大坂なおみ、パワーを封じられ完敗 男子単ではジョコビッチが敗れる波乱

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女子シングルス2回戦に進んだ大坂なおみだが、第9シードのジョアンナ・コンタにストレートで敗れた 【写真:ロイター/アフロ】

 テニスの全豪オープン第4日、期待の19歳、大坂なおみ(日清食品)は女子シングルス2回戦で第9シードのジョアンナ・コンタ(イギリス)に挑戦したが、巧妙なショットコントロールに持ち味のパワーを封じられ、セットカウント0−2(4−6、2−6)のストレートで敗れた。

最初のブレークポイントを奪えずリードを許す

 コンタはオーストラリア生まれの英国籍、生まれ故郷のシドニーでの前哨戦でツアー2勝目を挙げたことで、がぜん、評価を上げてきた。センターコートは大坂にとってアウェーだったが、1回戦よりはリラックスした立ち上がりだ。

 第1セット、時速191キロ、189キロのサーブをとばして相手を牽制(けんせい)。第5ゲームに15−40という危ない場面があったが、ここも冷静なフットワークで切り抜けた。

 ただ、なかなかチャンスが訪れない。コンタとは一昨年の全米オープンの予選で対戦しており(結果はコンタのストレート勝ち)、相手も研究十分。サーブの威力はないが、うまく読みを外して先手を奪い、打ち合いになれば深いボールで大坂のパワーを封じた。惜しかったのは、互いにサービスキープを交わして迎えた第8ゲーム。大坂がこの試合最初で最後のブレークポイントを握ったところでリターンがわずかに長く、そこから2本のサービスエースで逃げられた。逆にコンタはピンチの後の第9ゲームをブレークして先手を奪った。

土橋監督「いい経験にしてくれるでしょう」

コンタのサーブに苦しめられ、ブレークを取れず完敗。それでも「ガッカリしていない」と前を向く 【写真:ロイター/アフロ】

 大坂は今年に入ってから、オークランドの準々決勝で手首を痛め、故障は癒えたものの1試合しかプレーできずにこの大会に入ったのが悔やまれるところ。一方のコンタは、前哨戦ではウージニー・ブシャール(カナダ)、アグニエシュカ・ラドワンスカ(ポーランド)を倒して優勝。全豪オープン本戦は初出場だった昨年、いきなりベスト4に入り、ここから上昇のきっかけを作っている。自信と確信がショットを後押しし、大坂はジワジワと差を広げられていった。

「コンタはすごくサーブが良かった。配球が上手で、読むことができなかった」

 この日の大坂の最速サーブが時速191キロだったのに対し、コンタは時速176キロ。サーブ力では上のはずが、ファーストサーブでのポイント率は相手の89%に対し大坂は63%。サービスゲームでの獲得ポイントが第1セットの19から第2セットは10と約半減しては勝ち目がなかった。

「いろいろなことがよく分かったので、あまりガッカリしていない。楽しかった。彼女は私よりもテニスを知っている。もっと経験を積んで、今シーズンの目標、ランキングは20位以内、グランドスラムでベスト8に入れるよう頑張ります」

 フェド杯の日本女子を率いる土橋登志久監督も、「今日は相手にうまく抑えられた。大坂さんは、のんびりしているように見えますが、よく考えた練習をしているので、これもいい経験にしてくれるでしょう」と話した。

ジョコビッチが06年以来の2回戦敗退

大会3連覇を狙ったジョコビッチ(右)だが、世界ランク117位の選手に敗れる大波乱となった 【写真:ロイター/アフロ】

 そのほか男子シングルス2回戦では、6度の優勝を誇り、大会3連覇を狙った第2シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、ワイルドカード出場の世界ランク117位、ウズベキスタンのデニス・イストミンに敗れる大波乱があった。

 イストミンは昨年暮れのアジア推薦枠の予選を勝ち上がった30歳で、11度出場の全豪オープンでは、これまで3回戦が最高。この日は、立ち上がりから鋭さを欠いたジョコビッチに対し、粘り強くチャンスを待ち、タイミング良く攻撃を仕掛けることに成功。第1、第4セットのタイブレークを制し、ジョコビッチが消極的になったところを攻め続けた。

 ジョコビッチは、昨年の全仏オープン初優勝で生涯グランドスラムを達成したが、そこから後半は精彩に欠き、アンディ・マリー(イギリス)に世界ナンバーワンの座を譲った。今季は前哨戦のドーハの決勝でそのマリーを倒して優勝を飾り、ゲンのいい全豪での再起を誓っていたが、それは叶わなかった。
 ジョコビッチの4大大会での2回戦敗退は2008年のウィンブルドン以来。また全豪では06年以来となる。試合後の会見では、第4セットの序盤にダブルフォルトなどで先手を奪われた場面を敗因に挙げた。

 女子では第3シードのラドワンスカが、ベテラン34歳のミリヤナ・ルチッチバロニ(クロアチア)にストレート負け。前日は、地元の期待を背負った第14シードのニック・キリオス(オーストラリア)、第7シードのマリン・チリッチ(クロアチア)が敗れるなど、大会は序盤から波乱含みの展開になってきた。

 また日本勢では 男子シングルスで初の2回戦進出となった西岡良仁(ミキハウス)が、第13シードのロベルト・バウティスタ(スペイン)にストレート(2−6、3−6、3−6)で敗戦。この結果、シングルスで本戦入りを果たした男女9人の日本人選手は錦織圭(日清食品)を残して全員が敗退となった。錦織は第5日に予選上がりのルカシュ・ラツコ(スロバキア)と対戦する。

文:武田薫

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