イチローの打撃を開花させた名コーチ 名付け親でもある新井宏昌氏インタビュー

岡田真理
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イチローはオリックスで新井宏昌コーチ(当時)とともに自らのバッティングを確立した 【写真は共同】

 オリックス時代、コーチとしてイチローのバッティングを支えた新井宏昌氏。今もオフの練習などで交流を続け、今シーズンは解説者として偉業を見守っている。そんな新井氏にイチローのエピソードをお伺いすると、スーパースター誕生の背景にさまざまな巡り会わせがあったことがわかった。イチローの第一印象、仰木彬監督(当時)とのやり取りから現在のバッティングまで大いに語ってくれた。

「変わり者と当たってしまった」

――初めてイチロー選手を見た時の印象を教えてください。

 イチローを最初に見たのは、私が引退した翌年の1993年でした。解説の仕事でグラウンドに行って打撃練習を見ていた時、当時オリックスのコーチをしていた大熊(忠義)さんから「右投げ左打ちの若手がいるから、ちょっと見てほしい」と言われ、それがイチローだったんです。

 意識して見たのですが、正直その時は特に印象に残らなかったですね。しなやかな感じはありましたけど、個性的でもなかったし、目に留まるような打球を飛ばしていたわけでもありませんでした。ただ、その日、数分見ただけだったので、もし何日か連続して見ていたら、この先どうなるか私なりに想像できていたかもしれません。

――その翌年にオリックスの打撃コーチとしてイチロー選手と再会しますが、その時の印象は?

 最初のティーバッティングで、初めて見た時とは違う印象を抱きました。私がボールをトスしようとした時、先に彼が足を振り子のようにして「自分が動くから、どうぞ投げてください」と言わんばかりの動きをしてきたんです。普通、野球ではピッチャーが動かないとバッターは動けない。それなのに、打ちにくる動作を先にするわけです。
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著者プロフィール

1978年、静岡県生まれ。立教大学文学部卒業。プロアスリートのマネージャーを経てフリーライターに。『週刊ベースボール』『読む野球』『現代ビジネス』『パ・リーグ インサイト』などでアスリートのインタビュー記事やスポーツ関連のコラムを執筆。2014年にNPO法人ベースボール・レジェンド・ファウンデーションを設立し、プロ野球選手や球団の慈善活動をサポートしている。

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