東の伏兵マイネルキッツ波乱V! 松岡の進言が激走生んだ=天皇賞・春

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並んでからが本領発揮、アルナスラインと絶好併せ馬に

最後の叩き合い、アルナスライン(黒帽子)が迫るも、松岡は「絶好の展開に」 【スポーツナビ】

 勝負どころの2周目坂の下りから4コーナーも、インぴったりにスルスルとポジションアップ。そのまま直線入り口では前が詰まるリスクを恐れることなく最内に突っ込み、直線半ばで早くも先頭に踊り出た。
 「強い馬に勝つには、やっぱりロスなく行くしかありませんからね。岡田繁幸社長(サラブレッドクラブ・ラフィアン前代表)も紘和社長(繁幸氏の長男で現代表)も最内を突いた方がいいとおっしゃっていたので、その通りに行きました」

 最後の直線、堂々先頭に立ったところで、外から蛯名が駆る07年菊花賞2着馬の4番人気アルナスラインが急襲。「馬体が合った時には『また2着かぁ〜』と思いましたよ(笑)」とおどけてみせた松岡だが、内心はこれをこそ待っていたと言わんばかり。
 「1頭になると進んでいかなくなる馬なので、絶好の形になってちょうど良かったですね」

 クビ差まで詰め寄られたものの、ここから抜かせない。むしろまだまだ余力十分と思わせるくらいの脚勢のまま、アルナスラインを完封。東の伏兵と若武者による下剋上が大成功に終わった瞬間だった。

“栗東留学”の成果実った、宝塚記念で真の覇権を

次走は上半期の総決算グランプリ宝塚記念、再び関西馬打倒で覇権を関東に持ってくるか 【スポーツナビ】

 「これまで栗東を使ってきてもなかなか結果が出なかったけど、ここで1つ結果を残せてうれしいですね」
 国枝調教師が喜びをかみしめるように、こう語った。関東・美浦トレーニングセンターに厩舎を構える国枝厩舎だが、関西のビッグレースに出走させる時には早いうちから栗東トレーニングセンターに入厩させ、そこで調教を行うというスタイルを執り続けてきた。マイネルキッツも4月16日から栗東に入っての調整。過去、マツリダゴッホやダノンベルベールも同様に栗東で調教が積まれたが、これまでGI2着はあるものの、勝つことはできないでいた。しかし、ついにつかんだGIの勲章。国枝流“栗東留学”は間違いではなかった。

 「次は宝塚記念(6月28日、阪神2200メートル芝)もありますからね。順調ならここへ行ってみたいと思います。ステークスも勝てなかった馬だったので、これで気負うことなくチャレンジャーのつもりで臨みたい」
 次走を上半期の総決算グランプリ、GI宝塚記念と早くも明言したトレーナー。その時も当然、早め栗東入厩での調整になるだろう。そして、同じく宝塚記念を目標としている厩舎のエース・07年GI有馬記念馬マツリダゴッホと揃い踏みでの栗東入りとなる。

 「まだまだ強い馬も他にいますし、同じ厩舎のマツリダゴッホもいますからね。それらの馬を相手にまた互角以上の競馬ができるように頑張っていきたいですね」と松岡。
 まさに波乱の“盾”役者となったマイネルキッツが、東の伏兵から古馬戦線の主役へ。西の真打ちディープスカイが登場する夏のグランプリ宝塚記念で再び頂点に立ったとき、関東への覇権奪回が成功する。“GIの先輩”マツリダゴッホとともに、決戦の日までさらに牙を研ぎ澄ますまでだ。

阪神大賞典組が全滅……疲れが残った?

1番人気アサクサキングスがまさかの失速 【スポーツナビ】

 マイネルキッツの激走が“まさか”なら、アサクサキングス、スクリーンヒーローの惨敗もまた“まさか”の光景だった。

 「うーん……、止まっちゃいましたね」
 力なくアサクサキングス騎乗の四位がレースを振り返った。1周目の道中はこの馬としてはやや後ろかと思える中団の位置取り。だが、これも「真ん中よりも後ろだったけど、ペースはいつもどおりだったし、位置取りは関係なかったと思う」と、マイペースで気分良く追走。手応えも特別悪くはなく、3コーナーの坂手前から徐々に進出し、直線入り口では勝利を射程圏内にとらえる3番手まで押し上げていた。
 いつものアサクサキングスなら、ここからしぶとく脚をしぶとく伸ばして後続を完封となるはず。だが、勝ったマイネルキッツに理想の競馬をやられ、逆にこちらは失速。後続にも次々追い抜かれ、掲示板も遠い9着入線に終わってしまった。

 「徐々にポジションを上げて、坂もいい感じだったんですけど。4コーナーを回って蛯名さんの馬(アルナスライン)にすぐかわされて、内からも勝った馬がすごい手応えで伸びていったんだけど、直線はちょっとだらしなかったですよね」
 2年連続で1番人気に応えられなかったアサクサキングスと四位。敗因はどこにあったか? やや無言ののち、四位は「前走の泥んこ馬場の中でやった競馬がちょっと効いていたのかな?」と、ポツリともらした。

スクリーンヒーローも精彩なく14着に大敗した 【スポーツナビ】

 前走とは、天皇賞・春への最重要ステップレースGII阪神大賞典。コンディションの悪い雨の重馬場の中で行われ、この時のダメージが尾を引いたのかもしれない。
 それは同じく阪神大賞典から天皇賞・春に歩を進めながら、こちらも14着と大敗したスクリーンヒーロー騎乗の横山典も似たような敗因を口にしていた。
 「阪神大賞典と今回で合わせて2回の輸送もあったし、ああいう馬場で走った疲れがあったのかも。この馬自身、一生懸命走っているんだけどね」

 この2頭ばかりでなく、阪神大賞典2着で惑星の1頭として注目を集めていたヒカルカザブエも7着。結局、阪神大賞典組は掲示板にも載れず、いいところがなかった。数々の天皇賞馬を送り出した最重要ステップレースだったが、今年ばかりはあの道悪競馬がアサクサキングス、スクリーンヒーローたちの重い足かせとなってしまったか。

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