やまびこ打線を生んだ蔦野球の大改革 高校野球 歴代最強校はどこだ?(1)
さわやかイレブンを率いたのち、強力打線を作り上げた池田高・蔦監督 【写真は共同】
第1回は1982年夏、83年春を連覇、83年夏もベスト4まで進んだ徳島県立池田高校をプレーバックする。
打撃の記録を塗り替えた“やまびこ打線”
82年8月20日。第64回全国高等学校野球選手権の決勝は、初回から池田高の強力打線が爆発する。2死走者なしから江上光治、畠山準(元横浜など)、水野雄仁(元巨人)の3連打を皮切りに1四球を挟む6安打で、広島商高から一挙6点だ。エース・畠山の力量からして、この時点で池田の初優勝は決まったといっていい。
池田打線は、その後も攻撃の手を緩めない。6回には無死から、畠山の2ランを含む7連打で大量5点を挙げ、決勝としては戦後最多タイ(当時)の12点で、衝撃的な優勝を飾る。“攻めダルマ”と呼ばれ、独特の風貌で親しまれた蔦文也監督(甲子園名物の蔦とも重なるのがまた、いい)の指示は、とにかく「打て打て」。なにしろ日常の練習では、キャッチボールすら、ろくにせずにフリー打撃に入るほど、打つことが、ボールを遠くに飛ばすことが大好きなのだ。
池田は準々決勝でも、早稲田実業高(当時は東東京)から14得点し、5季連続出場を果たした甲子園のアイドル・荒木大輔(元ヤクルトなど)を粉砕しているが、この試合では水野が荒木から1本、救援した石井丈裕(元西武など)から満塁アーチと、2打席連続のホームラン(史上4人目)を放っている。チームとしても大会を通じた数字は出色で、6試合のうち全員安打が3試合、早稲田実業高戦では史上6チーム目の1試合3本塁打。決勝の7連打、チーム大会通算7本塁打、通算安打85はいずれも当時の大会記録だった。
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