川淵チェアマンが新リーグ参入条件を通達 全47チームに伝えた“現在地”の全情報

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新リーグについて(3)入会基準(法人、ホームタウン)

配布された資料を熟読しながらも川淵チェアマンの説明に耳をかたむける各チームの代表者たち 【スポーツナビ】

川淵「独立法人で、地方自治体の承認が必要」

川淵 新チームのリーグの入会基準というのは皆さんここが一番気になさるところだと思うんですが、大体こんな感じで新しいリーグを始めようと思うので、この基準を乗り越える努力を皆さんしてください。

 独立法人であること。選手の契約形態については、本契約を当然原則としますけれども、例えば15人のうち2人まではアマチュアでいいだとか、これに関してはこれから話し合いをしながら、みんなで変えていけばいいと思います。しかし、基本的に10人以上のプロ選手がいないと、プロとみなさないということになります。

 それからチームの名称、ロゴについては商標が取得済み、もしくは志願中であるということは大事なことで、誰かまったく関係ない人がロゴを商標登録していて、それを自分のロゴにするためにその制裁金ではないですけれど何百万円、何千万円払ったということがJリーグの場合はありますから、その辺をよく確認して欲しいです。地域名は皆さん入っているからいいですけれど、地域名を入れるのと、企業名もチーム名も入れるということでどういうネーミングが全体のバランスの中でいいのかというのは一緒に相談して決めていけばいいと思います。

 ホームタウンに関しては、ここが一番大事なことなんですけれど、その地方自治体の首長の承認を得ること。「あなたのクラブはこの町を代表するプロバスケットボールチームと認めます」ということの言質が必要で、それがなければアリーナの使用許可や財政面の優遇、行政サイドとの協力関係だとか、行政としっかり手を組んでやった方がはるかに良いわけです。そういうアリーナの増築その他に関しても行政サイドの支援がなければそれは不可能です。そういった意味で、行政がホームタウンとしてこのチームを認めるよっていうことの確認が必要だよという意味です。

 それから都道府県協会ですね。先ほども言ったように都道府県協会と本当に良い関係を構築して欲しい。これは本当にそうしなければならないことなので、非常に関係の悪いところは改善にぜひ努力してほしいと思います。

新リーグについて(3)入会基準(アリーナ、財政面)

川淵「収容人員5000人のアリーナを基準」

川淵 ホームアリーナは年間試合数8割ぐらいを実施できるということと、収容人員5000人程度を基準とします。今は3000人収容のアリーナが大部分ですけれど、3000人で(平均観客数が)1500人です。5000人にして、少なくても6割から8割の3000人〜4000人を観客動員するためにはそれぐらいのアリーナがなければ観客動員できませんね。観客動員は今の1500人でとてもじゃないけれど、「自分の最大の努力をしてこれですよ」と言うのではプロバスケットボールの発展はありませんね。皆さんそこまで努力している人もいるだろうし、してないところもある。していないところの方が多いと私は思います。だって1500人でプロとして成り立つと思っている方が間違いです。5000人ぐらいの入れ物があって、そこに最低でも3000入れるよという意気込みが、そのチームの社員あるいは選手含めて地域社会の中で、自分たちを売り出し、訴えてアリーナにファンを呼び込む努力がやはりもっと必要。そうすることによってもっとマーケティングの市場が広がるし、バスケットボールを愛する子どもたちが増えていく。これをきっかけにそれぐらいのものを集めるためにこそ、5000人のアリーナが必要だという事を私は言っているんです。

 しかしそうは言ってもこれは行政サイドが決めることですから、この体育館をこうしてくれ、ああしてくれと言ってもトップの首長さんが「分かった」と言わない限り、それは動きませんね。そういう物をどういうふうにしたら動くのか? ということを皆さんが考えなければならない。教育委員会なのか体育館の責任者だけなのか、それは首長トップの方に行かないとこんな話認めてもらえませんよ。その努力を本当にやられているのだろうか。次のステップはどうなのか、というところまで、この際思い切ったことをやらないと変わりませんよ。この前、盛岡市に行ったら盛岡市の市長が「このアリーナを5000人(収容)にします」と言っていただけましたよ。だから動けば変わるんです。その辺の考え方をみんな一大決心をして、一大改革をしていくっていうことなんです、このバスケットのプロ化の統一というのは。

 川淵が無理ばっか言いやがって、と僕は皆さんに嫌われようが何されようが全然かまわないですよ。要はバスケットボールのために何が必要なのか? というのを言っているんであって、それができないならしょせんそんなもんでしょう。それをどうやるかというのは皆さんの力によるものなんです。「今はこうでも将来的にはこうなります」という将来展望的なようなものを(言ってほしくて)、「現状維持でこのままやります」ということを言ってほしくない。どういう努力をしてきたのかというのは、とことん説明を聞いて、われわれが力になれることがあるのであれば、一緒になってお願いに行くというようなことまでしなければならないと思っています。

 そして財政上のことなんですけれど、当然のことながら健全な運営ができる財務体質であること。極端に言えば、プロである以上、選手にある程度の年俸をあげることが必要。200万円、300万円の年俸でプロとしてやっていくということについて言えば、もちろんそのレベルの選手もいるでしょうし、500万円を越える選手が1人もいないような中で、1部でやっていこうって言うのは無理なことです。魅力あるチームにならないですよ。戦力的な面でも。そういった面から、財政的な面でも将来展望というものを出してもらいたいと思います。

 皆さんにかなりきつい表現で言っていますけれど、要はこの機会に行政サイドに働きかける一番良い機会であるし、こういうことが今まで不可能だと苦労されて、地域社会の中でやってこられた。ただ今回は、大きな意味で日本全体のバスケットボール界の動きということであって体育協会や文科省(文部科学省)、JOC(日本オリンピック委員会)も含めて皆さんを応援しようというムードが一番高まっている時だから、今をおいてこうやって大きく変わっていくチャンスというのはもう二度とないと思います。そういった機会だということを充分認識していただいて、皆さんの全力投球をこの2カ月間でやっていただきたいと思います。

 皆さんにかなり無理を承知でこういう要求をしているので、それに対しての経過措置も含めて結果になるのか、将来の展望も含めて4月末までに報告してもらいたいと思います。そしてある程度の目安を8月いっぱいぐらいにおいて、それぐらいまでにその階層、1部2部3部というのが決まっていけばいいと思います。

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