ユース年代の強化へ、JYDが行う新施策 ナイキとの連携で世界への挑戦をサポート

平野貴也

JYDが新たな施策を行う

JFAはユース年代の育成にナイキアカデミーのトレーニングメソッドを導入することを発表した 【平野貴也】

 日本サッカー界の育成分野に、新たな刺激が加わる。

 高校年代の選手は、セレクションイベントを通して個人で世界へ挑戦することができ、チームは同世代の日本一に輝くことで、世界で力試しができるようになる。

 日本サッカー協会(JFA)は10月21日、ユース年代の育成に「NIKE ACADEMY(ナイキアカデミー)」のトレーニングメソッドを導入することを発表した。昨年12月に競技の普及や次世代選手の育成推進を目的に立ち上げた新プログラム「JFA Youth & Development Programme(略称JYD)」における、新たな施策となる。

 JYDのパートナー企業であるナイキジャパンの協力によるもので、すでにナイキ社がイギリスで行っている選手の育成、発掘モデルを日本で展開する。また、ユース年代の最高峰である高円宮杯U−18サッカーリーグプレミアリーグ・チャンピオンシップ(東西の王者が対戦)の今季優勝チームにはイギリス遠征(来年1月予定)を実施し、イギリスで活動しているナイキアカデミーとの練習試合や合同トレーニングを行うことも発表された。

ナイキアカデミーとは?

会見に出席した田嶋会長。ナイキアカデミー導入の意図を説明した 【平野貴也】

 ナイキアカデミーとは、同社が世界各国でセレクションイベント形式のスカウトを行い、選抜選手をイギリスに集めてエリート養成トレーニングを施し、世界で戦う次世代プレーヤーを輩出するものだ。2010年に始まり、オーストラリア代表MFトム・ロギッチ(セルティック)をはじめとした約60名のプロ選手が誕生している。

 日本人選手では、今春に日本で開催されたセレクションを突破した聖和学園高卒の波田野海が在籍。世界各国からセレクションを勝ち抜いた23名の選手とともに、イングランドフットボール協会の本拠地であるセント・ジョージズ・パークを拠点にトレーニング活動を行っている。今回の取り組みは、同様の拠点を東京に設けるというものだ。

 発表会見に出席したJFAの田嶋幸三会長は、日本代表の強化には若くしてプロの世界で戦える選手の育成が不可欠と考えていることを強調し、「ユース年代の育成は(どこでも共通する強化項目の)ベースではあるが、教え方は多種多様です。さまざまな方法を知り、選手に多くの経験をさせることが重要。ナイキアカデミーのメソッドは、個々の能力を高めるために素晴らしいものだと聞いています。心身共に発育段階にあるユースレベルの選手を、ナイキアカデミーを通じて刺激していくことが非常に有効だとわれわれは考えました」と導入の意図を説明した。

 国内の若手選手には、所属チームでの活躍のほかに、地域選抜の強化となるトレセン活動や年代別日本代表への招集といった強化、飛躍の場が用意されているが、世界へと通じる新たな場が設けられることになったといえる。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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