東の伏兵マイネルキッツ波乱V! 松岡の進言が激走生んだ=天皇賞・春

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東の伏兵マイネルキッツが驚きの激走V! 【スポーツナビ】

 大波乱の春の盾、東の伏兵が大仕事だ! JRA春の最強馬決定戦、第139回GI天皇賞・春が3日に京都競馬場3200メートル芝で開催され、松岡正海が騎乗する12番人気の関東馬マイネルキッツ(牡6=国枝厩舎)が直線最内から抜け出し、そのまま押し切って優勝。古馬最高の栄誉である春の盾を手中にするとともに、3連単の配当が22万1080円となる波乱の主役となった。勝ちタイムは3分14秒4。騎乗した松岡、国枝栄調教師ともに天皇賞・春は初勝利となる。

  一方、クビ差の2着には4番人気アルナスライン(牡5=松元茂厩舎)、さらに1と3/4差の3着にはドリームジャーニー(牡5=池江寿厩舎)が入線。なお、07年GI菊花賞の勝ち馬で1番人気に支持されていたアサクサキングス(牡5=大久保龍厩舎)は9着、昨年のGIジャパンカップ馬で最優秀4歳以上古馬にも選出された2番人気スクリーンヒーロー(牡5=鹿戸厩舎)は14着にそれぞれ敗れた。

日経賞から天皇賞・春へ、松岡「自分からお願いした」

松岡(右)の進言、そして国枝調教師の信念である栗東調教がマイネルキッツの素質は開花させた 【スポーツナビ】

 春伝統の大一番にまた一つ、新たな波乱の歴史が刻まれた。単勝オッズ46.5倍、18頭立て12番人気。重賞勝利もなければ、GIは初出走。そんな伏兵中の伏兵が見せた快走劇に、ゴールデンウィーク本番の京都競馬場に来場した8万2000人の大観衆は大きなどよめきで応えるしかなかった。

 「うれしいですね。前走の日経賞から自分なりの考えでやってきたことが間違っていませんでした。それが証明できて本当にうれしいです」

 マイネルキッツの下剋上を導いた波乱劇のもう一人の主役、24歳の若武者・松岡が会心の笑顔を浮かべた。ジョッキーの語った「自分なりの考え」というのは、4着に敗れた今年1月のGIIアメリカジョッキークラブカップ後のローテーション。陣営はGIII中京記念を予定していたが、「日経賞から天皇賞へ行かせてくださいと自分からお願いしたんです。何戦か乗っていてこの馬のクセもつかんでいたし、日経賞から天皇賞の方が合っていると思ったので」と松岡自らが強く進言していたのだ。そして、これが、ズバリ的中したのだった。

道中ロスなし、国枝師「これは何かやりそうだなと」

道中は何のロスもなくインをピタリ追走 【スポーツナビ】

 昨夏から力を伸ばし、GIII、GIIと善戦はするものの勝ち星はなし。そんな相棒を「いつも真剣に走ってくれないんです。能力があるのは分かっていましたし、自分でも生かせなかった」と、もどかしく感じていた松岡。だが、この春の大一番でついに能力が開花した。
 「返し馬の時から、いつもとは具合が違うなと思いました。きょう、やっと能力をすべて出し切ってくれましたね」

 レースは2番枠スタートから馬なりで中団をキープ。難コースの淀3200メートルだが、松岡は「1200メートルでも3200メートルでも競馬は競馬ですから。位置取りはどこでもいいと思っていました」と、気負うことなく自然体。向こう正面ではすぐ前を2番人気の東のエース・スクリーンヒーローと横山典が歩を進めており、「ちょうど前が開けて、スクリーンヒーローにいい感じで誘導してもらう形になりましたね」と、何のロスもなく最内の経済コースを上がっていく。

 この道中を国枝調教師が振り返り、「ウソみたいにロスなく折り合っていけましたからね。これは何かやりそうだな、と思いました」と、すでにこの時に激走の予感があったという。

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