ラグビー日本代表、大躍進の世界4位 斉藤祐也が好成績の理由を解説
最終日は「脳の疲労」で判断ミスが増加
南アフリカのディフェンスに囲まれる福岡。3位決定戦は14対54で敗れた 【写真:ロイター/アフロ】
肉体的な疲労と、そこからくる脳の疲労が結果につながった試合でした。
この大会で日本代表は1試合ごとに成長して自信をつけていたと思います。そして、メダルが目前になったことで高揚感もあったはずです。その結果、準決勝のフィジー戦(5対20で敗戦)、南アフリカ戦ではアタックでコンタクトが増えて、自分で気づくよりも早く疲労がたまり、その影響が出たと思います。
――脳が疲れると、どんなことが起こるのでしょうか?
南アフリカ戦で特に見られましたが、アタックでは「スペースがある」と錯覚してディフェンスの間を走ってタックルされ、ボールを失うシーンが目立ちました。セブンズではターンオーバー(ディフェンスがボールを奪取すること)からの得点が一番多いので、勢いに乗って個人で攻めてボールを失うと一気にトライされてしまいます。
日本代表が良いアタックができていた時は、無理をせず、チームとして空いたスペースを攻めていましたが、南アフリカ戦では特にリスキーなランが増えてしまいました。これは体が疲れ、脳が疲れることから判断ミスが増えているのです。
ディフェンスで正しい位置に立っていれば……
判断が遅れることでスペースを与えてしまい、独走トライを何度も決められた 【写真:ロイター/アフロ】
ディフェンスでも脳が疲れていると自身が立つ位置の判断が少しずつ遅れます。セブンズは「グラウンドが広い」というイメージがあると思いますが、実際には正しい位置にディフェンスがいればスペースはそんなにありません。日本もニュージーランド戦(14対12で勝利)では正しい判断ができていたので、ニュージーランドはオフロード(タックルを受けながらのパス)や思い切った攻撃選択ができませんでしたが、南アフリカ戦では少しずつ判断と反応が遅れたので、狭いライン際を抜かれるなどディフェンスが機能しませんでした。