吉田、カレリンに並ぶ“世界12連覇” 初戦敗退の浜口は現役続行か=女子レスリング

増渕由気子

伊調とダブルで4連覇挑戦はあるのか――

 伊調と同様に気になるのは、今後だ。今回は旗手を務め、カレリンの持つ大記録に挑戦。さらに前日には2階級で金メダルと、様々な要因が重なり、これ以上ないプレッシャーと緊張感があったようだ。「もう、この緊張感イヤだ。疲れた」ととりあえずは休養宣言をした。だが、休養の長さが「年」単位とは限らない。9月にカナダで世界女子選手権が行われ、これに出場して勝てば、13大会連続優勝となりカレリン超えを果たすのだ。「(記録を)超えたいよね。(マスコミを見回して)超えて欲しいよね(笑)?」と話し、現時点では50パーセントとした。また、4年後については「今はまだ考えてないけど、このままできるんだったら、やってやろうじゃないの? という気持ちにもなる」とまだまだ現役を続けることが濃厚のようだ。アテネ五輪から長期休養を取らず走り続けてきた吉田。この勢いはリオまで止まりそうもない。

浜口、まさかの初戦敗退でメダル獲得ならず……

浜口はまさかの初戦負けを喫する。今後に関しては「まだレスリングシューズは脱ぎたくはない」と話すなど現役続行も 【Getty Images】

 3大会連続メダルならず――。女子72キロ級の浜口は初戦で11、12年アジア選手権優勝のグゼル・マニュロワ(カザフスタン)に1−2で敗れ、日本女子として唯一メダルを逃してしまった。マニュロワには11年5月のアジア選手権(ウズベキスタン)でも対戦して黒星。リベンジマッチを制することはできなかった。
 浜口のブロックは、ロシア、中国など強豪ひしめくブロックだったためマニュロワは実力がある選手だったが、次戦で優勝したロシアのナタリア・ボロベワ(ロシア)にフォール負け。浜口は敗者復活戦に回れず、04年アテネ銅、08年北京銅に続いて連続メダルはならなかった。

 試合後は涙にくれた。開口一番に「勝てると思ったんですけど」と声を絞り出すのがやっと。浜口のブロックに実力者が集結したことは「五輪だから強い選手が集まっているのは当たり前。どんな相手でも、今回のロンドン五輪は自分のことを信じて、今までやってきたことをすべて出そうというのが目標だった。だから、ずっと強気で弱気にならないようにしました」という姿勢で試合に臨んでいた。五輪で初戦敗退で終わったのは初めてのことだったが、34歳でアジア予選を勝ち抜いて出場したロンドン五輪。「精いっぱいやったし、全力は出し切れた」と言い切った。
 
 5月のW杯では「おそらく日本で最後の試合になるかも」と、試合後のマットにキスをしてロンドン五輪での引退を示唆していたが、去就については「自分と相談するけど、まだまだレスリングシューズは脱ぎたくはない」と話した。まだまだ浜口を脅かす選手は日本国内にいない。浜口の意志次第では現役続行もありえそうだ。

アニマル浜口氏登場 愛娘の現役続行を後押し

 浜口の会見の途中で、父のアニマル浜口さんが登場。「京子、あんな負け方ないだろう。毎日毎日、何を練習してきたんだよ。ラスト1秒、場外際で腰落としてちょっと出せばいいじゃないか。それで、勝ってたんじゃないか。初歩的なことで負けたから言うんだよ」とまさかの初戦敗退に「俺自身が収まらないよ」と怒り爆発! 最後は「リオ、リオ、リオ!」と愛娘に現役続行エールを送った。

<了>

2/2ページ

著者プロフィール

栃木県宇都宮市出身。作新学院高〜青山学院大・文学部史学科卒業。高校まで剣道部に所属し、段位は2段。趣味は、高校野球観戦弾丸ツアーと、箱根駅伝で母校の旗を携えての追っかけ観戦

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント