川淵チェアマンが新リーグ参入条件を通達 全47チームに伝えた“現在地”の全情報

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新リーグ設立について

「理念のないチームに存在価値はない」と断言し、プロチームにおける理念の重要性を熱く語った川淵チェアマン(中央) 【スポーツナビ】

川淵「バスケットボール界、発展する余地充分にあり」

川淵 それでは新リーグの設立に向けて、こういう考えの中でやっていきたいんだというのをお話していきたいと思います。前回それぞれのリーグ関係者の皆さんにお話申し上げましたが、基本的に今度のこの改革が日本のバスケットボール界を大きく変えるきっかけになる。そういう覚悟でもって、これに対応して欲しいということを申し上げました。私が言った条件に対して、いろいろな提案、ご批判もおっしゃっていますけれど、大きな変化をして日本のバスケットボールが発展していくために、今のままでいいとは皆さん思っておられないということなんですね。やっぱり変わるためにはどういう手段を講じ、あるいは未来に夢を抱いて現状を変えていくか。そういう考え方を常にしっかり持って大きな改革に向けて取り組んで欲しいと思います。

 僕がこの1カ月の間にいろいろな試合を見て得た感想は、バスケットボール界、発展する余地充分にありと。試合そのものも面白いし、バスケットボールを見たことない人が試合を見たら結構ファンになるだろうなというものがあった。これを画期的にみんなが変わることによって、マーケティングの意味においても発展的可能性がある。そういうふうに思います。

 基本的にbjリーグでは、代表選手が育ってこなかったという現状があります。そういう中で「別にエンターテインメントに徹していればそれはそれでいいんだ」と言う人もいますが、それは根本的に間違っています。長い目で見た場合に、代表が、日本人選手が強くないとそのスポーツの発展はありません。要は外国人選手だけで楽しくバスケットをやっていればいいのかというと、そんなことはないというのは皆さん自身もお分かりでしょう。どう立場を変えて、日本代表選手の強化に向けてリーグは発展していくんだという、そういうものを共有して、この改革をぜひやっていきたい。やっていって欲しいと思います。

 今、だいたい1500人が平均の入場者数です。隣を見てみると、中国はトップチーム17チームでだいたい5〜6000人で、多いところは1万人ぐらい入るのですが、すごい人気があります。そして韓国でも10チームでやはり5〜6000人の観客が入っています。日本の倍以上です。中国や韓国がそれぐらいの観客の動員ができて、何で日本がたったの1500人ぐらいなのか。「たった1500人」というのは皆さんに酷かもしれませんが、もっと集められる余地があるし、そういう努力をしているクラブもあるしそうでないクラブもある。それを、みんな力を合わせて観客動員を倍増するぐらいの覚悟がないとマーケティングの規模も広がっていきません。やはり多くの人が見ることによってスポンサーも関心を持ち、マスコミも記事にするんです。今は皆さんの試合の結果は(掲載スペースが)たった一行です。たった一行の競技です。そこを認識して、どう変えていくのか、改革のことを考えてもらいたいと思います。

新リーグについて(1)概要

川淵「理念のないチームに存在価値はない」

川淵 ということで、(資料の)一番上からさらっと言いますけれど、当然理念を持つべきで、各クラブが理念を持っていると思います。持っていないクラブもあるかもしれません。理念なくして何でバスケットボールのチームを持っているのと。理念のないチームに存在価値があるとは思っていません。今なければ、リーグの理念に基づいて自分のチームの理念を、何のために夢を持ってチームを持っているのか、というしっかりとした理念を作って欲しいと思います。

 新リーグの段階構造に関しては、ネーミングはどうするか別ですけれど、1部ではなんとなく抵抗があるので「トップリーグ」「チャレンジリーグ」「地域リーグ」といった三層構造で、トップリーグを16チームプラスマイナス4で構成したいと思っています。今ここにいる47クラブのチームが(新リーグの)新規法人に入りたいとなったとき、それを排除するということは絶対にありません。みんなと一緒にこのリーグを構築していきたいということは決定しております。ここで「あなたのチームは資格がないから外れてもらいます」ということはありえないです。

 そういった面では皆さんに安心してもらうのは結構ですが、多くの皆さんが「2部に落ちたらファンが離れる」「スポンサーが離れる」「チームが経営として成り立たない」と心配しておられると思います。それは経験がないからそうでしょう。しかしファンはそういったチームでも付いていきます。スポンサーも出すお金が減るかもしれませんけれど、そういったことで離れるようなスポンサーがそんなにいるとは思いません。だからファンに関してもスポンサーに関しても皆さん信頼してもいいのではないかと思います。

 そしてわれわれは新しいマーケティングを通じて、できるだけ財政的な面で収入を得る努力をし、今以上により多くの分配ができればいいなと思っていますし、僕はできると確信をしております。それだけの魅力あるバスケットボールリーグであるからです。

 チームの昇格などについては、自動入れ替えだとか、入れ替え戦だとかその辺の状況を見ながら触れていきますけれど、1年目からリーグ間の入れ替えというものをやっていきます。

新リーグについて(2)運営法人

川淵「16年10月に新リーグを開幕する」

川淵 リーグの運営は一般社団法人として設立します。これは4月1日以降に発足しますけれども、準備期間中には暫定的な体制として7月、8月ぐらいに新組織として発足していきたいと思います。

 そして、今年の10月から(新リーグを)スタートするようにとFIBAからは言われたのですが、いろいろな問題があって16年度10月に新リーグを開幕したいと思います。

 新リーグとJBAの関係というのは、今までbjリーグが一番初めに除名されたという関係もあり、その感情的な問題があっていまひとつすっきりしない関係ではあったわけですが、今回の新しいリーグができたことでやはりイチからスタートでお互いしっかりとした信頼関係のもとに日本を代表するバスケットボールリーグにしていきたいと思います。皆さんもそういうことで今までのことを忘れて、ぜひ全面的に協力して欲しいと思います。

 そして、JBAはありとあらゆる団体の頭にあるわけですから、今度の新しいトップリーグ、プロリーグは、JBAのすべての決定に対して遵守する。このことについては絶対にゆるぎないものであるということでやっていきたいと思います。そして人事の後任については、JBAと新法人の人事は交流していきたいと思います。

 それから規定に関してはこれからいろいろなことを決めていくわけですが、入会金、年間費等もある程度納めてもらいます。それはリーグの運営のための必要経費を年間費として納めてもらって、それの何倍かの配当金を皆さんに配れなければ、新リーグを設立する意味がないと思ってます。その辺は、ある程度の配分はしてもらえるというふうに皆さんは思っていただければと思います。具体的にいくら位になるかということは、これからいろいろな企業とマーケティング活動や営業活動をするわけで、その結果を逐一皆さんに報告していきたいと思います。

 地域との関係性についてはですね、はっきり申し上げて地方都道府県協会とbjリーグの関係がある種、良い関係ではないチームが何チームかあると聞いています。僕らの情報収集によると、初めにJBAの真意に反してbjリーグを立ち上げたわけですから、地方協会に対して「協力をするな」という指示があり、その流れの中で良い関係が構築されてこなかったbjリーグ(のチーム)もあると思います。

 しかし今回において、そういった関係の修復をぜひして欲しいと思いますし、そのことに対して、われわれが力を貸した方がいいという時は遠慮なく言っていただければと思います。そしていろいろな難しい問題がこの都道府県協会のみならずその他あると思いますが、そういうことはあまり尾を引くような形にしないで、今回これをきっかけにすっきりした関係に戻るように、ぜひ努力するようにして欲しいと思います。

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