【順天堂大学】自転車競技部と室伏由佳先任准教授が第15回大学自転車競技フォーラム2025東京に登壇!アンチ・ドーピングとクリーンスポーツのレクチャーを担当!
本フォーラムでは、国際自転車競技連合(Union Cycliste Internationale:UCI)が掲げる「クリーン」「安全」「フェア」の3つの柱を基盤とする「サイクリング・インテグリティ」の理念に基づき、プログラムが展開されました。このプログラムでは、教育を通じて問題の発生を未然に防ぎ、適切な対処力を養うことが期待されています。本フォーラムは、ドーピングのないクリーンサイクリングに焦点を当てて実施されました。
キーノートレクチャー「クリーンスポーツを実践するために」
また、ドーピングを防ぐための日常的なクリーンスポーツ行動の実践として、薬の使用や治療を受ける際に必要となるアクションが教示されました。具体的には、病院で医師に自身がアスリートであることを伝え、スポーツにおいて禁止されている物質や方法があることを説明することの重要性が説明されました。その際、JADAの医療従事者向けサイトや、薬の検索システム「Global DRO」を案内し、アンチ・ドーピングのルールや最新の禁止表を確認してもらうことが推奨されました。さらに、TUE(治療使用特例)の申請プロセスについても解説されました。
加えて、市販薬などを購入する際には、JADA公認スポーツファーマシストがいる薬局を事前に調べ、購入予定の薬についてスポーツファーマシストとともにGlobal DROで検索を行う必要性が示されました。アスリート自身が正しく情報を確認することや、サポートスタッフと連携しながら適切に対応することの重要性が共有されました。
パネルディスカッション 知識編「わかっているようでわかっていないアンチ・ドーピング対策」
具体的な対策として、①キャップの開いていないドリンク以外は受け取らない、②アンチ・ドーピング対策として食べ物、飲み物、サプリメントなど差し入れを遠慮していることを明確に伝える、③チームや部として差し入れの受け取り基準を設ける、などが挙げられました。こうした対応を徹底することで、意図しない禁止物質の摂取を未然に防ぐことが重要であることが共有されました。
こうした身近な製品にもリスクが存在することを踏まえ、アスリートやサポートスタッフが適切な対応策を身につけることの重要性を改めて確認しました。
パネルディスカッション 実践編「治療を受けるときや薬を使うときに必要なアクション」
特に、アスリートが①事前にサポートスタッフや医師と相談すること、②Global DROで検索し記録を残すこと、③自ら最終判断の責任を持つこと、の重要性が指摘されました。また、健康にスポーツへ参加するために求められる具体的な行動についても議論が行われました。
さらに、こうした知識や行動を実践する前提として、アスリートの権利、役割と責務、そして厳格責任の原則の理解が不可欠であることが共有されました。特に、Global DROの活用については、参加者全員が実際に検索を行い、特定の薬が「競技会時に禁止される」か、あるいは「常に禁止される」かを確認する実践的なセッションが実施されました。この際、検索結果の出力方法や、検索した日時やナンバーの記録、PDFでの保存が可能であることも確認し、適切な情報管理の重要性が確認されました。
加えて、薬を購入する前や病院で治療を受ける前にアンチ・ドーピングの専門家(スポーツ医師やスポーツファーマシストなど)に相談すること、コーチや監督などのサポートスタッフと事前に情報を共有することの重要性についても意見が交わされました。
学んだことを振り返る
登壇者、参加者ともに正答率が高く、フォーラムを通じて基本的な知識を身につけるとともに、重要なポイントを再確認し、実践的な理解を深める機会となりました。また、参加者からも積極的に質問が寄せられ、活発な意見交換を通じて、クリーンスポーツの実践に向けた理解がさらに深まりました。
本フォーラムを通じて、自転車競技にいそしむアスリートおよび関係者に対するクリーンスポーツ教育の必要性が改めて認識されました。今後、それぞれの競技活動のなかで学んだ知識を活かし、より実践的なアンチ・ドーピング対策を進めていくことが期待されます。
スポーツ健康科学部での専門的な学び——教育と実践を通じたクリーンスポーツの推進
1年次には、必修科目の「スポーツ指導者に必要な医学的知識」や「スポーツ健康科学総論」を通じ、アンチ・ドーピングの基礎を学ぶ複数回の講義を履修します。2年次には、スポーツ科学分野必須科目の「スポーツ医学総論」において、アスリートの健康を守りながらクリーンスポーツを実践するために必要な禁止物質や禁止方法について調査し、適切な対処法を学ぶ実践的な学習を行います。さらに、3年次には、選択科目の「グローバルコミュニケーション」において、海外でのドーピング検査に備えるための知識を深めるとともに、ドーピング検査員の役割やスポーツを支える立場について体系的に理解を深めます。
今後も、スポーツ健康科学部は、ドーピングのないクリーンなスポーツを推進するための実践的な学びを展開し、スポーツや社会に貢献できる人材の育成に取り組んでまいります。
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