サイクル終焉説を覆したバルセロナ 苦境から得た教訓を糧に三冠達成
大きな変化を受け入れた新監督
CLで優勝し、胴上げされるルイス・エンリケ監督。チームが求めていた大きな変化を受け入れ、見事に戴冠を果たした 【写真:Maurizio Borsari/アフロ】
華麗なパスワークを見せる時間帯もあるとはいえ、プレーの美しさという点で言えば、今季のバルセロナもジョゼップ・グアルディオラ時代のレベルには及ばない。それは今のチームが横や後方へのパスを多用するスタイルを継続しながらも、以前より効率性を重視し、縦に速い攻撃を意識するようになっているからだ。
こうした変化の犠牲者の一人であるイニエスタは、1年を通して衰えを指摘され続けたものの、最後は尻上がりに調子を上げてシーズンを終えた。同じくシャビも継続的にプレーすることはかなわなかったが、三冠獲得という最高の形でカタールへと旅立つことができた。
風格すら感じさせたCL決勝
苦戦を強いられながらも、ユベントス戦では風格すら感じさせた 【写真:ロイター/アフロ】
バルセロナのフットボールは対戦相手によって変わることがない。彼らのフットボールは常に彼ら自身が作り上げていくものだ。そしてそのフットボールには、ジャンルイジ・ブッフォンやアンドレア・ピルロ、カルロス・テベス、ポール・ポグバ、パトリス・エブラらを擁するユベントスでもかなわなかった。
この日のバルセロナは、決して最高の試合をしたわけではなかった。それでも勝負の行方が分からないと感じさせたのは、アルバロ・モラタが同点弾を決め、勢いづいたユベントスが前がかりに攻め始めた数分間くらいのこと。スアレスの勝ち越しゴールが決まった際には、まだ20分以上も残っているにもかかわらず、完全に決着がついたという印象さえ与えた。
この数カ月、バルセロナは過ちや苦境から得た教訓を糧に成長してきた。苦戦を強いられたユベントス戦でも全く焦る様子はなく、余裕や風格すら感じさせた裏には、数々の苦難をくぐり抜けてきた経験があったのである。
(翻訳:工藤拓)