佐々木監督「優勝する強い想いが重要」 アジアカップ なでしこメンバー発表会見

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優勝することを強く意識して臨みたい

佐々木監督の表情からは、大会への強い気持ちが伝わってきた。目指すはアジアナンバーワンの座ひとつ 【スポーツナビ】

登壇者:
佐々木則夫(日本女子代表監督)

 われわれはアジアカップでまだ優勝していないので、W杯の予選でもあるこのアジアカップを『制覇するんだ!』という思いでやっている中で、ちょっとした不都合はありましたけれども、それを決して言い訳にはせず準備していきたいと思います。そういった(上田委員長が説明したような)経緯の中で、若手がメンバーに入った。将来はなでしこのメンバーに定着してもらいたいという思いもあり、このメンバーを選考させていただきました。

──初選出の選手に対して、どのようなことを期待しているのか?

 初招集のメンバーは、浦和レッズレディースの4名が加わっているわけですが、ラ・マンガ(国際大会)でプレーを確認して、U−23の大会でも非常にしっかりとプレーをしていた。それがリーグ戦にも反映されている。勢いのある選手たちを選出したので、この大会で彼女たちのプレーに期待したい。もっともっとアプローチをわれわれにかけてもらいたい。期待をかなりこめた選出です。

──アジアカップではどのような戦いをしていきたいか?

 暑さ・湿度といった気候からも条件的には厳しい状況になるとは思いますけれども、ベストなメンバーというよりは、現状のいろいろな条件がある中でのベストを選考していますし、このメンバーでアジアカップを制覇できないという思いは全然ないので、このメンバーでしっかりとやっていきたいです。代表で顔をそろえて準備をした経験があまりないという選手もいますが、そこはキャプテンの宮間を中心として、7日間くらいの準備ですけど、サッカーの要素とチームワークの要素とを合わせてできるだろうという計算のもとに、エントリーしたメンバーです。チームとしては、オフ・ザ・ピッチの部分も重要な部分なので。そしてやはり、(アジアカップを)「制覇する」という思いを一人ひとりが高めてやってもらわないと、なかなかそううまくはいきませんので、そういった準備を今からでもできる選手を選考したつもりです。

──グループステージが中1日で3試合という過密日程だが、どのように戦っていくのか?

 経験(を積む)というよりも、勝ち抜くということを前提に考えています。第1戦のオーストラリア戦はこのグループの中でキーとなるゲームになりますから、その試合での状況を見て、次のベトナム戦でターンオーバーできるような構成なのかどうか、ということはこの7日間で伝えていきたいとは思っています。

 いずれにしても、この中1日という状況はわれわれだけではなく、相手チームにもあるわけですから、そのへんはターンオーバーできるようなチーム構成で行くのか、それとも軸をすえながら側面の選手たちを変えていくのか、というのはこれからの準備の段階で考えていきたいです。どのやり方でも、グループリーグはしっかりと1位通過をし、W杯出場を決め、決勝トーナメントは、優勝をイメージした中でのチーム構成で整えていきたいと思っています。

──初優勝を狙うにあたって、アジア特有の難しさはあるか?

 われわれのチームを一番熟知しているのは、アジア近隣の国です。そして、アジア(近隣の国)は「われわれに勝とう」という意欲がかなり強い。ただ、自分たちが世界ランキングの上でもアジアでナンバーワンなわけですから、われわれがメンタルの部分で負けてはいけない。技術的な要素というところもありますが、やはり勝とうという意識・メンタル、これで負けないということ。われわれもそれを乗り越えることによって、“強化”ということにつながっていくのではないかと思いました。

伸び盛りの選手たちに大きな期待

──アジアカップ直前に国内でニュージーランド戦があるが、相手の印象とその試合の位置づけは?

 ニュージーランドは昨年も試合をさせていただいていますが、ボールを動かすスキル、守備の連携が非常に成長しています。そこにプラスしてパワーとスピードもあります。彼女たちの世界ランクはわれわれよりも全然下ですけれども、非常にレベルが上がってきているチームです。(アジアカップの)第1戦をオーストラリアとやるが、スタイルや選手個々の質が似ていますので、オーストラリア戦に向けて非常にいい相手です。僕が状況を見た中ではオーストラリアよりも強いと思います。ボールを動かす力が非常にあるし、そう簡単には勝てない。それだけ拮抗(きっこう)した状況でいかに勝つかという状況にもなるかもしれません。これを勝つことによって、オーストラリア戦につなぐのだという思いがありますので、ぜひ皆さんに会場に来ていただきたいと思います。

──猶本の選出理由と期待する点は?

 ラ・マンガのメンバーに選考し、経験させたいくらいのいいプレーコンディションでした。ただし、ひざの調子がおもわしくなかったので連れて行けなかったという経緯があります。

 今のレッズの5連勝という躍進につながる決定的な仕事をしているところを高く評価して、今伸び盛りな彼女になんとか自信をつけてもらい、一回りもニ回りも大きくなる選手になっていってほしい。彼女だけではないですが。

 レッズだけではなくて、今年のなでしこリーグでは成長した選手たちがたくさんいます。今回はレッズの選手たちですが、9月にも(招集するタイミングが)ありますし、そういった選手たちをもっと見ていきたいと思っています。

──大儀見は決勝トーナメントに出場できない。丸山も久しぶりの招集だが、FW陣への期待は?

 FWに限らず、そういう思いを選手たちが感じて(プレーをしなくてはいけない)。大儀見も本当は最後まで残りたいという思いはあったが、いろいろな状況があった中で(グループリーグの)3試合だけということになった。それはもう残りの選手でパワーアップしてやっていかなくてはならないし、責任感も生じてくると思います。負けてしまうと『やはりエースの大儀見がいないと……』となるので、選手たちは逆にモチベーションにつなげると思います。

──澤が先日のリーグ戦で大事をとって温存されたが、現在の体調は?

 われわれも本人とコミュニケーションをとりながらやっているが、まずは代表に呼んでチェックしてみて(判断したい)。暑さだったり、連戦だったりとコンディションが厳しいので、合流した中で評価をしていきたい。彼女だけではないのですが、呼ばないよりは、呼んで細かくチェックして方向性を決めていくのがベストだと考えています。

──アジアカップの対戦国を、改めてどう捉らえているのか?

 今持っている資料は全部見ていますが、それ以上に(対戦国の)彼女たちが成長しているだろうと読めるのは、(W杯の出場枠が)8チーム中5枠あること。「われわれにもW杯に行くチャンスがある」という思いを各国が非常に強く持っている。アジアカップに出場するにあたって、しっかりと準備をしてくるので、そのへんが怖いのではないかと考えています。5枠目をつかもうという国の体制には目を見張るものがありますので、今までの映像だけでは評価できない。5枠というのは、ベトナム、タイ、ミャンマー、ヨルダンだったりにも可能性があるわけですから、勢いというものを(選手たちに)示唆しなくてはいけない。それを自分たちが強く感じながら準備をしなくてはいけないと思っています。

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