改めて考える「やっと」の海外馬券発売 ダービー馬マカヒキ挑戦の意義
乗り替わりの意味するもの
マカヒキはルメールに乗り替わってニエル賞を快勝したが…… 【写真は共同】
マカヒキはデビュー3連勝のうち2、3勝目をルメール騎乗で挙げてますから、元に戻ったと言えなくはないのですが、乗り替わった川田が皐月賞2着でダービーを制しました。9月11日には現役14人目のJRA通算1000勝を史上2番目に早い記録で達成。ここ数年、JRA生え抜きとしてトップクラスの地位を築き、まさに脂が乗ってきたところです。
彼の肩を持つつもりはさらさらないのですが、そういう騎手がデビュー12年目にダービーを制し、その馬が凱旋門賞に出走するのに乗り替わりを命じられる……。
騎乗するのがフランス人で、JRA所属となったルメール。かの地の競馬を熟知しているからこその起用なのは理解できますが、戦略的見地を優先した結果の、この現実をどう考えるべきなのか。
勝てば無論、歴史的快挙にはなりますが、この手法に頼ることで勝ったとして、はたしてスムーズに次のステップにつながるのかどうか……。
あくまでスタート地点として
しかし、将来的に発売方法の見直しとか、JRAに限らず出走馬情報の提供の仕方や、メディアの扱い方も含め、しばらくは試行錯誤が続くでしょう。
今回のケースですと、予備登録が締め切られた当初はドゥラメンテを筆頭に日本馬が11頭登録していましたが、結局出走予定馬はマカヒキ1頭。これでマカヒキまで断念していたらどうしていたのか、とか。
海外の馬券発売は、まあ言ってみれば他人任せの興行ですから、臨機応変に対応できる強みがあるのは確かですが、実際にそういう事態になったら買う側にちょっとした混乱が生じたりしないものでしょうか。冷静に経緯を見極める必要があります。
やはり、“やっと”という到達点ではなく、これからが本当の意味でのスタート、“出発点”になると言えそうです。
それは前述の通り、マカヒキがここでどんな結果を残すのか、という最大の焦点についても言えること。
勝つにしろ負けるにしろ、ここの結果が改めて日本競馬のスタート地点なのだ、という心構えで当日を待ちたいと思っています。