苦労人・酒井15年目の初GI、ニホンピロへの恩返し=JCダート

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ニホンピロアワーズ&酒井がJCダート制覇、人馬ともに初GI勝利となった 【スポーツナビ】

 JRA下半期のダート王決定戦、第13回GIジャパンカップダートが2日、阪神競馬場1800メートルダートを舞台に争われ、酒井学騎乗の6番人気ニホンピロアワーズ(牡5=栗東・大橋厩舎、父ホワイトマズル)が優勝。好位4番手の追走から持ったままの手応えで直線抜け出すと、さらに後続を突き放す快勝でGI初勝利を飾った。良馬場の勝ちタイム1分48秒8は、2010年トランセンドのタイムを0秒1更新するレースレコード。

 ニホンピロアワーズは今回の勝利で22戦10勝(地方交流含む)。重賞は2011年GII名古屋グランプリ、12年GIII名古屋大賞典、同年GIII白山大賞典に続く4勝目。
 騎乗した酒井はデビュー15年目、GI挑戦11回目にしてうれしい初勝利。同馬を管理する大橋勇樹調教師も免許取得11年目にして初のGI勝利となった。また、同馬のオーナーである小林百太郎氏は、伝説のマイラーとして語り継がれているニホンピロウイナーで制した1985年マイルチャンピオンシップ以来のGI通算4勝目となった。

 なお、3馬身半差の2着には和田竜二騎乗の3番人気ワンダーアキュート(牡6=栗東・佐藤正厩舎)、さらに半馬身差の3着に幸英明騎乗の9番人気ホッコータルマエ(牡3=栗東・西浦厩舎)。一方、ミルコ・デムーロが騎乗した6連勝中の1番人気ローマンレジェンド(牡4=栗東・藤原英厩舎)は3着から2馬身遅れの4着に終わった。

06年は年間わずか1勝……「1度は潰れかけた騎手」

一度はどん底まで落ちた騎手人生、ニホンピロの馬とともに復活の道を歩んできた 【スポーツナビ】

 思い切り突き上げられた左拳。胸によぎったさまざまな思いのすべてが凝縮されたガッツポーズだった。
「とにかくうれしいです。オーナーはじめ応援してくれる方々、ニホンピロアワーズをここまで持ってきてくれたスタッフ、支えてくれた人が本当にたくさんいる。その気持ちに最後応えるのが僕の務めだと思っていたので、しっかりと果たせたという充実感で今はいっぱいですね」
 レース後のインタビューで酒井が答えた。1998年にデビュー。同期に池添謙一がいる中、初年度は25勝を挙げ順風満帆の騎手人生スタートと思われた。しかし、その後、年々勝ち鞍が減り、06年はわずか年間1勝。「1回、潰れかけたジョッキーでした」。
 しかし、06年のその1勝を挙げた馬がニホンピロコナユキ。これがきっかけとなって、小林オーナーは酒井を主戦として起用するようになったという。
「返しても返しきれない恩です。オーナーからは『いっしょに大きいところを取ろうな』と声をかけてくださって、そんなオーナーの馬といっしょに歩んできて、GIを勝てたんですから、思いはひとしお大きいですね」

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