うことはできる。相手の方が強いにもかかわらず、言うことはできる。ただ、私が言いたいのは、まだ最終予選は突破していないということ。最終予選を勝ち取りにいかなければならないのが真実だ。私の見方はそうだ。何人かは私の見方にうんざりするだろう。見える統計も用意して私は言っている。国内リーグ、合宿でもわれわれは確かめた。前回の合宿で、ある選手とフィジカルトレーニングも含めて居残り練習をした。その選手は本当について来られなかった。しかし1週間後、5回、6回しっかりトレーニングを積むと、その選手はわれわれのリズムに気付いてくれた。そして素晴らしい試合をした。

 私がJリーグを世界一素晴らしいリーグだと言ったら、「フットボールをおまえ知らないのか」と言われる。フットボールは伸ばせる。Jリーグの選手は足元の技術はある、少しスピードがあるかなというくらいだ。ただ、戦うということはどうか、デュエル(球際の競り合い)はどうか、戦術面はどうか。まだまだ伸ばせる。それを批判ととるのか、私の気づきと受け止めるのか。私は先ほど、全く同じことを会長にも申し上げた。日本のフットボールの将来を本当に心配している。私の見方で話している。これが真実だ。もちろん、同意できない人もいるだろうが。だが、これが私の意見だ。代表監督としての意見だ。

 友人というより、敵として扱われるかもしれない。だが私は、日本のフットボールを発展させるためにここに来た。何も言わないで、隅っこにいることもできる。だが、それで私は何か貢献しているのだろうか。よりやりやすいリーグになるよう、Jリーグのカレンダーも提案した。リーグの責任者に言った。今シーズンに関しては、彼らが(カレンダーを)決定した。私は自分たちの選手がどうなってもいいんだな、例えば半分の選手が体脂肪率があり得ないパーセンテージで(代表合宿に)来た。Jリーグの人たち、それでいいんだな。そこで私が介入するわけだ。ヴァイッドが隅っこで何も言わないのはよくない。

 意地悪を言っているのではない。選手のことは大好きだ。素晴らしい選手たちだ。ただ、フットボールに関してよくないことは言わなければならない。これを批判と取られるか、伸ばすべき気づきと取られるか。皆さんは同意しないかもしれないが。その意見の背景には必ず統計がある。

 ただ、U−16日本代表、おめでとうございます。U−17W杯出場、これは褒めなければならない。昨日は(U−19日本代表の)内山(篤)監督が話しに来た。なぜなら私の意見を尊重していると。私がU−19日本代表のために何かできるのであれば、U−20W杯に行けるのであれば、私は何でもできますよと。私は日本の将来のため、それを期待している。私が間違えることもあるが、私の意見は常に私の目で見たこと。批判は簡単だが、私も40年フットボールの世界に足をつけている。ただ日本のフットボールが発展するために、貢献したいというだけ。この図(1ページ目の写真参照)も見せた。アイデンティティーを見つけ、日本の長所をどう使って世界で勝つのか。テクニック、戦術、フィジカル、メンタル。私の提案を書いた。それを彼らがやってくれるかは分からないが、これは私の役割。

 真実を言うのは怖くない。アジアで一番強いチームじゃないぞ、勝たないと、と。もちろん時々、駆け引きのことは覚えないといけない。監督も政治家のような振る舞いもしなければならない。でも私は真実しか言えない。たくさん大変なことはあるが、私は日本で生活するのも大好きだし、仕事をするのも大好きだ。そして常に勝ちたい。フランスの新聞がヴァイッドがチームに笑いを禁止したという記事を書いたが、私は禁止していない。ただ、選手には負けた後にお祭り騒ぎになるとか、冗談を言うとかは評価できない。それは悲しむし、私はこういう人間だ。私は自分の長所もあれば短所もある。端っこでじっと見ていることはできない。中に入って真実を伝える。会長に言っているし、常に提案している。会長も信頼してくれる。私のやっていることを常に把握してくれている。私のやる気をここに見せている。批判されても仕方がない。これは私の意見だ。あとで隠れて統計をしっかり見てほしい。そうすれば理解できることもたくさんある。

 まず1試合負けてしまった。勝つべき試合で負けてしまった。負けてしまったのは、日本だけの責任だったかなという気はする。われわれはいい試合をした。今はもう審判の話はしたくないが。皆さんを喜ばせたかったが、できなかった。試合を成功させるために何かはしていかないといけない。皆さんが私のほかに別の監督を連れてきたいのなら別だが、まだまだやるべきことがある。

田嶋 まず、彼は今説明したように、Jリーグの発展を望んでいるからこそ、そういう気づきを言っている。ほかに1試合1試合の感想も含めて、ポジティブな面を言っているのも事実です。それから、私にも耳の痛いこと、ユースチームや五輪チーム、そういうところに対しての意見もすごくいただいています。もちろんすぐに改善できる問題、時間のかかる問題、さまざまあるけれども、それを言ってもらえるからこそ、われわれはしっかりと改善したいと考えています。

 言われたら何となく防御に入りたい、それに対して対抗したいというのは人間としてあるかもしれない。逆に外から見てもらった日本のサッカーを率直に伝えてもらえるのは僕はありがたいと思うし、それこそそのへんのことを気付かずに、自分たちの中だけで完成してしまい、満足してしまい、世界で戦えなくなることを恐れます。ですから私が会長になった時も世界基準で、世界と本当に戦うために日本のサッカーを変えていきたいと申し上げたつもりです。そのことを実行する上では、非常に耳が痛いのもあるけれども、ありがたい意見だととらえています。必ずしも悪い面だけを言っているわけではないということもお伝えしておきます。

――シンプルにこの2試合の目標を教えてほしい。

ハリルホジッチ 目的は常に一緒。2試合勝つというトライをしなければいけない。1試合目でわれわれは厳しい経験をしたので、イラクに対しては1年前、4−0で勝ったが、状況は全く変わっている。イラクの試合はかなりの数を見ているが、彼らも強い。180センチ、190センチの選手がゴロゴロいる。戦術、クオリティーも高い。ただ、われわれは勝たなければならない。まずはイラク戦を勝たなければいけない。

 オーストラリアはまだ話さなくてもいいと思っている。話すとすると、アジアの最も強い相手と戦わなければいけない。かなりいいフットボールをしており、ほとんどの選手がイングランド、もしくはほかの海外(のクラブ)でプレーしている。つまり高いレベルのフィジカルコンタクトに慣れている選手の集まりだということ。しかもホームではアグレッシブに来るはずだ。時には限界を超えてくる。まずは頭の中からわれわれは強く入っていかなければならない。彼らのアグレッシブさに対抗できる状況にしておかなければならない。フィジカル的な戦いに応えていかないといけない。彼らは仕掛けてくる。空中戦を仕掛けてくるので、それに対して準備をしておかなければならない。

 引き分けるのであれば、勝つことを想定して引き分けるということになるだろう。引き分けから入ると、違う結果になると思う。まず勝つという発想をしなければならない。結果としてもしかしたら引き分けになるかもしれないが、まずは勝つという発想を持たなければ。つまり私は「ビクトリー」という言葉を発しているが、それを選手の頭に植えつけたい。なぜなら、違う段階が待っているからだ。トレーニングの最中に紅白戦でも負けているチームには励ましている。オーストラリア戦ではいろいろな面でいいテストになると思っている。素晴らしい試合をしなければならない。そしてアウェーで勝たないと。これをそのまま選手に言いたいと思う。

――川島のコンディションは? 鼓舞する選手が必要だと言ったが、前回はそういう選手がいなかったということか?

ハリルホジッチ 1試合目に敗北して、勝つよりも負けた方が100倍情報が入ってくるとよく言われる。何人か疲労はもちろんあったし、ただグラウンドで不正義が起きたと私は認識している。そこで(選手には)プレッシャーをかけてほしかった。相手にもっとプレッシャーをかけて、点を取るという状況にしてほしかったが、われわれは落ち着いて不正義を受け止めてしまった。私はグラウンドにあえて入って、審判に私を退場にしてくれと抗議行動をした。やってはいけないことは知っていたが、観客や国民の皆さんに何かアピールができるのではないかと思った。あの状況では許せなかったので、グラウンドに入ってしまった。

 キリンカップでも少し似たような状況があった。そのとき、エイジはプレーしていなかったが、しっかりと話して全員のモチベーションを上げていた。そして、大島に関してもよく考えた。大島は(代表に)入ったばかりだった。でも大島に誰も何も言っていない。そういったところを変えたい。ロッカールームではどのようなクラブでも代表でも何が起きているのか分かる。勇気をお互いに出し合う、気持ちを出し合う、そういうことを作り出したい。もっともっとそういうところを努力してくれと選手には言った。何人かの選手にはそこで存在感を出してほしい。

 このような第3のGKをメンタルプレーヤーとして扱うのは各国やることだ。パリ・サンジェルマンでもやっている。メンタルプレーヤーを入れて、気持ちを立ち上げて、チームを底から押し上げる。エイジにはその役割を担ってほしい。この2試合に向けて、彼はリザーブチームで試合をしているが、素晴らしいフィジカル状態だ。私はめちゃくちゃなチョイスはしていないと思う。大迫も2試合見ている。エイジはツーリスト(観光客)としているわけではない。そして、フランスでは第1、第2、第3GKは一緒にトレーニングしている。監督にも電話をしている。トレーニングを続けている。すぐに先発で出るのは難しいかもしれないが、特別な役割を与えたい。エイジにもそれを説明しなければいけない。例えば、ニシ(西川)がけがをして、すぐに準備していなかったら使えない。10年先発を取っていた選手であり、私にはツーリストだという考えはない。

※質問者に関しては、掲載許諾の確認が取れた方のみ明記しています。記名のない方は確認が取れていない方ですので、拒否されている訳ではありません。

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