中邑が新日ラストマッチで「イヤァオ!」 棚橋がオメガとIC王座決定戦で激突

高木裕美

新日本の人気けん引の中邑がラストマッチ

新日本ラストマッチとなった中邑。支えられてきたCHAOSのメンバー達と 【横田修平】

 新日本プロレス「Road to THE NEW BEGINNING」第2戦となる30日の東京・後楽園ホール大会では、今月末をもって新日本を退団し、米国へ旅立つ中邑真輔の壮行試合が行われ、超満員札止めとなる1806人の観客を動員。早朝5時半に並んだ観客ですら当日券を購入できないほど膨れ上がった客席が、異様な興奮と熱気に包まれた。

 中邑は青山学院大学レスリング部を卒業後、02年に新日本に入団。同年8月に日本武道館でデビュー後、総合格闘技へ挑戦する異端の道を歩みつつ、翌年12月にはデビューから1年4カ月、23歳8カ月という史上最短、最年少でIWGPヘビー級王座を戴冠。近年では独特のムーブや、IWGPインターコンチネンタル王座をめぐる戦いで、新日本の人気をけん引してきた。

オカダも涙「一番すげぇのはプロレスなんだよ!」

新日本を一緒に支えてきた棚橋との激闘 【横田修平】

 中邑の新日本ラストマッチでは、CHAOSの盟友であり、14年の「G1クライマックス」優勝決定戦でベストバウトを受賞する名勝負を繰り広げたオカダ・カズチカ、長年タッグパートナーを務めた石井智宏とトリオを組み、最大のライバルであった棚橋弘至&古くからの因縁がある柴田勝頼&同期入門の後藤洋央紀組と対戦。テーマ曲が鳴る前から発生した「真輔」コールの中、中邑はいつも以上にたぎってコールを受けた。

 5分ごろにようやく試合権利を得た中邑は、棚橋を相手におなじみの脱力ブレーク。これを柴田が真似して見せると、中邑はお返しのヴァイブレーション。CHAOS3人がかりの合体攻撃も成功させ、絆の深さを見せ付ける。10分過ぎには、棚橋とこれまでの激闘の歴史を振り返るかのような激しいエルボー合戦を展開。棚橋のフライングフォアアーム、ドラゴンスクリューに中邑もトップロープに据えてのヒザ蹴り、リバースパワースラム。棚橋のハイフライフローはヒザ剣山でブロックする。20分を超え、混戦となる中、オカダが柴田にドロップキックを突き刺すと、中邑も必殺技のボマイェを炸裂。中邑に喝を入れられた石井が、垂直落下式ブレーンバスターでフィニッシュを決めた。

 試合後、四方に向かって一礼した中邑は「ここで生まれ、育ち、培ってきた中邑真輔を、まだ見ぬ世界にぶつけていきます。レスラーとして生きていく限り、物語は続いていく。だから、さよならは言いません。ありがとう」とファンに感謝すると、全員で「イヤァオ!」の大合唱。中邑Tシャツを着たCHAOSメンバーと共に一緒にポーズを決め、号泣するオカダらの姿に感極まりながらも、「一番すげぇのはプロレスなんだよ!」と、絶叫すると、オカダに肩車され、ファンにもみくちゃにされながらリングを去った。

後を任せられるから自分が潔く行ける

「『後は任せた』って言える選手がこんなにも多いので、自分は潔く『行ってきます』と言えます」 【横田修平】

 バックステージでもこらえきれずに涙にむせんだ中邑は「共に戦ってきた仲間たちは、自分の感情を抑えることができないぐらい、本当にすごく大きなもの。家族と思える仲間たちができた喜びは何者でもない」とCHAOSの仲間たちとの別れを惜しみつつ、現IWGPヘビー級王者であるオカダに「アイツがいるからこそ、自分も歩むことができた。後は頼むと言いたい」と、涙、涙で見送ってくれた後輩に新日本の未来を託した。

「いろんなきっかけや出会いがすべてが必然としてこういう決断に至ったので、後悔はない。自分がいなくても心配ないというか、どういう戦いを見せるのか、このリングの外から見たい」と、異国の地から眺める新日本マットの行く末に思いを馳せつつ、「『後は任せた』って言える選手がこんなにも多いので、自分は潔く『行ってきます』と言えます。本当に今までありがとうございました」と、別れを告げた。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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