錦織、ウィンブルドンへの不安要素は? 杉山愛コラム「愛’s EYE」
1試合しかこなせなかったグラスコート
ウィンブルドンでは2014年の4回戦進出が最高成績となっている錦織圭。今年はどんな戦いを見せてくれるのか 【写真:ロイター/アフロ】
錦織圭選手の全仏オープン4回戦敗退は少し残念な結果でしたが、気持ちを切り替えてウィンブルドンに向けて調整を積んできたはずです。フランスから一度、米国の自宅に帰ったそうですが、切り替えという意味で、リフレッシュの時間も必要だったのでしょう。以前と違って全仏からウィンブルドン開幕までのインターバルが2週間から3週間に増え、アジャストの時間がもう1週間できました。これは選手にとって大きいと思います。
ただ、残念なことに前哨戦のゲリー・ウェバー・オープン(ドイツ)で左脇腹を負傷し、大事をとって2回戦を棄権しました。昨年のウィンブルドンでは、やはり前哨戦で負傷した左ふくらはぎの影響で2回戦棄権という結果に終わっています。1カ月以上もプレーしてきたクレーから芝にサーフェスが変わり、その大きなギャップで体には大きな負担がかかります。選手にとって、一番難しい調整が強いられる時期なのです。
ドイツの大会ではダブルスにもエントリーしていました。芝での前哨戦は数が限られるため、大会数を積んで調整していくことは難しく、試合数をこなす意味でダブルスにエントリーしたものと思われます。芝は特殊なサーフェスなので、試合の中で慣れていく必要があり、ダブルスも含め、グラスコートでプレーする一つ一つの機会が重要なのです。その意味で、芝で公式戦を1試合しかこなしていないことは不安要素と言えます。
前哨戦の棄権をプラスに変えられるか
リターンゲームでは特に集中力が必要です。錦織選手は精神的に乗っていると、動物的な感覚も研ぎ澄まされて、相手のコースがピタリと読める選手です。したがって、精神面の充実、さらに体力面での充実が求められます。疲れがたまっていると、どうしても反応が鈍くなるからです。
そこで、いかにフレッシュな状態で臨めるかが、結果を大きく左右するはずです。体の中にあるエネルギー量も問われます。その意味では、前哨戦での棄権とそれによって調整の時間が増えたことを、どれだけプラスにもっていけるかにかかっていると思います。
欠場の大坂なおみは全米に期待
日本だけでなく、米国のファンも魅了する大坂なおみのプレー。8月下旬に開幕する全米オープンでの活躍が期待される 【写真:アフロ】
今年の全豪オープンでは予選を勝ち上がってグランドスラム初出場を果たし、本戦3回戦に進出しました。さらに初出場の全仏でも3回戦に進出し、第6シードのシモナ・ハレプから第1セットを奪うなどあそこまで追い込みました。まさにセンセーショナルで、初めての大舞台でこれだけ活躍できる選手はそうはいないと思います。誰もが勝ちたい舞台で、こうして力を発揮できるのは、テニスの質自体が高いからでしょう。次の四大大会、全米オープンには万全の状態で臨んでほしいと思います。
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