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鍵はセッターとその前後に入る選手たち
バレーボールの観戦力を高めるポイント

覚えておくとバレーボールの見方が変わる

バレーボールの見方が変わる「観戦力を高めるポイント」を全日本女子の川北コーチに解説してもらった
バレーボールの見方が変わる「観戦力を高めるポイント」を全日本女子の川北コーチに解説してもらった【写真:アフロスポーツ】

「S1の時は、ポジション2の選手をサーブで狙え」


 バレーボール経験がある、またはバレーボールに精通している人ならば「なるほど」と思うだろう。なぜならバレーボールの現場、たとえば試合後の選手や監督に話を聞くと、「S1」や「ポジション2」はごく普通に飛び交う言葉であるからだ。


 だが一般的にはきっと「はぁ?」と首をかしげる人が大半で、そもそもバレーボールの話をしていることにすら、気付かないかもしれない。


 インターネットで検索すれば多くの情報があふれ、国際大会も多く、ましてやその大半がゴールデンタイムにテレビ中継される競技であるにもかかわらず、実際に見る人はローテーションやポジションすら定かではない、ということも決して少なくない。


 ラリーが続くから楽しい、ラリーが続かないからつまらない。サーブレシーブが崩れて負けた、相手の高さに屈した、と簡潔化してしまうのではなく、なぜラリーが続くのか、続かないのか。どうしてサーブレシーブが崩れているのか、そもそも誰が狙われているのか、スパイクが決まらない理由は本当に高さだけなのか。


 先日開幕した男子のワールドリーグや間もなく開幕する女子のワールドグランプリ、そして今夏のワールドカップに向けて、覚えておくとバレーボールの見方が変わる「観戦力を高めるポイント」を2回にわたって紹介する。第一弾では、「ローテーション」「オーダー」「ポジション」について、女子バレーボール日本代表の川北元コーチに解説してもらった。

全日本女子を例に各ポジションの役割を解説

昨年のワールドグランプリ決勝ブラジル戦に出場した全日本女子メンバー。ポジションはS1
昨年のワールドグランプリ決勝ブラジル戦に出場した全日本女子メンバー。ポジションはS1【スポーツナビ】

Q:ポジションごとに求められる役割は何ですか?


A:昨年の全日本女子は従来の「ウイングスパイカー(WS)」「ミドルブロッカー(MB)」というポジションの概念にとらわれず、「パスヒッター」と「ポイントゲッター」としました。コートを6分割して番号を振り、ポジション3と6はパスと攻撃、2と5は中央でブロックして攻撃に参加すること、ポジション4はより攻撃力の高さが求められます。


 バレーボールではサーブ権を得たチームは時計回りにポジションが回る、これをローテーションと言います。それぞれ、コートを6つに区切って、右下がポジション1、右上はポジション2、前衛中央がポジション3、左上がポジション4、左下がポジション5、後衛中央がポジション6といったように、それぞれの場所は数字で表されます。


 昨年の全日本女子の場合、3と6に入る選手は、攻守両面で負担がかかるポジションではありますが、3に入る選手はより守備的な役割が求められ、セッターの隣に入る6の選手には攻撃力の高さも求められます。昨シーズンの全日本女子では「パスヒッター」の木村沙織や新鍋理沙らがこの役割を担っていました。


 2と5は一般的に「ミドルブロッカー」の選手が入るポジションで、中央でブロックに跳んで、攻撃に入る。昨シーズンならば大野果奈、長岡望悠といった選手たちが入ったポジションです。特にセッターを挟む、ポジション2に入る選手は、セッターに近い位置からだけでなく、ライトに移動して攻撃できる選手が入ると前衛の両サイドから攻撃するパターンを作ることができるので、そこにバックアタックも含めればより効果的に点数を取りやすくなる、と考えられています。


 セッターの対角に入るポジション4の選手は基本的に攻撃力重視。前衛でも後衛からでも攻撃力のある選手を入れることで攻撃の枚数を増やし、攻撃力を高めたい。全日本女子ならば、迫田さおりのようにバックアタックを武器とする選手がこのポジションに入ることが多いのは、攻撃力を重視しているからです。

木村がサーブで狙われるわけ

なぜこのローテーションでは木村がサーブで狙われるのか。その理由を考えれば、相手の思惑が見えてくる
なぜこのローテーションでは木村がサーブで狙われるのか。その理由を考えれば、相手の思惑が見えてくる【写真:アフロスポーツ】

 1つのセオリーとして、ポジション2と6に入る選手はセッターを挟むので、前衛では攻撃が2枚になるケースが多い。つまり、枚数が少ない中でもより確実な攻撃力を求められるポジションであり、ポジション2、もしくはポジション6に入る選手はパスもして、攻撃もしなければなりません。


 全日本ならば木村、米国代表ならばジョーダン・ラーソン、トルコ代表ならばギョズデ・ソンスルマ、ブラジル代表ならばジャケリネ・カルバリョ、フェルナンダ・ガライ・ロドリゲスといった選手がこのポジションに入ることが多い。そのため、攻撃の回数が多いだけでなく、相手のサーブで狙われる回数も多くなります。当然相手はこのポジションの選手に仕事をさせないために、サーブで狙ってプレッシャーをかけてくるからです。


 ただ単に「木村がサーブで狙われて崩された」ではなく、なぜこのローテーションでは木村が狙われるのか。その理由を考えれば相手の思惑が見えてくるはずです。

田中夕子

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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