デ杯優勝はクロアチアかアルゼンチンか 杉山愛コラム「愛’s EYE」
デビスカップ決勝が25日に開幕。チリッチら実力者がそろうクロアチアと、デルポトロ(写真)擁するアルゼンチンが対戦する 【Getty Images】
チリッチら単複のトップ選手がそろうクロアチア
今年はノーシードでしたが、初戦で第2シードのベルギーを破ると、アメリカ、フランスとすべて強豪チームを破って決勝に勝ち上がりました。その意味で、今、一番勢いがあるチームと言っていいでしょう。チームの雰囲気もいいはずです。
何より大きいのは実力者がそろっていることです。マリン・チリッチ(シングルス世界ランキング6位)、イボ・カロビッチ(同20位)、ボルナ・コリッチ(同48位)、ダブルスではイワン・ドディグ(ダブルス世界ランキング13位)と単複にトップ選手がそろいます。
ここまでの勝ち上がりを見ると、チリッチの安定した成績がまずあって、この11月で20歳になったばかりの若いコリッチは比較的、楽にプレーできる状況があったように見受けられます。
私自身のフェド杯(女子国別対抗戦)での経験でも、経験豊富で実力のある選手が上にいることで、若手は思いきりやらせてもらえます。そうして、チームで過ごす時間が実り多いものになり、自分自身のプレーもかみ合ってくれば、チームの戦力となるだけでなく、その後の個人戦にも生きてきます。フェド杯、デ杯をきっかけに個人戦でも躍進する選手がいますが、コリッチもそうなる可能性があるはずです。いつブレークしてもおかしくない存在であるだけに、今年のデ杯がきっかけになるかもしれません。
20歳になったばかりのコリッチ。デ杯でブレークのきっかけをつかみたい 【Getty Images】
大黒柱デルポトロ率いるアルゼンチン
決勝進出の立役者は、準決勝のシングルス第1試合でアンディ・マリーを破ったフアンマルティン・デルポトロ(シングルス世界ランク38位、ダブルス351位)でしょう。左手首の故障もあってチームを離れていましたが、準決勝のイギリス戦で復帰早々、大きな1勝を挙げました。復帰後、バックハンドはスライスが多くなっていますが、上から打ち下ろすフォアハンドの強打は世界でも超トップクラス。サーブ力もトップクラスで、リオデジャネイロ五輪銀メダルの結果が表しているように、誰にでも勝つ可能性のある選手です。相手にとっては最も嫌な存在でしょう。
そのエースが出場しなかった1回戦と準々決勝では、選手層の厚さを見せました。アルゼンチンは、ATPランキング・トップ100に9人の選手を送り込んでいて、今年、デ杯に出場した選手は7人にのぼります。それだけいると、代表を選ぶ方も大変でしょう。国内でもいい競争が繰り広げられることが想像できます。
今年のデ杯ではシングルスでレオナルド・マイエル(シングルス137位)が3勝しているのが目を引きます。フェデリコ・デルボニス(同41位)、グイド・ペジャ(同72位)がそれぞれシングルスで2勝。デルポトロに加え、この3人が決勝のメンバーに名を連ねます。
アルゼンチンも団結力があり、同国選手同士、仲が良いのが特徴です。しかも、デルポトロという、選手たちの心の支えとなる選手が存在します。デ杯決勝という独特の空気の中で、グランドスラムタイトルを取っている選手、大舞台の経験者の存在は大きいはずです。彼がいるから自分たちも大丈夫と、他の選手も力を発揮しやすい状況が生まれるでしょう。
会場はクロアチアのザグレブ。もちろんホームチームの優位はありますが、サーフェスは両者にとってフェアなインドアのハードコートです。クロアチアは2005年にワールドグループ優勝を経験していますが、アルゼンチンは過去4度決勝進出を果たしながらまだ一度も優勝がありません。どうなるか予想がつきにくい決勝ですが、それだけに接戦が予想され、好ゲームが期待できます。
2009年の全米覇者デルポトロ。大黒柱として、チームを支える 【Getty Images】
◆「男子テニス国別対抗戦 デビスカップ2016決勝 クロアチアvsアルゼンチン」
【放送日】11月25日(金)〜11月27日(日)生中継
◆「生中継![テニス]インターナショナル・プレミア・テニスリーグ IPTL」
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【放送日】12月2日(金)〜18日(日)生中継 ※第1日 1試合目無料放送
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