川淵チェアマンが新リーグ参入条件を通達 全47チームに伝えた“現在地”の全情報

スポーツナビ

説明会での質疑応答(3)

「皆さんのこの意識が今回の問題を解決するために重要」と参加者の活発な意見交換を見て納得の表情を見せたバイス コーチェアマン 【スポーツナビ】

川淵「どっしりとホームがあって初めてファンが定着する」

――地域との関係という中で、東京の場合はNBL、NBDL、bjリーグと8チームがある。われわれも東京という名前を付けさせてもらっているけれど、体育館やアリーナの環境がさまざまだと思う。地域密着をわれわれもやってはいるが、東京の中でどうやって8チームの地域を分けていくイメージか?(東京サンレーヴス/bjリーグ)

川淵 東京といっても広いですから。僕は23区それぞれに一個(チームが)あってもおかしくないと思っている。中央区と千代田区は人口が少ないから外したとして、21の特別区に一個あっていい。NBDLのチームは東京などと言わず、「豊島○○」とか区の名前を名乗り、区長さんにアリーナなどをお願いするべき。1500人レベルでもいいから、「われわれにホームアリーナを設けさせてくださいよ」というアプローチの仕方があった方がいい。全部(のチーム)に東京と名がついて、多くの都民が“俺のチーム”とはなかなか思わないでしょ。区の名前を付けたら絶対得しますよ。

――新リーグの階層性についての質問です。初年度から昇降格が可能な体制をとると資料に書かれているが、スタートして何年かは設定基準を超えてきたチームを、Jリーグの初期のように増やしていく構想ではないのか?(滋賀レイクスターズ/bjリーグ)

川淵 きれいに(トップリーグに入れる基準の)線を引ければ簡単だけれど、引けないと思います。2部に落とされたチームはここで頑張ることで次にチャンスがあると、自然淘汰(とうた)の形で1部2部になっていけばいい。初めの決定が、神様が審査したような形で分けられない。そういうことがあるから、早めに入れ替え戦をして、あるべき姿になっていけばいい。

 (2部で)優勝したチームと(1部の)最下位は差がある(とする)。(その場合は)自動入れ替えでなく入れ替え戦にするという考え方もある。下から一つ目は自動入れ替えだけれど、二つ目は入れ替え戦にするだとか、その辺は1部2部に分けたときの全体像を見ながら、暫定的にやるかという決め方もある。こういうところは走りながら考えればいいと思います。

 インゴ(・バイス)さんは「16(チーム)でも多い」と言っているけれど、本当に素晴らしいチームが20個あればそれでも構わないと思いますよ。でも中国やドイツのいろいろな話を聞いていても、それは多いと(FIBAに)言われるかもしれない。その辺は断言はできません。みんなに1部に残ってもらいたいと思っているが、4月になってみないと(1部にふさわしいチームが)どれだけ出てくるのか分からないです。

――ホームタウンを決定するということで先日、盛岡市長にも会っていただきましたが、岩手県は人口が非常に少ないので全部の市町村が支えてくれる形が望ましい。ホームタウンはそこだけれども、周りの市町村などにも支えていただき、県全体でチームを支えていただくような形をとりたいと考えている。(岩手ビッグブルズ/bjリーグ)

川淵 それはいいですけれど、「面倒をみますよ」「ウチがサポートしますよ」と(複数の地域が)言っても、最後はいろいろな問題が出たときには責任地域というのがある。盛岡のアリーナに全県から来るというのが望ましいんです。(試合会場を)動くのではなくて。動くことで多くのファンが獲得できて、サポートの輪が広がると皆さんおっしゃるけれど、やっぱりどっしりとホームがあって初めてファンが定着する。岩手県全域からファンに来ていただけるようにぜひ頑張ってください。

――中高大学生(のバスケットボール部員)に部活の試合などで観戦に来ていただけないのが現状です。各都道府県協会との関係が変われば集客も変わる。バスケ協会と試合観戦に対する協力関係をお約束いただけたりすると、かなり集客という部分で後押しいただけるのだが。(京都ハンナリーズ/bjリーグ)

川淵 あんまりそういうのはアテにしない方がいい。でも、(リーグの試合は)土日が主体ですよね。今回新リーグが始まったら、平日に1回やるかという話が出ていて、平日の方が中高ともバスケの試合がない。そういう時は動員が図れるし、プロリーグが試合をする時間帯をさけて(活動し)、自分たちの試合が終わったらなるべく(プロリーグを)見に行くようにという指導を地方協会にも協会としてはしていかなければならないと思っています。そういう努力をします。

――1部2部3部と振り分けていく中で、アリーナは要件として大きな要素になるのか?(熊本ヴォルターズ/NBL)

川淵 1部のチームはアリーナが大きな要素です。2部、地域は多少は仕方ない。でも1部の場合はかなり大きな位置を締めます。

説明会での質疑応答(4)

川淵「小さいチームなりの存在のしかたもある」

――ホームタウンについてだが、地方自治体から支援するという単位は市なのか県なのか? また、ホームアリーナについてだが、私どもは6万人以下の小さな町をホームとしているが、隣の長野市に行けば5000人以上のアリーナがすでにある。市ごとではなく、広域で捉えてやっていいよということであれば可能性はある。さっそくホームタウンの首長に話しに行き、「5000人規模のアリーナを作っていただきたい」と話をしているけれど、なかなか小さな町では5000人規模を作るというのはかなり先の話になってしまいそうな状況。ホームタウンとホームアリーナの兼ね合いを詳しく聞かせてほしい。(信州ブレイブウォリアーズ/bjリーグ)

川淵 イタリアのプロサッカーチームが、2部に上がったときに、人口5000人の町で1万人のスタジアムを作ったんですね。そのスタジアムがいつも満杯にはなったんだけれど、今のような小さな町をホームタウンでやっていこうと言うなら、そこで自立するのは素晴らしいこと。ともかく5000人でなくても、今の市民が来たら3000人で十分だと。言ってみれば日本一のクラブにはならないよね。でもそれを覚悟のうえでプロバスケットボールチームとして生きていくというのは、それはそれで生き方じゃないの? 長野市に行って、5000人のアリーナで試合をすることがチームとして価値があるのかどうなのか? それは街の人たちがする話であって、理念にも関わりがあるが“チームのあり方”として大きければ大きいほど良いという話でもない。小さいチームは小さいなりに。でも全国レベルではなく長野のこの一地域で、日本中に発信していくようなプロクラブを育てていくんだ。日本全国の人が知らなくても、この街の人だけがこのクラブを愛してくれれば成り立つということが“クラブの値打ち”。そういう存在のしかたもありますよ。

バイス 皆さまの活発なご意見ご質問を感謝している。皆さまがいかに興味をお持ちか、意識を高く持っておられるかがよく分かった。皆さんのこの意識が今回の問題を解決するために重要。FIBAとしてもそれを大変歓迎する。

 私は大変素晴らしいパートナーである川淵さんがいることで大変心強く思っている。川淵さんは厳しいことをおっしゃっておりますけれど、私はFIBAサイドの人間としてさらに厳しいことを言っており、そのブレーキをかける役が川淵さんというのが実は現実だ。

 私の方がもっと厳しい意見を言うことが多々あると思う。例えば三つのことは譲れないというのがあり、一つは外国人枠。これはなるべく少人数に収めたい。二つ目はアリーナの問題。そして最後はトップリーグにどれだけのチームが入るかということ。FIBAとしてはできるだけ少数精鋭ということで数少ないチームをトップリーグに置きたいというのが考えだ。

 日本バスケのみならず、リーグを皆さんとともに強化していきたいと思う。最終的に言えば皆さまのリーグです。皆さまのチームが頑張ってこのリーグの強化に携わっていただくことが必要だ。最終的にこれは代表チームの強化へという牽引力にもなっている。

 私はJOCの竹田(恆和)会長とすでに約束をしている。新リーグが設立された際には一緒に試合を観に行こうと。2020年の東京オリンピックに両国が出場ができたなら、「できれば日本対ドイツの試合を見たいね」という約束もしている。最後となりましたが、遠くから東京にお越しいただき感謝する。このように皆さんが集まったのは、歴史的な瞬間かと思う。今後皆さんの協力をもとに、バスケットを日本で発展させていければと思っている。皆さんが1部に入れるよう、皆さんが努力を進められることを願っている。

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