新生ジャパンが大敗「意識の共有」に差 斉藤祐也がアルゼンチン戦を解説

スポーツナビ
 ラグビー日本代表は5日、昨年のワールドカップ(W杯)4強のアルゼンチン代表と対戦し、20対54で完敗した。ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチ(HC)の初采配から見えたものとは……? 元日本代表の斉藤祐也氏に話を聞いた。

準備が遅れて「昔のジャパン」に…

試合終了間際にトライを奪い、雄たけびを上げるWTBレメキ。7人制日本代表としてリオ五輪でも活躍した 【築田純】

――ジョセフHC体制になって初戦は完敗となりましたが、どのような印象をお持ちですか?

 辛口になってしまうのですが、W杯が終わった後にまた一から作り直す「昔のジャパン」になってしまったな……という印象です。
 エディー・ジョーンズ(前HC)の下でW杯3勝という良い結果を残して、日本ラグビーが世界に通用することを証明しましたが、それを良い形で継承できなかったことが残念だと思います。

――国際大会を戦ってから来日したアルゼンチンに対し、トップリーグから一週間で試合を迎えた日本ですが、準備が短かった影響はあったでしょうか?

 世界と戦う上で準備はすごく大切です。特にアルゼンチンはニュージーランド(NZ)、オーストラリア、南アフリカと6試合を戦ってきています(1勝5敗)。世界トップレベルの仲間入りをしているアルゼンチンは、中途半端な準備で勝てる相手ではありません。

 こうした代表の日程や、マネジメントの部分はエディーが声を大にして言っていたことですが、今回も代表辞退者が出たり、一週間前までトップリーグがあったりと改善が見られませんでした。

トライを取れる選手を生かすオプションを

ジェイミー・ジョセフ新HCは、現役時代にNZ代表、日本代表として活躍 【築田純】

――その中で収穫になった部分はありますか?

 初代表の13人が世界のトップを肌で知ったことは大きいと思います。今回の経験をしたことで、何が通用するか、何が足りないかが見えてくるはずです。

 また、最後にトライを取ったWTBレメキ(ロマノ ラヴァ)選手は良かったですね。彼はリオ五輪のセブンズ日本代表としても活躍しましたが、トライを取る能力があるのが大きな魅力です。

 もう一人のWTBの山田(章仁)選手も経験を生かしていたと思います。なかなかトライチャンスにつながるボールは来ませんでしたが、キックオフからのタックルで相手をノックオンさせるなど、流れを変えるプレーを見せていました。

――攻撃では2トライに終わりました。

 新しいジャパンがどういうラグビーをするかが今日はあまり見えなかったのが残念でした。敵陣までのキックの使い方や、流れの中でのハイパントなどは特徴のひとつだったと思いますが、ボールをキープしながらトライにどうつなげるか……という部分が見たかったです。

 たとえば、No.8のマフィ選手はグラウンド中央での突破、ライン際でバックスとともに攻撃、ゴール前でのトライの仕留め役と奮闘していましたが、彼をどう生かすか? また、決定力のあるレメキと山田をどう生かすか?

 全てのプレーに参加していると疲労度が高くなってスピードもパワーも落ちますから、トライを取れる彼らを効果的に生かすオプションを増やしてほしいと思います。

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