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なぜ新井貴浩はこんなにも面白いのか!?
カネシゲタカシの『ぷぷぷぷプロ野球』
走攻守すべてにおいて「ガムシャラ」が持ち味
走攻守すべてにおいて「ガムシャラ」が持ち味【写真は共同】

 新井貴浩さんが元気です。


 打って良し、守って良し。タイムリーのあとは手をパーンとたたき喜びを露わにし、大事な場面でフォアボールを選んではドヤ顔。チームの精神的支柱として広島カープの開幕カード勝ち越しを引っ張ったといっても過言ではないでしょう。


 でも……。そんな新井さんを見ていると、どうして人は笑いが込みあげるのでしょうか

キーワードは「ガムシャラ」と「正直者」

 新井貴浩が真剣なプレーをすればするほど笑けてくる――。これはプロ野球ファンの多くにみられる“生理現象”であり、先週紹介させていただいた『みんなの あるあるプロ野球』の第1巻(2012年刊)にも収録した由緒正しき“あるあるネタ”です。


 では、なぜ新井貴浩のプレーは笑えるのか? キーワードは「ガムシャラ」と「バカ正直」です。


 走攻守、すべてにおいてガムシャラ。そしてそのガムシャラを全身で表現してくれるところに新井さんの面白さがあります。空振りしては「違う」と首を傾げて反省。三振しては「あ〜」と猛反省。勝てばジャンプして大喜び。芸人ばりのオーバーなリアクションはもう見ているだけで面白い。


 新井貴浩といえば2000本安打も間近に迫った一流選手です。にもかかわらず、一般ファンの側から「力抜いたら」とか「なにもそんなに……」とか思わず声をかけたくなるほどのガムシャラ。しかもそれらが必ずしも結果につながらないところに“笑い”が忍び寄るわけです。


 そんな新井さんの座右の銘は「球の心は正直者」。これは駒沢大時代の監督の言葉だそうです。


 例えば守備の場面で打球がイレギュラーバウンドしたとします。もっと練習を一生懸命やっていれば自信を持って一歩前で捕れたのではないか。弱気な心が前へ出ることを躊躇させ、その結果イレギュラーバウンドしたのではないか。球は正直者なんだよ。待ったキミを知っている……。そんな意味の言葉だそうです。


 球の心が正直者ならば、新井貴浩もまた正直者。そう、感情がオモテに出るというのは、正直者の証なのです。そんな正直者と正直者が重なった場所に“バカ正直”という過剰な磁場が発生し「もうちょっと力抜け!」という笑いが生まれるのです。


 正直者は往々にして駆け引きが苦手。だから勝負師としては若干心もとなくても、人間としては球団の垣根を超えて愛される。それが新井貴浩という選手の大いなる魅力なのでしょう。

カネシゲタカシ
カネシゲタカシ
1975年生まれの漫画家・コラムニスト。大阪府出身。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にてデビュー。現在は『週刊アサヒ芸能』(徳間書店)等に連載を持つほか、テレビ・ラジオ・トークイベントに出演するなど活動範囲を拡大中。元よしもと芸人。著書・共著は『みんなの あるあるプロ野球』(講談社)、『野球大喜利 ザ・グレート』(徳間書店)、『ベイスたん』(KADOKAWA)など。