レーカーズが3連覇を逃した理由=NBAプレーオフ

山脇明子

コ―ビー・ブライアントもチームを立て直すことができず、レーカーズは4連敗でプレーオフ西カンファレンス準決勝で敗退 【Getty Images】

 “Ugly(醜い)”、“Embarrassing(恥ずかしい)”

 過去2年連続NBAの王者に輝いたレーカーズの2010−11シーズンは、こんな言葉とともに幕を閉じた。

 マーベリックス(以降マブス)に3連敗して、あとがなくなった試合だったにも関わらず、レーカーズは36点差をつけられて敗退した。あっさり終わったのならば、まだ良かった。だがレーカーズは、28点差を追う第4Q残り9分6秒にラマー・オドムがわざとダーク・ノビツキーに右腕からぶつかって退場。その45秒後にはアンドリュー・バイナムがシュート体勢に入っていたホゼ・バレアの胸元に右腕をつきつけて落下させて退場した。どちらもフラストレーションからきたフラグラントファール(悪質なファール)で、彼らが感情をコントロールできなかった結果によるものだ。

 王者らしくない、アンプロフェッショナルなプレー。最悪の終わり方だった。だが、今季のレーカーズを振り返れば、“最悪”に続く要素はいくつかあった。

シーズン中にもみえた課題

 シーズン開幕は13勝2敗という好スタートを切った。だがその後、4連敗を喫すると、ヒートとのクリスマス決戦では大敗し、ホームの観客を失望させる。2月半ばの遠征ではマジックに14点差、ボブキャッツに20点差で敗れたあと、その時点でNBAワーストの9勝だったキャバリアーズにも敗れて王者の顔に自ら泥を塗った。
 オールスター後の18試合では1敗と、いよいよ本領発揮かと思わせたが、以降7試合で5敗してシーズンを終えた。
 敗戦の問題のほとんどは、守備のまずさによるもの。互いに注意し合い、助け合う動きが止まってしまっていた。
 元レーカーズの往年の名選手マジック・ジョンソン氏からも「このチームは年をとっているし、そんなプレーをしている」と批判された。

 3連覇に対する選手の気持ちが一つになっているかどうかも疑問だった。ヒートに完敗したあと、コービー・ブライアントは「すべての試合を『これが最後』という思いでプレーすべき。優勝リングを2つ得たからといって満足してはいけない」とチームメートへの不満をあらわにした。

 またシーズンオフの選手編成で獲得した補強は、故障も手伝って期待ほどの活躍を見せなかった。それがベンチ層に不安を持たせた。

 レーカーズが持つ経験とメンバーと総合力に、フィル・ジャクソンという名将がいれば、リーグを制する力が十分あることは誰もが分かっていた。だが実際には、それらの長所がまとまって発揮できるのかという不安と疑問を抱えたまま始まったプレーオフだった。

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著者プロフィール

ロサンゼルス在住。同志社女子大学在学中、同志社大学野球部マネージャー、関西学生野球連盟委員を務める。卒業後フリーアナウンサーとしてABCラジオの「甲子園ハイライト」キャスター、テレビ大阪でサッカー天皇杯のレポーター、奈良ケーブルテレビでバスケットの中体連と高体連の実況などを勤め、1995年に渡米。現在は通信社の通信員としてMLB、NBAを中心に取材をしている。ロサンゼルスで日本語講師、マナー講師、アナウンサー養成講師も務めている。

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