川淵チェアマンが新リーグ参入条件を通達 全47チームに伝えた“現在地”の全情報

スポーツナビ

説明会での質疑応答(1)

各クラブからは続々とタスクフォースチームへの質問が寄せられた 【スポーツナビ】

川淵「サラリーキャップは設定しない」

――今回の条件の中で、私案として出ていたサラリーキャップのことが出ていない。今後導入するならどんな手順を考えているのか?(つくばロボッツ/NBL)

川淵 サラリーキャップは設定しません。外国人選手についてはあった方がいいという意見もあるので、皆さんで検討していただければいいと思います。最低年俸は決めるべきだなということと、新人採用時の最高限度額。Jリーグの場合には480万円から始まるんですけれど、ドラフトをやらない前に、お金での(有望選手の)取り合いになってはいけないので、最高額は決めた方がいいかなと思っています。最低年俸はどうしても決めるべきですし、その場合2部と1部で最低年俸の差も設けるべきだと思っています。

――16年からシーズンが始まる際に、大学卒の選手獲得においては、大学側との調整も含めて先んじてやる必要がある。来年3月卒業の選手に関しては、なんらかのルールを設けるのか?(つくばロボッツ/NBL)

川淵 来年からドラフトをやるのは時間的な制限でできません。再来年以降にやるかも分からないし、自由競争という意味においては、初めの年俸の最高額さえ決めていれば、そんな過当な競争は起こらないと思います。チームの価値を認めて、給料ではなくそのことで動くようになりますし、それが一番望ましい。ある程度の試合に出場したら(給料を)上げていいというようなことを決めていければと思っております。

――リーグ統合の過程で、ビジネススキームの話がなかったことが統合できなかった理由。今後の検討事項に事業についてとあるが、いつぐらいにクラブが経営のビジョンを描けるようなものが出てくるか?(仙台89ERS/bjリーグ)

川淵 できるだけ早くイメージをつかめて、大手スポンサーがどんな感じでバスケットボールリーグを見てくれているのか。テレビの放映権料はどれくらいもらえるのか。NHKのスポーツセンター長に会いに行きましたけれど、リーグが2つに分かれた状態でテレビ放映は有り得ない。スカパー!も有り得ないとのことでした。NHKの地方局はbjリーグを時々放映していたみたいですけれど、テレビの放映は一つになったらやってもらえますよ。放映権料がどのくらいかと言われたら見当がつかない。皆さん心配されていると思うけれど、苦労して自前でスポンサーを集めてきた。それに配慮して新しいスポンサーを見つけるべきだと思っています。その中で、広告宣伝料の設定については、もう少し高くしたらどうかなどのアドバイスはできると思います。けれど、基本的に今の考え方は皆さんが努力して獲得したスポンサーには配慮していくというのが大前提です。

――外国人選手についてはどのように考えているのか?(東京八王子トレインズ/NBDL)

川淵 バイスさんは外国人は1人でいいと言っている。僕はいきなり1人にするのはちょっと……と思っているので、最大でもオンザコート2人だと考えています。3人というのはバイスさんやFIBAとしても認めない。認めないというより、日本代表の強化にならないのでオンザコート3人は有り得ません。1人か2人か、2人でずっといくこともないと思います。日本人選手強化のために、どのように外国人選手を扱ったらよいのかは専門の人たちが話し合って最終的に決めていいと思います。

――「体育館」というと他の競技との兼ね合いで、優先的に借りられないのではないかという声もある。「アリーナ」ならば変わると思っているのだが、川淵さんから強く言ってもらえないか?(秋田ノーザンハピネッツ/bjリーグ)

川淵 おっしゃるとおりだと思います。秋田のファンから僕のところにツイッターで「秋田は3000人で盛り上がっています」だから5000人なんて言うのはおかしい、と言わんばかりの投稿がありました。「秋田は3000人で満足するのか? 盛り上がっているならなぜ5000人にしないのか?」と言いたい。今までの日本バスケットボール界は、バスケットボールの存在が認められていないからそう思うのであって、バスケットが日本の3大スポーツだという地位になった時に、「自分の街のアリーナを作りましょう」という市民運動や署名運動がどんどん出てこないとおかしい。秋田ではバスケットがすごく人気のあるスポーツなんだから、3000人で満足しないでほしい。雪国で寒い時に体育館でバスケットボールをやって「寒い冬を乗り切りましょう」なんてことは一番やりやすいところ。秋田が3000人以上のものが確保できないと言われたのでは寂しくて仕方ない。しっかり頑張ってください。

説明会での質疑応答(2)

川淵「本当は各クラブにユースチームを持ってほしい」

――ガバナンスがしっかりしていないと47チームをまとめるのは難しい。タイムスケジュールがどうなっているのかと、今後も川淵チェアマンが引き続き引っ張っていくのか?(浜松・東三河フェニックス/bjリーグ)

川淵 僕は残り寿命少ないからね(笑)。僕は新リーグがスタートする時は、新しい人が(チェアマンに)なった方が良いと思う。最初に法人を作る時は僕がチェアマンになってやっていくつもりですけれど、形ができて安心して次の人に譲れるような形でやらせていただきたい。ガバナンスという意味でいうと、協会対bjリーグというのは最低でしたけれども、リーグを運営していくという意味では、(私が退く時には)チェアマンがいて組織もしっかりしています。最初にしっかりしたルールができていますし、(リーグが始まるまでに私が)細かいことまで決めていこうと思いますので、ガバナンスがおかしくなることはないと自信を持って言えます。

――3月25日に最終的な(トップリーグに参戦できる)ハードルを提示するとのことだが、各チームのヒアリングも踏まえて参加基準が少し変わるということか?(広島ドラゴンフライズ/NBL)

川淵 (基準が)緩むなんて思わないようにしてください。全体を見て財政的な問題は出ていないですよね。どういう予算規模かということも含めて、より具体的な規模が出てくるということ。5000人規模のアリーナとしていたことを4000人にするということはありません。

――トップリーグは子どもたちに魅力のあるリーグでないといけないし、ブースターに支えてもらえるチームでないといけない。育成というところもプロのチームとして地域で担っていかなければいけない。バスケット界はどうしても学校の部活動中心のシステムで選手育成をしている。アンダーカテゴリーの20歳以下の選手をプロクラブに登録する、Jクラブのようにトップチームがアンダーカテゴリーを持てるようなシステムに魅力があると私は思っているが、そこに関して意見を聞かせていただきたい。(富山グラウジーズ/bjリーグ)

川淵 まったく同感です。今のバスケ界は学校がすべて支配している感じがある。これについては先生方に理解を得て、学校内のバスケットボール部であっても、プロのチームで週に何回かは優秀な選手は一緒に練習してレベルアップを図っていくようなやり方をしない限り、日本全体のレベルアップはしていかない。本当は各クラブにジュニアチームとユースチームを持ってほしい。しかしこれを言うには、学校の先生のある程度の理解がないと絵に描いた餅になる。期待したほどの(レベルの)選手が集まらないということでは意味がない。そういう方向に向けて、協会ともども努力をして行きたいと思います。

――NBLは年間54試合、bjリーグも50数試合やっていると思うが、日本代表の強化を考えた時、リーグ戦の50数試合という数が多いと考えるか、少ないと考えるか?(日立サンロッカーズ東京/NBL)

川淵 僕は60試合くらいあった方がいいと思っています。試合数はできるだけ多い方がいい。

 若手の育成ということから言うと、21歳以下の選手は1ピリオド1分以上というルールなどを作って、若い選手を使わなければいけないと追い込むことで強化していくような手法も必要なのではないかと思っている。それは実際にゲームを運営するヘッドコーチ、皆さんの中で1ピリオド1分でなく、トータル4分の方が良いと言うならそれでもいい。要は若い選手がトップリーグに出場できる機会をいかに与えるか。そういう事が強化のために絶対に必要だと思っている。この辺は実際にチームでやっておられる方の意見を聞いて、良い方向を見いだしてもらえればと思う。

4/5ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント