「練習からすごく緊張していた」 大坂なおみを苦しめた“プロ”の重圧
開幕試合の緊張感を呼んだ理由
格下相手に対して受身に回るシーンが目立った大坂なおみ 【Getty Images】
大坂の相手はワイルドカードのアジア枠予選を勝ち上がってきたタイのラクシカー・クムクム。一昨年にジャパン・ウィメンズオープンで1度だけ対戦したことがあり、その時は大坂が勝っているが、今大会では相手が意気込みで上回っていた。パワーを武器にする大坂とは対照的に、正確なコントロールと頭脳プレーで、同じタイ出身のタマリネ・タナスガーン(※編注:08年ウィンブルドンでベスト8進出)に共通して堅実味が売り物。大坂が受け身に立たされる場面が目立った。
「練習から、ものすごく緊張していた。負けたくなかった」
昨年オフには錦織圭と同じ大型スポンサーがつき、テレビなどのメディア露出も増えて、これまでと一転した多忙な時間を過ごしてきた。フェドカップのメンバーにも指名され、いよいよ本格的なプロ始動が、開幕試合の緊張感を呼んだのだろう。
危機を救った強力サーブとフォアハンド
フルセットの激戦は2時間25分に及んだ 【写真:ロイター/アフロ】
しかし、気持ちを切り替える点で、強力サーブは有効な武器だ。第2セットに入ると、ファーストサーブの精度を高めて短いポイント勝負でリズムをつかみ、リターンではスタミナ温存に入ったクムクムを早めにつかまえた。第2ゲームを先にブレーク、その後の反撃に対しても攻めの気持ちを失わずにセットを奪い返した。
世界ランクは大坂の48位に対し、クンクンは183位。「格上の選手とプレーする方が簡単」というのは、トップ50に定着するための通過儀礼だ。大坂はクンクンの挑戦を必死にこらえた。ブレーク1度ずつで迎えた第7ゲーム、ファーストサーブが入らずにブレークポイントを3度握られたが、最後まで自分のフォアハンドを信じて危機脱出。相手も第10ゲームのブレークポイントを2度乗り切ったが、我慢した褒美のように、第12ゲームのデュースからコードボール(ネットイン)のちょっとした運が訪れ、2時間25分の激戦を制した。
2回戦は格上相手
女子ではグランドスラム初出場の尾崎里紗(江崎グリコ)は敗れたが、西岡良仁(ヨネックス)は予選勝ち上がりの地元選手を倒して全豪オープン初勝利を収めた。
その他では、セリーナ・ウィリアムズ(米国)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)らが南半球らしい夏の日差しのもとで順当に勝ち上がっている。
日本時間18日に行われる大会第3日は、錦織圭が第1試合でジェレミー・シャルディー(フランス)と対戦する。
(文:武田薫)
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