東京五輪へ、女子バドは既に競争激化 奥原・山口を追う有望選手たち

平野貴也

メダリストが集結したヨネックスOP

ヨネックスオープンでは、リオ五輪代表の奥原(左)と山口を脅かす後続たちの活躍が光った 【末永裕樹】

 バドミントンの女子シングルスは、ますます面白くなりそうだ。BWF(世界バドミントン連盟)スーパーシリーズ第7戦「ヨネックスオープンジャパン」が20日から25日まで東京体育館で行われた。リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得した女子ダブルスの高橋礼華、松友美佐紀組や、銅メダルを獲得した女子シングルスの奥原希望(いずれも日本ユニシス)らが出場。日本のバドミントンファンにとっては、彼女たちの凱旋試合を見る楽しみもあり、注目された。

 高橋、松友組は、決勝が五輪決勝の再戦となり、デンマークペアに雪辱を許して準優勝。奥原も、リオ五輪では破った山口茜(再春館製薬所)に準々決勝で敗れた。どちらも、帰国後はメダリストとしてイベントに参加することが多く、優勝するには調整不足が否めなかった。彼女たちにとっては五輪後初の試合だったが、この大会に照準を合わせていた選手も多く、新たな戦いがすでに始まっていることが感じられた。

 中でも光っていたのは、日本の女子シングルスの選手層の厚さだった。スーパーシリーズは、世界のトップ選手が出場するためレベルは高い。日本開催ということもあり、他国よりも圧倒的に日本人の出場選手が多かったが、それでも予選から本戦に出場できる4枠すべてを日本人選手が獲得し、本戦2回戦(ベスト16)に10人が勝ち上がる活躍ぶりは見事だった。男子シングルスが予選突破1人で本戦2回戦に進めなかった状況とは対照的である。女子は日本人対決も多かったが、山口と大堀彩(トナミ運輸)がベスト4、奥原、世界ランク31位(大会前の15日付、以下表記も同じ)の峰歩美(再春館製薬所)、高橋礼華の妹である高橋沙也加(日本ユニシス)がベスト8と好成績を残した。世界ランク25位以内に日本人5人がいる状況で、リオ五輪を戦った奥原、山口だけでなく、後続にも楽しみな選手がいる。

4強入りを果たした19歳・大堀

19歳の大堀は初のスーパーシリーズ4強入り。成長が期待できる有望株だ 【末永裕樹】

 特に今大会では、大堀、高橋沙の存在が目立った。ともに日本人としては長身のサウスポーで強打が武器。小柄でレシーブ力をベースにする奥原、山口とは異なるプレースタイルの選手だ。

 19歳の大堀は、今大会で初のスーパーシリーズ4強進出。世界ランク44位で当初は予選から出場の予定だったが、リオ五輪金のカロリナ・マリン(イタリア)や銀のシンドゥ・プサルラ(インド)ら有力選手が出場を回避したため、強豪との早期対決を避けられる本戦からの出場となる好機を生かした。169センチの長身から繰り出すスマッシュで勝ち上がり、準決勝では、優勝したヘ・ビンジャオ(中国)と対戦。中国の新エース候補を相手に互角に渡り合ったが、第1ゲームを落とした後、第2ゲームは19−11から逆転を許して20−22で敗れた。

 大堀は「ベスト4に入れた満足がどこかにあった。でも、終わり方が良くなくてすべてをダメにしてしまった。負け方には、自分にクエスチョンが付くけど、以前からあったことで初めてではない。こんな試合を繰り返していたら、あるチャンスもなくなる」と自身を責めた。2月の日本リーグでは奥原を破るなどポテンシャルは高いが、調子に波がある。NTT東日本に所属していたが、4月に男子の違法賭博問題が起きた影響もあり、父の大堀均・富岡高監督の古巣であるトナミ運輸へ5月に移籍。男子チームしかないトナミに移ったことで、寮生活から一人暮らしとなり、練習相手も男子選手に変わる中、私生活からの見直しを図っている最中だという。精神面でタフさが身につけば、成長が期待できる有望な若手だ。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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