苦労人・酒井15年目の初GI、ニホンピロへの恩返し=JCダート

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前走から1カ月で驚異の成長「変わり様にはビックリ」

レースは圧勝、前走からの急成長に酒井も舌を巻いた 【スポーツナビ】

“ニホンピロ”の主戦となり、2010年8月1日にはGIII小倉記念をニホンピロレガーロで勝利。そして、ニホンピロアワーズとの初コンビ・初勝利も、奇しくもこの小倉記念と同日、1つ前のレースだった。初めてまたがった印象を酒井が振り返る。
「最初は幸先輩が乗っていた馬なんですが、代打という形で調教から騎乗させてもらいました。コースに出る前は、トモ(後肢)が頼りなくて“これ、大丈夫か?”って思ったくらい。でも、キャンターに行ったら衝撃を受ける柔らかさでしたね。これは大きいところを取れる馬だな、って思いました」

 手応えどおり、酒井とのコンビで堅実に勝ち上がり、「1戦ごとに成長を感じていました」と、交流重賞を3勝。前走のGIIIみやこステークスはゴール前でローマンレジェンドに差されたが、これは1頭になるとソラを使ってしまう悪癖が出てしまった結果。力負けとは感じていなく、「仕掛けどころの難しい馬だけど、今回のJCダートはそこだけ」と、虎視眈眈、逆転勝利を思い描いていた。何より、前走からのわずか1カ月の間に、ニホンピロアワーズ自身が想像以上の成長を遂げていたという。

「道中は無理するところが1つもなかったですし、直線もターフビジョンを見ながら『まだ待てる、まだ待てる……どこまで待てばいいんだろう?』ってくらいの手応え。ソラを使う不安を残しながらも、最後は他馬の足音が聞こえてこなかったですから。本当、馬がたいしたものですし、前走から今回にかけての変わり様にはビックリしました」

「楽しみでいっぱい」これからが本格化のピークへ

遅咲きコンビがダート界でさらなる大暴れを見せる 【スポーツナビ】

 並みいるダートチャンピオン、4歳上がり馬、勢いある3歳馬を打ち破り、新ダート王の座に就いたニホンピロアワーズ。もちろん、ここがピークではなく、今後いっそうの活躍を見込んでいい。
「これだけの競馬ができて、馬にとっても自信になります。こんな立場の馬に今まで乗ることはなかったんですが、今後、GI馬に恥じない結果を残していけるように、スタッフと力を合わせて、もっと、もっと飛躍していきたいです。楽しみでいっぱいです」

 大橋調教師によれば、次の目標レースは馬の状態を見てからと、現時点では未定。「体質の弱い面があって、時間をかけてじっくり育ててきた」というだけあって、今からが本格化のピークを迎えるのだろう。遅咲きの新ダート王者と苦労人ジョッキーが描く夢は広がるばかりだ。

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