九州産馬ネオシエルが10連勝かけて重賞に登場!差し好走のレースで刺客は現れるか?/佐賀・九州クラウンデータ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2024年九州クラウン優勝ジョンソンテソーロ 【撮影:佐賀県競馬組合】

第4回 九州クラウン (3歳以上、ダート1400m)
3月9日佐賀6レース 18時05分発走予定

今年で4回目を迎える短距離重賞。佐賀競馬で最もレース数の多い1400mを舞台に行われる。
ここではレースが創設された2022年~24年の過去3年のデータに加え、舞台となる佐賀ダート1400m(2歳戦を除く)の過去3年(2022年~2024年)のデータを元に分析する。

過去3回は上位人気決着の傾向

レース創設から歴史が浅く、過去3回のデータしかないが、うち2回で1番人気が勝利。唯一、1番人気が馬券圏外に敗れたのは第1回の2022年のミスカゴシマで4着だった。それでも3回すべてで5番人気以内で1~3着は決まっており、3連単の平均配当は6357円。22年のみ万馬券で、以降2回は3000円未満の堅い決着だった。

単勝人気別成績 【表1】

ピーク直後の5歳馬が好走

不思議なことに、過去3回すべてで5歳馬が勝っている。決して出走頭数が多い年齢層というわけではないため、3着内率も60%と高い。JRAの研究では「速く走る」という点で4歳秋にピークを迎えると言われている。5歳3月はそのピークを迎えた直後。競走馬としていい時期にあたることも高い好走率の一因だろう。

馬齢別成績 【表2】

出走も入着も牡馬が大半を占める

出走馬の7割を牡馬が占め、3着以内もほとんどが牡馬。牝馬で唯一3着に入ったのは2022年スーパースナッズで、2番人気だった。今年は牝馬の出走が0で、セン馬が1頭。セン馬は過去に23年9着ナンヨーアミーコ(9番人気)のみの出走だった。

性別別成績 【表3】

不思議と差し好走のレース

当レースの舞台である佐賀ダート1400mでの昨年の逃げは勝率24.8%、3着内率51.%と、小回りコースとあって前有利のデータだった。ところが、当レースに限っては逃げ馬の勝利は0。上位入着は23年にロトヴィグラスが3着に粘ったのみとなっている。
一方で、好走率が高いのが差し。差しは該当頭数も多いため好走率は低く出やすいのだが、連対率は41.7%と高い数値となっている。

脚質別成績 【表4】

差しは39秒がボーダーライン

では、差し馬はどのくらいの末脚を使えれば上位入着を果たせるのだろうか。そこで、当レースと同舞台の過去3年について差しの上がり3ハロン別成績をまとめたのが下表。
3着内率が5割を超えるのは39秒を切った場合。38秒台後半では勝率19.5%、連対率37.2%、3着内率55.2%に対し、39秒台前半では勝率14.8%、連対率30.1%、3着内率46.6%と約5~10%、好走率が低下する。

差しの上がり3ハロン別成績 【表5】

逃げは8番枠がやや好成績

ここまで差しの可能性を探ってきたが、2つ前の項で述べたように、当レースの舞台である佐賀ダート1400mにおいて、逃げは勝率24.8%、3着内率51.%(2024年)。当レースの過去3回が偶然、差し馬の勝利が続いただけで、ここで逃げの好走があっても何ら不思議はない。
そこで、逃げにとって好枠はどこか。馬番別の成績をまとめたのが下表。勝率は大きな差はないが、3着内率では8番枠が58.7%と、やや秀でている。
なお、大外12番枠に関しては最内枠と比べるとサンプル数が約2割と極端に少ないため、好走率は低く見えてしまうので参考外でいいだろう。

逃げの馬番別成績 【表6】

短距離の前走を1カ月以内に勝った馬

当レースと同距離の重賞は直近だと3カ月前のウインターチャンピオン。やや間隔が空くため、その間に移籍馬が実績を残すなど勢力図に変化もある。そこで、キャリア別で成績を見てみると、ウインターチャンピオン3着以内組は勝率40%、連対率60%。
対して、前走でA1・A2戦(1400m以下、かつ1カ月以内)で勝った馬は勝率42.9%、連対率71.4%と、こちらの方が好走率が高くなっている。
なお、22年1着タガノキトピロと24年1着ジョンソンテソーロは両方に当てはまっており、より好走率が高くなると言える。

キャリア別成績 【表7】

データからの推奨馬は?

①上位人気
②5歳
③前走が1カ月以内のA1・A2(1400m以下)で、勝利
④近走で上がり3ハロン39秒0未満
⑤逃げなら8番枠だとなお良し

中心はネオシエル。宮崎県生まれの同馬は3歳時に重賞・たんぽぽ賞でJRA馬相手にハナ差2着となり、佐賀皐月賞を制覇。九州ダービー栄城賞でも3着に入るなど九州産の枠を超えて早くから活躍していた。昨夏から7カ月の休養を挟みながらも現在9連勝中。逃げて上がり3ハロン37秒2の脚を繰り出すこともあれば、中団に控えて4コーナーでスッと先頭に並びかけるレースもするなど自在だ。おそらく1番人気に支持されるだろう。5歳馬で1400mの前走も勝っており、①②③④に該当。

もう1頭、上位人気に推されそうなのはビキニボーイ。こちらも5歳馬だ。兵庫在籍時に1870mの兵庫ダービーで4着に入っているように、長めの距離がいいタイプ。1400mだと2~3走前は序盤に進みが悪い面を見せるものの、上がり3ハロンは38秒0以下で2~3着まで詰め寄った。今回は逃げ・先行タイプが多く、ハイペースが予想されるため、位置取りは後ろになるだろうが、展開が向く可能性も高い。①②④に当てはまる。

ハイペースを見込んで同じく差しタイプで狙いたいのはダイリンウルフ。佐賀への再転入初戦となった3走前のウインターチャンピオンを上がり37秒8の鋭い末脚で差し切り勝ちを決め、地方全国交流のゴールドスプリントでも3着。姫路に遠征した前走の兵庫ウインターカップも着順こそ4着だったが、勝ったのはJRA馬相手に兵庫ゴールドトロフィーで4着の実績のあるスペシャルエックス(北海道)。実績馬相手に0秒3差、かつ上がり3ハロン最速で、改めて強さを感じるレースだった。①④に当てはまる。

テイエムフォンテテイエムフェローもともに実績馬。逃げ・先行タイプが多いため、7枠からどんなレースになるかだが、10番枠に関しては逃げの3着内率54.1%と高い。

③からはオールスマートが当てはまるが、テンのスピードが速く、ワンターンの900m戦を得意とする馬。1400mでどこまで粘れるか。

第4回 九州クラウン 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント