新生バイエルンの危うさを憂うザマーSD=グアルディオラに突き付けられた警告
今季のバイエルンは「ズーパー」ではない?
序盤はある程度の結果を残したグアルディオラ(写真右)。しかし、ザマーSDは情熱を欠けたチームに警告を発している 【写真:Pro Shots/アフロ】
バイエルンはついに、欧州スーパーカップのピッチにたどり着き、陳列棚にそのトロフィーを加えるに至った。確かにこれは、新たなスター監督にとってのミュンヘンにおける最初のタイトルではあるものの、ユップ・ハインケス前監督による歴史的な昨シーズンとのつながりのほうがより強い。それは、昨季のビッグイヤー(チャンピオンズリーグ=CLのトロフィー)の隣に欧州スーパーカップが置かれるからではない。DFBポカール(ドイツカップ)もリーグ優勝も、ペップの前任者によってもたらされたものであるからだ。PK戦の末にチェルシーを下したスーパーカップで、グアルディオラは、このクラブが欧州でも有数の強豪であることをあらためて思い知ったことだろう。
会見の席での「ズーパー」(ドイツ語で「すごい、素晴らしい」の意味)という言葉は、もはやペップの口癖のようになっている。前節(第5節)のブンデスリーガでも、バイエルンはハノーファーに2−0と勝利を収めはしたが、その姿を形容するのに「ズーパー」という言葉はふさわしくなかった。いよいよCLが開幕し、ウリ・ヘーネス会長が「フルスロットル・ウィーク」と表現する1週間が始まるのを前にして、確かに必要とされたのは華やかさではなく勝利だった。しかし、他の欧州のトップクラブが比較的落ち着いた空気を漂わせているのに対し、ミュンヘンでは熱い議論が巻き起こっている。
ペップ率いるバイエルンに警告するザマーSD
「われわれのプレーは、やや気力を欠いている。情熱がなく、決められた仕事をするばかりだ。気持ちを問題とすべきではないが、気力に欠ける場面は確かにある」
そしてザマーSDは、コーチのカリスマ性に隠された問題点があるのだと強調する。
「ごまかすだけでは、何も成し遂げられはしない。ここでもペップ、あちらでもペップと騒がれ、話題になる。いつでもそんな話ばかりだ。そうやってわれわれは皆、少しずつ責任を負わないようになっている。最後の5パーセントが欠けているんだ」
これは高いレベルの批判なのだろうか? いや、そんなことはない。ザマーはただ、その残り5パーセントの重要性を強調しただけなのだ。ザマーは、勝者の遺伝子を象徴する存在である。そのDNAこそが、ここ数年のバイエルンに足りなかったものだ。岩のごとき堅固な精神の具現者であるザマーは、満足感によって痛手をこうむる前に、そんな感情を破棄することを求めている。ハインケス政権下でも、こうした警報が鳴らされたことはあった。その結果は、周知の通りである。
それまでの2シーズンを無冠で終えたことは、2012−13シーズンのバイエルンのモチベーションを上げる、この上ない材料となった。だが今となっては、その状況は様変わりした。今季のバイエルンは、チームの核は変わらないまま「クラブ史上最高」と称え続けられるであろうシーズンを迎えることとなった。だが、最高の昨シーズンを過ごした後で、安寧(あんねい)に浸ることは大きなリスクとなる。ザマーは早々にそうした点に気付き、バイエルンは過去の勝利にあぐらをかいていてはならないと発言したのだ。
「この14カ月間で5つのタイトルを獲得し、フランク・リベリは欧州年間最優秀選手となり、世界最高の選手でもあることだろう。だが、そんなものはまやかしの世界であり、私は気に入らないね」と。