レッドブルリンク、荒れた週末の理由 今宮純のF1第9戦インプレッション
スピン、事故などが多発
最終周、ニコ・ロズベルグとの接触の末に勝ったルイス・ハミルトン。審議の結果、ペナルティを受けたのはロズベルグだったが、ハミルトンは表彰台で“ブーイング”を浴びることに 【LAT】
縁石の問題もクローズアップされた。FIA公式発表によると各コーナーで追加、変更されたところが16カ所もあった。2014年に新装レッドブルリンクになる前、旧A1リンク/エステルライヒリンク時代から、このコースは縁石カット走法が攻略ポイントとされてきた。やりすぎるとサスペンションやホイール、タイヤに不具合が生じるが、巧く縁石を使わないとタイムアップにつながらない。
今年、相次いで起きた混乱事象を見ていて、このショートコースの“いやらしさ”を思い出した。荒れた原因は、縁石問題とは別にもあったのではないか。第8戦ヨーロッパGPでは狭いコース幅、近い壁、超ロングストレート、公道バンプ路面などが騒がれ、ドライバーたちは「かなり慎重に」レースをした。GP2で起きたような混乱を回避し、F1ドライバーは若きボーイズとは違うところを披露した。そして、ここは高速クラシック・サーキット、コースは広々、ランオフエリアもたくさんあって、壁などない。窮屈な初めて通る街中の道路から、よく知っているマウンテン・コースへ。レーサーなら誰だってアドレナリンが湧く。
もうひとつ、全面新舗装が行われたことも関係しているだろう。標高660メートルの山間地域にあるコース周辺はスキー場が多く、豪雪地帯に近い。雪国にあるサーキットは冬の積雪によって路面に細かな凹凸やバンプができてしまう。3年目の今年、レッドブルリンクは大規模改修を実施して、見るからに滑らかでグリップする路面を完成させた。いきなり昨年のポールポジションタイムが破られ、予選では13年ぶりに最速レコードが更新された。平均235.151キロは昨年ベルギーGPの予選PPスピードに匹敵する。この超高速化現象が、三つめの原因と考えられる。