有利なのはロズベルグかハミルトンか F1シーズン半分終了、今後の展望は?
ポイントは同等でも使用PUの差がどうでるか
開幕から4連勝を果たしたロズベルグは同僚ハミルトンの追い上げを受けるが… 【Getty Images】
今シーズンはPUが年間5機(PUはエンジン本体、ターボ、MGU-K、MGU-H、バッテリー、コントロールエレクトロニクスの6つのエレメントで構成)までと決められており、6基目を投入するレースは予選10グリッド降格、さらに各エレメントも6基目を投入する場合は予選5グリッド降格となる。さらにその後も、新たなPUもしくはエレメントを投入するごとに予選グリッド降格が待っている。同じくギヤボックスも6戦連続で予選・決勝を連続して使わなければならないとしており、これに違反して新たなギヤボックスを投入すると予選5グリッド降格となる。
これを念頭に2人のドライバーそれぞれのPU使用数を調べていくと、イギリスGP開始時のFIA発表によると、ハミルトンはエンジン3基、ターボ5基、MGU-H5基、MGU-K3基、バッテリー3基、コントロールエレクトロニクス3基とある。一方のロズベルグはエンジン3基、ターボ3基、MGU-H3基、MGU-K2基、バッテリー2基、コントロールエレクトロニクス2基となっている。
これを見ると一目瞭然で、すでにハミルトンはターボとMGU-Hは上限の5基目を使用していて、このふたつは新しくする度に予選グリッド降格が待っている。もちろん、ライバルと比較して、速さに勝るメルセデスだけに、このハンディを乗り越えることは可能だが、それでもロズベルグが有利なことに違いはない。とくに抜きどころが少ないハンガリーGPや、シンガポールGP、アブダビGPといった、ストリートコースやそれに準じたコースでの予選グリッド降格は大きく響いてくる。
このように、ポイント上はまったく互角に見える戦いだが、その実情は大きく違っている。その昔、西武ライオンズ監督として8度のリーグ優勝と6度の日本一に輝いた森祇晶氏は、7戦ある日本シリーズでの戦いを「3敗までできる」と考えて戦っていたという。その考え方に基づけば、ロズベルグはもっとハミルトンに後ろからプレッシャーを掛けたり、前で塞いで、無理にオーバーテイクを仕掛けるリスクをハミルトンに取らせるなどをして、単純なレース結果以上の果実を取りに行くことも可能なはずだ。なんにせよ、残り11戦は、こうした心理戦も加わった戦いが繰り広げられるに違いない。
マクラーレンが巻き返せるとしたら?
とは言え、まだまだマクラーレン・ホンダという黄金時代を知るファンにとっては物足りない。少なくとも毎戦表彰台争いに加わるようなパフォーマンスは見たいものだ。
では、今年のホンダ製PUはどの程度戦闘力があるのだろうか。一般的にPUの性能差が現れるのはアクセル全開率が高く、中・高速コーナーが多いサーキットと言われている。FIAが発表した先週のイギリスGPが開催されたシルバーストーンのデータを見ると、平均時速は225キロを超え、アクセル全開率は65%以上と、まさにPUの性能を測るには絶好のサーキットだ
。
予選タイムを比較してもQ1、Q2、Q3の条件はそれぞれ違うので、ここでは決勝レースのラップタイムを比較した。メルセデスの2台は、ハミルトンが1分35秒台のラップを2回、36秒台を12回、37秒台を10回記録し、チームメイトのロズベルグが35秒台を4回、36秒台を6回、37秒台を14回記録している。
一方のマクラーレンはアロンソが35秒台を1回、36秒台を4回、37秒台を8回記録し、バトンは37秒台を2回だけ記録している。もちろん、レース中の順位や周囲の混雑状況によってラップタイムは変化するのだが、データを見る限り、ホンダ製PUは、決して大きく劣っているとは言わないが、それでも、メルセデス製PUから1段低い性能であると推測できる。
シーズン後半がどのようになるかはわからないが、ここまでの傾向を見ると、マクラーレンにとって有利なのは、昨年同様、PU差の影響が少ない、ハンガリーGP、シンガポールGP、アブダビGPなど、低速サーキットだと思われる。
果たして残り11戦、マクラーレンはどのような戦いを見せるのか、そしてメルセデスのチャンピオン争いはどうなっていくのか、楽しみである。